声明
日本学術会議解体法案に反対する決議
2025年5月26日
日本科学者会議長野支部幹事会
日本学術会議を特殊法人「日本学術会議」に改変する法案が、去る5月7日から僅か3日間の衆議院内閣委員会審議で、政府与党と日本維新の会の賛成21名、立憲民主党、 国民民主党、日本共産党、れいわ新選組などの反対18名の委員の僅差で可決後、13日の衆議院本会議でも可決されて、参議院に送られた。
日本学術会議は、科学者が戦争遂行のための軍事研究に総動員された戦前の痛苦の歴 史への反省を踏まえて設立されたものであり、1949 年 1 月に開催された日本学術会議 発会式において亀山直人初代会長は、日本学術会議法の前文に沿った以下の祝辞を述べ ている。「誠に科学は有力である。然しこの力を搾取と破滅に使ってはならぬ。平和と 繁栄に役立てねばならぬ。日本の科学者は科学の力を信じ、その善用を企画して日本学 術会議を作り、互いに選んだ会員をこの会に送った。選ばれた 210 人は、科学こそ真に 日本を再建し世界人類の福祉に貢献すると固く信じ、世界の学界と提携して、今日のこ の日から活発に活動しようと思う」と。
しかるに現法案は、このような崇高な理念を有する現「日本学術会議法」の前文を消 し去った。また、菅内閣が 6 人の会員を任命拒否して以降、いまだにその理由を明らか にしていない。制定から 76 年経った今日においても、科学者は、「「科学は平和と国民の 福祉に貢献すべき」との観点を堅持することが大切である。政府が提出した現法案には、 上記のほかに、下記の重大な問題がある。
一、法案は、政府主導の、(会員)選定助言委員会、運営助言委員会、日本学術会議評価 委員会、ならびに監事を設置し、学術会議の独立性・自主性・自律性を奪い、政府 の意向に沿う組織に改変する。
一、学術会議を特殊法人にし、政府の財政措置は補助に留まるようにしている。
一、学術研究の軍事化が進み、戦争が出来る国づくりの加速が懸念される。
一、学術活動のみならず、全国民の言論・思想の弾圧に繋がることが懸念される。
この法案に対しては、新聞各紙も様々な問題点を指摘しており、日本弁護士連合会会 長も強く反対の意思を表明している。日本科学者会議長野支部は、現在参議院に送られ ている「日本学術会議法案」について、当該委員会で議論を尽くし、廃案にすることを 強く求めるものである。