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jjs:readerscomments2022 [2022/10/06 15:38] michinobumaedajjs:readerscomments2022 [2023/05/11 21:01] (現在) michinobumaeda
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 ====== 2022年 ====== ====== 2022年 ======
  
-<html><h2>「大学と学問の危機」の特集を</h2></html>+<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-12">2022年12月号</a> 
 +特集「実効ある気候政策を迫る」を読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +今年も,日本は環境NGO気候行動ネットワーク」から「世界で一番化石燃料に公的資金を拠出している国」として化石賞を与えられた.日本政府の脱化石燃料に背を向ける姿が世界の市民にも歴然だったようだ.12月号の特集の中で,島村論文は石炭火力に執着する日本政府の姿勢を浮き彫りにしている.そこで全国の石炭火力でアンモニアを20%混焼するだけで世界の全貿易量ほどのアンモニアが必要になるとは驚きである. 
 + 
 +確かに政府の脱化石燃料政策はお粗末でごまかしが多い.政府は,世界が2030年までの期間に総力を注いで取り組まなければならない脱火力発電については横目で見ながら「火力発電を主要な供給力であり再生可能エネルギーの変動性を補う調整力」だとし,2030年時点でも石炭火力の比率を19%レベルで保有するとしている.しかし,これは主たる電源構成を再生可能エネルギー依存に向けてきっぱりと舵を切りきれないことの裏返しであり,原発への回帰が整うまでの時間稼ぎとも思える. 
 + 
 +(栃木支部・宇田靖) 
 + 
 +12月号の特集は「実効ある気候政策を迫る」である.従来の気候変動という言葉から,最近では気候危機という言葉を聞くようになった.「気候危機は待ったなし」だと.しかし,一般市民の中に“危機感”はあまり感じられない.気候危機は核戦争よりも確実で悲惨なものなのかも知れないが,それでも“危機感”が浸透しないのは,核戦争に比べ悲惨な状況を想像しにくいということではなかろうか.すなわち,私たちはヒロシマ・ナガサキで核戦争の悲惨さは充分学んでいる.しかし世界の平均気温が2℃上がると具体的にどのような状況になるのか頭の中にイメージが描き切れていない. 
 + 
 +今回の特集でははじめに編集委員会により,気候危機をめぐる国際的合意や「日本の科学者」のこれまでの取り組みがまとめられ変分かり易い.QRコードによるカラー図版表示も有効である.温度上昇を抑えるために必要な温室効果ガス排出削減目標もよく理解できる.しかし,この目標が達成できなかった場合はどのような危機的状況になるのかをもう少し具体的に示して欲しかった. 
 + 
 +島村論文,市村論文ではアンモニアを火力発電に使うことの理不尽さが明示された.また和田論文では蓄電池変電所・蓄電所の有効性・重要性が実証された.これらは正に特集のまえがき「気候政策に科を」にふさわしい論文である. 
 + 
 +(東京支部・大松重雄) 
 + 
 +島村論文では,脱石炭火力政策の問題点が述べられている.文中で,いつどの程度実現するかわからないCCS(CO2回収・貯留)の導入,の指摘があり,よくわからないので調べたところ,日本の科者2020年9月号の「言葉の玉手箱」に人為的CO2除去手段として様々な題点が要約されていた.和田論文,再生可能エネルギーを生かし切るために蓄電池システムを導入すべし,という指摘は全国規模でも検討されるべき重要な提案だと思われる. 
 + 
 +角田・竹本論文では,エネルギーの地産地消を目指して市民主導の取り組みが紹介され,企業,市民運動,消費者が連携し,電力エネルギーが市民の管理できる真の意味での公共財に生まれ変わるという展望を描いている.この方向での発展系が,『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著)で紹介されているスペイン・バルセロナの気候非常事態宣言に至る取り組みと思われる.是非このような国際的に優れた経験を特集で取り上げてほしい. 
 + 
 +(神奈川支部・北山宏之) 
 + 
 +『日本の科学者』12月号の特集「実効ある気候政策を迫る」は,時宜に適った好企画であった.日本政府の(脱)石炭火力政策を扱った島村論文を,国際的な気候変動対策に関する編集委員会の巻頭論文や,アンモニア燃料に関する市村論文とあわせて読むと,残念な現実が見えてくる.島村氏は,アンモニアを混焼するのは石炭火力延命の口実としか思えないと結論づける. 
