声明
日本学術会議の「法人化」に反対する
2025年3月25日
政府は日本学術会議(以下学術会議)を「法人化」するための日本学術会議法 案(以下法案)を閣議決定した。政府は学術会議を法人化することによってその 独立性を高めると説明しているが、国立試験研究機関や国立大学の法人化後の 経過をみれば、それは偽りというほかない。
法案は会員の選定につき政府を関与させない体を示しながら、会員外から内 閣総理大臣が任命する監事、「選定助言委員会」、「運営助言委員会」および「日 本学術会議評価委員会」を設置する、内閣総理大臣に職務上の義務違反を理由と する役員の解任権を付与する等学術会議の外からの、より有り体に言えば内閣 の意見を反映させる仕掛けを何重にも作っている。
また、中期的な活動計画および年度計画の策定とそれに基づく活動の業務実 績の評価を義務付けている。政府の意見を反映させた計画を作らせ、政府の意向 にあわせて実績を評価させ、足らないところは次の計画で執るべき措置まで立 案させるという運営のどこが「独立性の確保」なのか。
さらに、法案には、業務運営にあたり「国民から徴収された税金・・・で賄われる ものであることに留意し、・・・適切かつ効率的に使用するよう努めなければならない」 という条文がある。この文言は独立行政法人の運営費交付金の年度毎の配分額に 対して「効率化係数」を持ち込んだ論理そのものであり、つまり「効率化」は単純に予 算削減を意味し、予算配分で活動を縛るものなのである。
このように、今般の法案は学術会議の独立性を著しく損なうものであり、「独立行政 法人制度」により損なわれた研究機関を目の当たりにしている JSA 茨城支部として看 過できるものではない。学術会議に政府の方針に沿った活動を求めることは、学術の 成果より政権の都合を上位に置き、学問の自由を否定するものであり、学術活動の 成果に基づき国民がよりよい選択をなすことを阻害する点で、国民の知る権利や自 己決定権の侵害にもつながりかねない。このように、民主的な社会運営を阻む恐れ のある法案の採決に反対し、撤回を求める。
日本科学者会議茨城支部事務局