第 59 回日本科学者会議東京支部大会 特別決議
日本学術会議法案の衆議院本会議での採決強行に抗議し,参議院での廃案を求める現行の日本学術会議を廃止し、新たに特殊法人としての日本学術会議を設置する「日本学術会議法案」が 2025 年 5 月 13 日,衆議院本会議で自民党・公明党・日本維新の会の賛成多数で可決された。日本科学者会議東京支部は支部大会の名において
本法案の採決強行に抗議するとともに、参議院での廃案を強く求める。本法案は、日本学術会議が内閣府に対して確保を求めていたナショナル・アカデミーの5要件のうち3つ(1国家財政支出による安定した財政基盤,2活動面での政府からの独立,および3会員選考における自主性・独立性の各要件)を充足せず,日本学術会議会長声明が示した5つの懸念(1大臣任命の監事の設置を法定すること、2大臣任命の評価委員会の設置を法定すること、3「中期目標・中期計画」を法定すること、4次期以降の会員の選考に特別な方法を導入すること、5選考助言委員会の設置を法定すること)が払拭されていない。本法案により法人化された日本学術会議が発足することになれば、これまで日本学術会議が自主的・自律的に積み上げてきた数々の実績・成果がなきものとされ、日本の科学がときどきの政権の意思に従属し、日本の科学・学術、ひいては日本の民主主義に対する国際的な信用が大きく毀損されることを我々は懸念する。
日本の科学の自主的・民主的発展につとめ、学問研究と思想の自由をまもることを目的とする日本科学者会議の一員として,私たちは日本学術会議法案の廃案を良識の府たる参議院の構成員たちに求める。
なお、この法案に賛成する政党・議員たちは、科学の政治への従属化に手を貸し、学問の自由を葬った張本人として、日本の歴史においてその汚名を永久に記憶されることを覚悟されたい。
2025年5月18日
日本科学者会議東京支部第59回大会