 + 
 +もちろん,パリ協定,グラスゴー合意,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)なども,万全でない.2点だけ指摘すれば,パリ協定が依拠するINDC方式は,温室効果ガス削減目標をトップダウン的に割り当てる京都議定書とは異なり,各国の申告する目標をボトムアップ式に積み上げる.聞こえはよいが,下からの自発性に頼るやり方で遠大な目標を達成できるのかという疑問は残る.さらに問題なのは,気候変動対策のためにこそ原発推進という論者が,IPCCの有力委員の中に少なくないことである.今や,CO2を出さない原発というのが原発推進派の最大の謳い文句であり,この動向を見誤ると「原発=エコ」言説を論破できない. 
 + 
 +すなわち,IPCCやパリ協定などの国際的枠組みも限界を抱えているが,それに照らして「さえ」日本の環境政策は貧弱ということである.ではどうすればよいか.世界(特にアメリカ)における気候訴訟に関する大坂論文や,四国を中心に実践例を紹介した和田論文と角田・竹本論文は示唆的である.私個人的には,原発とワンセットのものとしてよいイメージを持っていなかった揚水発電が,時間的変動の大きい再生可能エネルギーのバックアップ機能を持ち得るとのことで,認識を新たにした.揚水発電や蓄電所にしても,自然環境への負荷を伴うため,どのように使っていくかは脱炭素社会を構築する上で重要な論点になる. 
 + 
 +本特集は総花的で「まとまりがない」との印象もあるかもしれない.だが「まとまりのなさ」こそが,専門分野を超えた学際的思考を要求する環境問題の特徴なのである.学際研究は口で言うほど容易ではない.だからこそ,専門分野を超えた対話の努力と,そのための「場」が必要なのである. 
 + 
 +(福井支部・小野一) 
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-11">2022年11月号</a> 
 +特集「リニア中央新幹線計画の中止を求める」を読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +リニア中央新幹線計画は問題だと思っていましたが,これほどまでとは知りませんでした.東京と大阪間の移動時間を短縮するのに,なぜ膨大な財政投融資資金を融資するのかという程度の認識でした.桜井論文から技術の海外輸出をもくろんでいることがわかりました.オンラインによる会議の日常化で出張が激減しており,今後その傾向が強まるわけで,リニアの必要性は説得力を失うでしょう. 
 + 
 +それにもかかわらず強行するのは許されません.南アルプスや大井川の水問題,「明かり区間」の騒音,シールドマシンによる住宅地の地下トンネル,残土処理など多くの問題があり,各地で訴訟が行われていることが所収の各論文からわかりました.「行政訴訟の99%は住民が敗訴する」(樫田論文)そうですが,世論の動向が裁判に影響することもあると思います. 
 + 
 +かつて作曲家の中田喜直さんが禁煙権を提唱した時「変わり者」扱いされていましたが,受動喫煙の被害が知られるようになると潮目が変わりました.巨大な税金が投じられた国策が途中で断念された例として干拓事業があります.「事故待ちジャーナリズム」に取り上げさせるには,インスタ映えする取り組みを拡散することも有りかと思います. 
 + 
 +(大阪支部・井ノ口淳三) 
 + 
 +多角的にリニア新幹線計画の問題点を洗い出した良い特集だと思う.まえがきの,「分散型国づくり・格差是正」で若干触れられていたが,リニア新幹線が仮に完成したとしても直接恩恵に与れず,工事費だけをむしり取られる地方都市の立場に直接立った記事があっても良いと思った. 
 + 
 +(沖縄支部・大倉信彦) 
 + 
 +リニア新幹線についての反対運動が一定の成果をあげてきたように思われる.しかし,その一方でこれを歓迎している国民もまたいることを忘れてはならない.この問題は,福島原発事故のことを思い出させる.事故が起こる前までは,安全神話がまかり通っていた.しかし,険であると警告していた人々はいたのだ.その意見は生かされず大惨事になってしまった.今回のリニア新幹線が再び福島のような事故を起こすことはないと言い切れるのだろうか.私は疑問を持っている. 
