私達は、政府が日本学術会議の独立性を侵す法改正を提出しないことを求め、学術会議の12.21声明を支持します
日本科学者会議愛知支部幹事会
2022年12月6日に内閣府名の「日本学術会議の在り方についての方針」及び21日の同総合政策推進室名での「日本学術会議の在り方について(具体化検討案)」で政府方針が明らかとなった。この両文書では、日本学術会議法にある会員の選考手続きを否定し、第三者委員会が選考に介入するなど、学術会議の独立性を侵し、すでに進んでいる選考プロセスを否定し、2020年10月の6人の任命拒否を合法化するかのごとき手続き変更が目論まれている。さらに、今年9月末で任期を迎える第24期会員の任期を「日本学術会議法改正案」実施後まで任期を延長し、「改正法」に定める予定の「新選考制度」の下で行うこと、また現在の3部制に新しく4部を新設するなど、およそ学術・学問の論理にそぐわない変更を目論んでいることが明らかとなった。
以上のように、政府から独立した機関である日本学術会議を強権的に「政府等と問題意識や時間軸等を共有」する機関に変えようとする政府の動きと開会中の第211回通常国会に改正案を出すという策動に、私たちは強く反対するものである。改正案を議論するからには、学術会議との十分な協議や相互理解があってこそ、日本学術会議法前文の目的が達成できるのであり、これがなされない法案提出には強く反対する。
日本学術会議が21年4月に決めた「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」に沿った自主的改革を支持し、去る12月21日発出の「声明・内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』(令和4年12月6日)について再考を求めます」に賛同し、2020年10月に行った6人の会員候補者の拒否を直ち取り消し、任命することを求めます。
科学者の代表組織である日本学術会議を政府方針に従う機関に変質させる策動が、安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)を閣議決定し、軍事費2倍化によるGDP2%の大軍拡が日本の国民を守るために必要だとし、世界4位の軍事超大国化を目指し、敵基地攻撃能力(反撃能力)を備えることに邁進する今日の事態と深く関連していると私たちは考えている。日本がアメリカの軍事戦略に完全に飲み込まれる憲法九条に違反し、歴代保守政権が曲がりなりにも守ってきた「専守防衛」路線から大きく逸脱する道を岸田内閣は選び、国民を危険に晒す道を選択した。
私たち科学者は、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命(学術会議法前文)」としており、これを科学者の良心の原点とし、学術を変質させるあらゆる策動に反対することを宣言する。