大学問題委員会

最近の活動

『日本の科学者』2015年1月号(Vol.50 No.1)「科学者つうしん」〈委員会コーナー〉から

第2回大学問題委員会の概要

10月11日(土)に第2回委員会を開きました(中大後楽園校舎,出席6名).大学を取り巻く情勢の議論では,@学校教育法の改悪のもと,文科省が通達を出し改定内容をも逸脱して個別大学に規程整備などを求めていること,A教授会の位置づけや学部長選出などでは権限が強まった学長の考えが大事であること(ただし最高責任ではなく最終責任),Bスーパーグローバル大学の採択では英語教育偏重になっており,採択校の顔ぶれも「出来レース」の感があること,CCOEなども含めて過去の総括がなされていない問題などが話し合われました.

次に,大学問題の解決では,a)学生の学ぶ権利の確保,b)研究・教育条件の抜本的改善,c)若手・院生の安定的な研究保障などのために,構成員の自治を取り戻し,基盤的経費の増額など政府に本来の役割を発揮させること,そのためには問題を市民にも知らせる開かれた運動と連帯が大事であることなどが指摘されました.

平民研連(平和と民主主義のための研究団体連絡会議)からJSAに要請が来ている,大学問題をテーマとしたシンポジウム共催の件は,当委員会が窓口になって関係団体と実務作業を詰めていくことを決めました.企画の宣伝をご覧になったら,皆さん多数ご参加下さい.

改悪2法の成立で,いま大学の自治が根本から否定されようとしています.当委員会は全国事務局から,大学発の政策提言作りを要請されています.今後,課題を整理して政策を検討していく予定です.各支部の皆さんも大学問題でぜひ研究会などを開催するとともに,新しい知見や情報をお知らせ下さい.
  (佐久間英俊)

『日本の科学者』2014年4月号(Vol.49 No.4)「科学者つうしん」〈委員会コーナー〉から

大学問題でブックレットを緊急出版

大学問題委員会は,定期的に委員会を開催し,激動している高等教育政策とその背後にある国家戦略の分析を行ってきました.

国立大学法人は,第三期中期目標策定にむけて,国家戦略従属にむけた教育研究体制のシフトとそれを可能とする大学ガバナンスの強化を強いられています.「集中と選択」による各種助成金・研究資金を配分する手法は,公立・私立大学にも及び,日本の大学は,国家政策に迎合して"生き延びる"か,兵糧攻めの中で孤立するかの選択を厳しく迫られています.

大学問題委員会は,新自由主義と国家主義的大学経営観が反映している日本の大学の激変ぶりとその課題を広く理解していただくために,大学問題のブックレットを緊急出版しました.大学問題委員会編『危機に直面する日本の大学』(合同出版,600円+税)です.薄い本ですが,中身は重厚です.各支部・分会,あるいは地域のさまざまな活動の中で活用していただくようお願い申し上げます.

大学をめぐるこうした情勢の幅広い理解を拡大し,国公私立大学関係者の共通理解をはかるために,学術体制部が主体となって2月22日にシンポジウムを東京で開催します.また,そうした成果を積み上げて,20総学(9月,福岡)において大学問題の分科会を単独で開設するか,国公立試験研究機関問題委員会と合同で開設するかを検討中です.      
(山口和孝)

日本科学者会議(JSA)と大学の役割(『日本の科学者』2013年6月号より)

JSAは,これまで大学教員・研究者を主な母体として成り立ってきた.しかし,国公立大学の法人化,私立大学の経 営難,そのもとでの競争・多忙化と閉塞感,あるいは「団塊世代」の退職などで,その基盤が堀り崩されている.

他方,こともあろうに教育基本法「改正」を強行し,政権を投げ出した安倍晋三内閣が今度は憲法「改正」を正面に掲げ て返り咲き,96条の改定をステップに戦後の国家原理そのものを転換しようとしている.

「アベノミックス」などと称される経済政策の一環として,特定の国立大学には数百億円単位でばらまき,一方での 貧困化に目もくれない.それどころか,文部科学省「大学改革実行プラン」にはじまる国立大学のミッション再定義で は,大学の「機能強化」の名のもとに機能別分化の徹底と「究極の構造改革」(経団連)といわれる道州制の導入をにらん で,大学の選別・淘汰と統廃合が企てられている.

また,国立大学でも卒業式や入学式などに「日の丸」掲揚をはじめたところもある.社会のあり方にかかわる重大事態 が大学でも進行している.大学が果たすべき役割は重要といわなければならない.

大学問題委員会では,毎回(年3回)大学情勢を分析・検討し,成果の一部を『日本の科学者』や「総学」などに還 元してきた.社会の岐路にあって大学はいかにあるべきかが問われていることから,少なくとも大学教員・研究者が 国・公・私立大学の現状について共通理解できるようなブックレットの作成・出版が必要と考え,取り組んでい る.JSAが大学にしっかりと地歩を築くことが,大学が蘇るきっかけになるのではないだろうか.(細井克彦)

「教授会自治」の解体狙う,中教審大学分科会を注視!(『日本の科学者』2010年11月号)

 教育基本法「改正」以後,際立つ大学の国家管理化は,「財務運営戦略」による高等教育費(国立大学法人運営費交付金や私学国庫助成など)の10%削減を策するとともに,ついに大学自治の本丸ともいうべき教育の中身(学位と教育課程)にまで踏み込もうとしている.

2008年に「学士課程教育の構築に向けて」(答申)で,大学教育課程へのPDCAサイクルの導入を提言した中央教育審議会は,大学分科会で「中長期的な大学教育の在り方について」を審議し,これまで4次にわたる経過報告を行っている.そこでは,「公的な質保証システム」や「質保証システムと財政支出の重点配分,分野別評価導入と『学位プログラム論』」の検討(第2次報告)が行われている.要するに,「修得させる知識技術体系」といわれる一種の教育目標を国が提示して,これに基づく質保証を各大学の責任において行わせるとともに,達成度を認証評価の対象とし,財政配分に結びつけようとしている.そして,従来の大学・学部別評価に加えて学問分野別評価を導入し,あわせて「従来のような学部・研究科等の組織に着目した大学制度」から「学位プログラムを中心とした大学制度」へと変更して,「大学の自治」「教授会の自治」を葬り去ろうとしている.中教審大学分科会の攻撃対象は「教授会の自治」(学校教育法93条)に向けられている.

 大学問題委員会では,国公私立にわたる高等教育政策・行政について,従来にも増して議論できるように,あるいは現情勢・学術体制全般における大学問題の重要性に鑑みて,今年度から私学などからの新委員の補強や委員の交代などにより体制強化を図っている. (細井克彦)

(『日本の科学者』Vol.45 No.11(2010年11月)「科学者つうしん」<委員会コーナー>より)

「大学問題フォーラム」

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No.20
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No.11 1998.11.9
No.10 1998.10.9
No.9 1998.5.30
No.8 1998.1.5
No.7 1997.11.5
No.6 1997.8.7
任期制反対の声明・アピール号(続) 1997.4.17
任期正反対の声明・アピール号 1997.3.25
No.5 1996.12.7
No.4 1996.5.1
No.3 1996.4.10
No.2 1996.2.8
No.1 1995.10.31