 + 
 +(三重支部・菊谷秀臣) 
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-10">2022年10月号</a> 
 +細木和樹 科学余話「20世紀資本主義の例外性についての確率的資源分配モデルによる理解」を読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +非常に面白かった.物理・化学などの自然科学の世界における非常に簡単な確率論的モデルのモンテカルロ・シミュレーションにより,さまざまな状況が,擬似的とは言え,再現できるというのは,経済・社会分野でも科学的な分析ができる可能性を示していると思う.フリードマンらの経済理論が経済を科学にしたという評価でノーベル賞を受賞したが,かの理論は実際には非常に単純化した理論に立脚しているように思っている.ナオミ・クラインのショックドクトリンで示されているように,「理想的な経済活動」が民主主義的制度を疎外・排除しながら現在も進行中である.歴史的な現場で何が起っていたのか,現在わが国では何が起こっているのか,現在の後進国化が進む閉塞状況をどう脱するか,未来の展望はどうか,このようなモデルをもとに再現・予想できるかもしれない,と妄想が膨らんだ. 
 + 
 +(福井支部・小倉久和) 
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 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-10">2022年10月号</a> 
 +粟生田忠雄「災害期における農業農村の役割――自立分散型ネットワーク社会の構築にむけて」を読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +本論文では3つのことに注目した.その1つは,災害に対する事前復興を意識した自立分散型ネットワーク社会への展望である.災害に際して,起こった後のことをしっかり見据えて行動することの大切さを知らされた.災害では,予想されないことが起こる.だからこそ,いろいろな場面を想定して日ごろから考えておくことが大切であろう. 
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 +2つめは,土中環境の改善についてである.こういう観点から考えたことはなかったので,内容がとても新鮮だった. 
 + 
 +3つめは,文明が進めば進むほど被害が大きくなるという記述であった.こういう考え方は,以前から気にかけていたので納得できた,などいろいろ考えさせられた論文であった. 
 + 
 +(三重支部・菊谷秀臣) 
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 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-06">2022年6月号</a> 
 +土佐いくこ「今,なぜ生活綴り方教育か――子どもの声を聴く」を読んで 
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 +コロナウイルス禍の休校明け,先生は子どもに勉強が遅れているから勉強勉強と言っていた.しかし,子どもはずっと友だちと遊べなかったから,いっぱい友だちと遊びたいといったという.それを聴いた先生は,「ほんとやな,ごめんごめん」と言葉をかけると子どもに笑顔が戻ったという.子どもの声を丁寧に聞き取り,不安や悲しみ,小さな喜びに共感してくれる先生が友だちの存在が今ほど求められる時はない.小学生だけではなく,大学生もそうだ.だから土佐さんは作文に自分の気持ちを正直に書かせて,子どもの表現から子どもの気持ちを読み取ることが大事だという.クラスの子の書いた作文をクラスの子どもたちに共有したり,学級のお便りに載せてきたそうだ.それを読んだ子どもや保護者はその子をかわいそうだという捉え方をし,その子のために手を貸すなど協力的になった.作文は,子どもが口では表しいくいことも,字で書くことで正直な気持ちを表しやすくなる.先生はその作文から子どもの気持ちを読み取ることが大事だと言うことを読み取った. 
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 +(大阪・黒河一歩) 
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 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-11">2022年11月号</a> 
 +特集「リニア中央新幹線計画の中止を求める」全体の感想 
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 +様々な分野の方々がそれぞれの視点から高度な科学性をもった反対論を展開した11月号であった.理系的素養がないため理解できない箇所も多々ありましたが,どの論文も文章は読みやすく,主張も明確.阻止への強い意志も伝わって来ました.中には存じ上げている方も数人おられ,その方々のお顔を思い出しつつ,時間はかなりかかりましたが,納得と共感が連鎖し,一気に通読しました.計画以来の経緯がわかり,さまざまな疑問が解決され,次々に真実(リニアの非)がわかってくるので実に痛快でした.どんな推理小説よりもオモシロイ(語弊がありますが)そんな高揚感もありました.(と同時に同じ強さで推進側への怒りも) 
 + 
 +日本国土の自然と生態系の破壊をこれ以上看過してはならないという環境保全の意志,安全性への危惧,不採算性の指摘など,科学者としての責任感が構築した学際的で精緻なリニア反対論.「言葉の玉手箱」と「読者の声」が外部化されるほどページ数が増えていましたが,読み進むほどに,まさに『日本の科学者』の真骨頂!本領発揮!と感動を覚えました.地球に寄与する情報を凝縮した11月号は「良い氣」を発してもいます. 
