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見解・声明など | PDF

声明

学問の自由を侵害する日本学術会議「法人化」に断固反対する

2025年2月7日
日本科学者会議京都支部幹事会

2020年秋、学界に激震が走った。日本学術会議の新規会員任命において、当時の菅総理大臣は学術会議から推薦された105名の会員候補者のうち6名の任命を拒否した。その6名には京都の2名の法学者、文学者も含まれた。その後の学術会議自身や数多の学協会、諸団体からの猛抗議にもかかわらず、任命拒否の理由が明らかにされないまま、いまだに撤回されていない。

その事件以前の2017年、学術会議はその設立の趣旨にしたがって軍事研究を行わない旨の声明を発した。6名の人文・社会科学者の任命拒否は、その声明発出に対する警告であり、学術会議に対する脅しであった。任命拒否の理由が明かせないのは、その行為自身が憲法の学問の自由や平和主義に反する行為であったからである。

そして、今回、石破内閣は任命拒否の問題に頬かむりしたまま、問題をすり替えて、学術会議「法人化」という形で、ナショナルアカデミーとしての自主性、自律性、独立性を奪い取ろうとしている。その動きは、法人化された国立大学が種々の改革により財政的基盤や自主性、自律性が失われていく状況と軌を一にしている。

日本国民が先の大戦で学んだのは、学問や研究が戦争や大量殺戮のために使われないように政治からの独立を確保すること、すなわち、学問の自由を守ることであった。その教訓から、学術会議は政府機関として時の政権を監視する民主主義的役割を担った。学術会議は政治からの独立性を保ってこそ、政治、経済、社会に対して科学的立場から忖度なく助言・勧告する、ときには諫言することが可能になる。この度の政府提出の日本学術会議法改正案は、「選考助言委員会」や「評価委員会」という装いにより、政治や産業界による学術会議への介入を法制化し、学術会議の本質的役割を変質させるものである。この動きは学術会議自体の解体にもつながりかねない。しかも、その重大な改定にもかかわらず、有識者懇談会の最終報告からひと月しか経っておらず、学術会議内外での議論が尽くされないまま法案が提出されようとしている。

日本科学者会議京都支部は、現政権が学術会議「法人化」法案を撤回し、会員任命を含めた日本学術会議の自主性、独立性を保障するよう強く求める。また、その運動のために、日本学術会議、他団体および広範な市民と連帯することを表明する。

statement/20250207kyoto.txt · 最終更新: 2025/02/12 15:39 by mikasatoshiya

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