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見解・声明など | PDF

【声明】日本学術会議の解体を意図した「日本学術会議法案」の廃案を求める声明

2025年3月15日
日本科学者会議幹事会

去る3月7日に政府は「日本学術会議法案」を閣議決定し、今国会で成立を図る方針を明らかにした。もしこの法案が成立すれば、現行の「日本学術会議法」は廃止され、学術会議は現行法の下での「国の機関」から新たに設立される「特殊法人」へと、これまでとは全く異なる組織に転換されることになる。

このような法人化は学術会議の「独立性」を確保するためとの表向きの説明とは逆に、学術会議を政府の完全な管理・統制下に置くことを目論んでいる。それは、内閣総理大臣が任命する「監事」や内閣府に設置される「評価委員会」、会員選定方針に関与する「選定助言委員会」と運営そのものに関与する「運営助言委員会」両委員会への外部委員の任用、中期活動計画作成や年度ごとの評価義務づけなどから明らかである。また同時に「法人化」に伴い、財源の多様化、外部資金獲得を求める方針も示されており、財政的締めつけが強化されると共に、学術会議に対する産業界等の財務面での影響力も増大することになる。さらに「新会議発足」時(2026 年10 月予定)の会員の選定にあたっては、これまでとは異なる特別な方法をとり、「多様な関係者」から推薦を求める方針も示唆されており、政府や産業界にとって都合の良い会員選定への道を開くものともなっている。

日本学術会議はその根本的な変質をめざす政府主導の学術会議「改革」案に対して、2021年4月の総会以来、一貫して「ナショナル・アカデミーが備えるべき5要件」(学術的に国を代表する機関としての性格、公的資格、安定した財政基盤、活動面での政府からの独立、会員選考の自主性・独立性)を提示した。そしてこのような要件を満たさない方向で、「有識者懇談会」等の場での検討が進められることに、重大な懸念を表明してきたが、今回の法人化法案はこうした学術会議としての問題提起をまったく無視するものである。もしこのまま法案の成立を許せば、軍事研究の推進に対しても毅然として反対姿勢を貫いてきた学術会議はその歴史的な独立性・自律性を失い、時の政府や産業界等に従属する機関に変質させられ、独立したナショナル・アカデミーとして活動することは不可能となる。それは事実上、学術会議の解体といっても過言ではない。

日本科学者会議はすでに、本年1月17日付で事務局長談話「日本学術会議の法人化に向けた法整備に反対する」を発出し、学術会議法人化法案の国会上程に反対する立場を明確にした。学術会議歴代会長6氏や広範な分野の学協会、団体、個人による反対の声明の発出や署名運動などの動きも相次いでいる。日本科学者会議は、政府がこれらの声に真摯に耳を傾け、学術会議の解体につながる学術会議法人化法案の閣議決定と国会上程をすみやかに撤回するよう強く要求すると共に、立場を同じくする団体や個人と手を携えて、国民各層に訴え、強力な反対運動を推進していく決意を表明するものである。

statement/20250315statement.txt · 最終更新: 2025/03/27 18:26 by mikasatoshiya

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