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 +(東京・中嶋由美子) 
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 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-09">2022年9月号</a> 
 +小林快実ら「不登校を振り返る」を読んで 
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 +ひきこもりの当事者の手記とその解説を組み合わせたもので,今までに出会ったことのないタイプの記事として興味深く読んだ.ひきこもりの一例と理解するべきであろうが,本人と周辺の大人との関係性の重要さががよく理解できた.また著者の一人で解説者の近藤氏との信頼関係もうかがい知れた. 
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 +(沖縄支部・大倉信彦) 
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-09">2022年9月号</a> 
 +森長はるみ「学校における不登校生徒への支援の課題と実際」を読んで 
 +</h2></HTML> 
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 +ひきこもりの類型は,森長さんの記述から,経済的な困窮している例,二つ目に本人・家族に経済的要因も含めてケアが必要な例,三つ目に束縛型のように整理できるのかなと思った.「子どもにとって居心地の良い学校」を再構築するとあるが,それは難しいのではないか.教員の人権もまともに保障されていないし,その中では子どもの人権もまともに保障されない.昔から管理教育がある.学校は,社会の縮図だとする理解がある(特別関係論).ここから,子どもは大人に従わせるべきだ,という振る舞い方がでてくる.学校が社会の縮図・反映でもあって,少なからずある現実を反映させている. 
 + 
 +教員を増やすことも大事だけれども,社会的な事情を抱えることのできる専門的な対応者が必要ではないか.根本的な原因はずっとネオリベ的なやり方が,30~40年続いてきていて,競争主義的なものが染みついてしまっているから,いったんレールから外れてしまうと,戻れなくなってしまうことではないか. 
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 +(東京支部・土肥有理) 
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-09">2022年9月号</a> 
 +サリネンれい子「スウエーデンのひきこもりの若者の実態とそのとりくみ」を読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +サリネンれい子氏の特集論文で,「hikikomori」が,zangyo, karoshi などと同様に,そのままで英語あるいは各国語で使われていることを知って驚いた.試しに wikipedia の英語版を検索してみると,確かにhikikomoriの項目が独立していたし,イタリア語やスペイン語でも,またロシア語でも,そのままの綴りで取りあげられていた.Wikipediaによれば「ひきこもり」はもともと英語のアメリカ精神医学会編纂の『DSM-III』におけるSocial Withdrawalという用語だったとのことだが,本特集でも触れられているように,日本での厚生労働省の定義を超えた「ひきこもり」の状況が,世界でも広がってきているのだろうか. 
 + 
 +(福井支部・小倉久和) 
 + 
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 +<a href="https://jsa.gr.jp/d/jjs/onlinereadersmeeting">第11回JJSオンライン読書会(10月1日)から</a> 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +9月号特集「社会的ひきこもりの人々の今日的課題」の論文執筆者,サリネンれい子さんをゲストに迎え,特集論文の概要と書ききれなかったことの報告のあと,参加者との質疑で議論が深められた. 
 + 
 +スウェーデンの場合は,福祉国家として「税金を払ってくれる国民,民主的な社会の構成員」でないことは社会的損失であるという原理のもと,若者の就職・就学を支援するために,生活保護支援課,こどもと若者課などの地域行政,精神科医師,学校の特別支援担当,社会保険庁,雇用庁が連携する体制が敷かれている.これにより「ひきこもり者」の半数近くが社会に復帰している. 
