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見解・声明など | PDF

声明

政治からの独立を侵害する日本学術会議「法人化」法案を撤回せよ

2025年2月11日
日本科学者会議大阪支部幹事会

戦後80年を迎える今、G D P比2%への軍事予算の大増額とそのための国債発行、沖縄先島諸島を中心とした日本全土の軍事基地化、ミサイルや戦闘機・艦船・武器弾薬の爆買いと産業の軍事化など、集団的自衛権閣議決定や戦争法強行採決から国家安全保障関連の3文書へと、政府による「戦争する国つくり」が問答無用とばかりに進められている。

私たちが先の戦争で学んだ重要な教訓のひとつは、学問や研究が戦争や大量殺戮のために使われないように政治からの独立を確保すること、すなわち、学問の自由を守ることであった。教訓を活かし日本学術会議は政府から独立した機関として時の政権を監視する民主主義的役割を担ってきた。政治からの独立性を保ってこそ、政治、経済、社会に対して科学的立場から忖度なく助言・勧告する、ときには諫言することが可能になる。

2017年、日本学術会議はその設立の趣旨にしたがって軍事研究を行わない旨の声明を発表した。これに対して2020年秋、当時の菅義偉内閣総理大臣は、日本学術会議の新規会員任命において、学術会議から推薦された105名の会員候補者のうち6名の任命を拒否した。6名の人文・社会科学者の任命拒否は、軍事化を進めようとする政府の意に沿わない学術会議に対する露骨な脅しであり、日本国憲法第23条(学問の自由)に違反する行為であった。

任命拒否の理由を明らかにしないまま、石破茂内閣は、問題をすり替えて、「法人化」という形で、ナショナルアカデミーとしての学術会議の自主性、自律性、独立性を奪い取ろうとしている。その動きは、法人化された国立大学が種々の改革により財政的基盤や自主性、自律性が失われていく状況と軌を一にしている。

「法人化(日本学術会議法改正案)」は、「選考助言委員会」や「評価委員会」という装いにより、政治や産業界による学術会議への介入を法制化し、学術会議の本質的役割を変質させるものである。この動きは学術会議自体の解体にもつながりかねない。

しかも、その重大な改定にもかかわらず、有識者懇談会の最終報告からひと月しか経っておらず、学術会議内外での議論が尽くされないまま法案が提出されようとしている。

日本科学者会議大阪支部は、憲法違反の学術会議「法人化」法案の撤回と、会員任命を含めた日本学術会議の自主性、独立性の保障を強く求める。

大阪公立大学の軍事研究参入に抗議を続けてきた市民と科学者の共同の取り組みを継続し、憲法をいかし、学問の自由、民主主義を守り、「戦争する国つくり」を止め、平和のために、科学者、技術者、青年、学生、市民や労組・団体など、広範な人々と連帯することを表明する。

statement/20250211_statement.txt · 最終更新: 2025/03/01 21:26 by mikasatoshiya

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