 + 
 +質疑では,スウェーデンとの比較により,ひきこもり者が非常に多い日本の問題点があらためて浮き彫りになった.家族が当事者の面倒を見るべき,自己責任だという意識,同調圧力の強さといった社会的・文化的な背景があることが共有された.また,移民の若者のひきこもりの問題は,日本でも意識されるべき課題であることが指摘された. 
 + 
 +(編集委員・富樫幸一) 
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-08">2022年8月号</a> 
 +を読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +私は1980年代に千葉川鉄公害訴訟に取り組み勝利し,この時自然科学の側面から理論的な公害発生原因論などの解明に科学者会議に属する研究者の貢献は大だった.2011年の福島原発事故以来,千葉県で環境放射線強度の測定を続けている.河合弘之氏の「原発訴訟のパラダイムシフト」は,折しも原発事故株主代表訴訟で7月13日東京地裁が東電の経営責任を認め約13兆3210億円の賠償を命じた初の司法判断を下したことと重なり,タイムリーであった.しかし政府や規制委は原発推進政策を進め,トリチウム汚染水の海洋放出をしようとしていることは問題である.科学余話の老木成稔氏のカリウムチャネル,ナトリウムチャネルの話は表紙のモデル図とともに生体電流の仕組みを知る上で面白い研究の紹介であった. 
 + 
 +(千葉支部・朝生邦夫) 
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-08">022年8月号</a> 
 + 「辺野古のたたかいが日本の地方自治・法治主義にあたえたもの」に関連して 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +2022年は沖縄の日本復帰50周年である.いま多くの沖縄県民の思いは「こんなことなら日本へ復帰するべきではなかった」である.7月11日投票の参議員選挙では,辛くも伊波洋一さんが議席を守った.運動した私たちの率直な気持ちは,今度は危ない,というものだった.ごり押しの日本政府による埋め立て工事は強行され,ゲート前で抗議する私たちを動隊が強制排除し工事は進められている.本土からの支援活動もすっかりなくなり,県内の島ぐるみ会議の毎日の抗議動員も中止に次ぐ中止をやむなくしている.抗議の中心メンバーは75歳を越え,月曜から金曜まで毎朝辺野古の工事ゲート前に15名前後が集まるのが精一杯の情況が続いている.ロシアによるウクライナ侵略の痛みを,日本人の中で痛みと共に感じているのは沖縄戦体験を持つ沖縄県民だろう.しかし,昨年の名護市長選挙で見たとおり,日々の家族の生活のためには保育料を無料にし,給食費無料化,高校生までの医療費を無料にするという政府の県民分断策に,貧しさに耐えてきた名護市民の「背に腹は代えられないという投票行動につながった.私たちは,たとえ一人になろうと諦めずにたたかう.もう一度,地元市民平和への想いを全国で共有していただきたい. 
 + 
 +(沖縄県・村上有慶) 
 + 
 +===== 民主主義と人権 ===== 
 + 
 +かつて栃木県下都賀郡にあった谷中村は1906年強制廃村となり,藤岡町に合併させられた.多くの住民は近隣の町村に移住したが,一部の人々は県北や遠く北海道佐呂間に移住した.ただ一部は藤岡町の南端に新しい下宮地区を作って移り住み,子どもたちは田中正造の分骨埋葬地があった北川辺西小学校に通った. 
 + 
 +その時の真意は想像を出ない部分があるが,下宮の有力F家の息子が戦後,担任から「お前は田中正造さんの慰霊式に出席してはいけない.」と言われ,式典の間中廊下で水の入ったバケツを持たされたという.そのためF氏はこれがトラウマとなって,以後田中正造関係の行事には参加しなくなったという. 
 + 
 +担任の考えについて推測であるし,一般化も難しいが,敗戦まで天皇主権であったのが,新憲法により国民主権となって,F家のような権威はむしろ排されるべきだ,そのためには人民のために戦った田中正造の慰霊式にF家は排除されるべきだと考えたのではあるまいか.事実であれば当時の学校のシステムや考え方は批判されるべきものである.このような考えのもとの行動がどのような結果をもたらすかは,F氏のトラウマを知れば分かる.個々の人権を考えず,民主主義はあり得ない. 
 + 
 +(栃木支部・高際澄雄) 
 + 
 + 
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-06">2022年6月号</a> 
 +特集論文 安井勝,藤本文朗「日本の教員養成における課題と展望」読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +最近の傾向として良くないなと個人的に思うのは,Society5.0,IT・IoTなどの話で,情報(科)の教員が完全に不足して,そのために,パソコン教室の先生を臨時任用してなんとか補っているという問題が指摘されていることだ.マスコミ報道などもあり,ある程度認知された.それはそれとして問題があるが,AIやIoTなどの技術的要請に,学校が前のめりになっていることに対し,それは学校がやらなければならない教育内容なのかと疑問を感じている.もちろん,子どもがパソコンを使えることはいいことである.しかし産業界から求められているから学校で取り入れようとし,さらにそうするにしてもあまりに計画性がないがために,人材の育成・調整さえ間に合っていない.その結果として,即戦力としての教員ばかりが求められることになる. 
 + 
 +教職大学院の制度が新設され,大学院も含めた教職課程が考えられたにも関わらず,それが重視されず,結局,即戦力に飛びつく教員養成の実態になってしまっている.この論文や特集「学校教育における実践知を問う」全体を通して,上記のような教育政策の問題を再認識させられた.そのうえで,本論文の問題意識には深く同意する. 
 + 
 +今回の掲載論文に加えて,用語の解説が示されているページがあった.このような,その分野に必ずしも詳しくない読者を,置き去りにしないよう配慮した丁寧な構成からも,親切さを感じた.  
 + 
 +(東京支部・小泉洋樹)  
 + 
 +<HTML><h2> 
 +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-08">2022年8月号</a> 
 +特集「現代民主主義を問う」を読んで 
 +</h2></HTML> 
 + 
 +ロシアによるウクライナ侵攻が続く中でプーチン氏が恐れていると言われている「民主化」が再び注目を集めており,私自身も民主主義とは何かを改めて考えている時期でもあったので,「現代民主主義を問う」というテーマはとても興味深かったです. 
 + 
 +特に興味深かったのは,「原発訴訟のパラダイムシフト」と「高校生4人が選択的夫婦別姓制度の導入を求めて請願,宇治市議会が採択」です.前者は文理の壁を越えてよりわかりやすい説明をする姿勢が.後者は高校生が自分たちの力で一から活動を行ったことが,とても印象的でした.私は,講義などで気候変動や戦争,貧困などについて考えることが多いのですが,考えたことを行動に移すことのできない自分がもどかしくなることがあります.しかし,今回実際に行動を起こしている方々の記事を読んで,自分にも何かできるのではないかと勇気づけられました. 
 + 
 +また,カリウムチャネルについての「科学余話」は,人間の体の面白さに触れることができ,楽しく読ませていただきました. 
 + 
 +(大阪大学理学部・荒牧咲) 
 + 
 +8月号は興味深い内容とわかりやすい文章で読みやすく面白かったです.存在は知っているけれど,詳しく知らなかったことについて理解が深まりました.例えばAAの具体的な状況,特に外国での状況についてや辺野古をめぐる各機関の動きについてなどです.また,IPCCを初めて知りました.新しい知恵と考え方を得ることができました.もっと世の中の動きに敏感になっておかなければならない,自らアクションを起こさなければならないとも強く感じました. 
 + 
 +(大阪大学人間科学部・中塚優奈) 
 + 
 +<HTML><h2>「大学と学問の危機」の特集を</h2></HTML>
  
 日大の林真理子理事長が就任の記者会見で,記者の「作家が大学の経営が分かるのか?」の質問に,彼女は「大学は儲けるところではない」と答えた.だが,今大学は利益を上げることを求められているのではないか.法人化以降,大学は,公的予算が減らされる中,自らの経営手腕が問われている.一方,「選択と集中」方針の下で国の希望する研究・学問には紐付きの予算が下りる.10兆円の大学ファンド,卓越研究大学,経済安保法等々. 日大の林真理子理事長が就任の記者会見で,記者の「作家が大学の経営が分かるのか?」の質問に,彼女は「大学は儲けるところではない」と答えた.だが,今大学は利益を上げることを求められているのではないか.法人化以降,大学は,公的予算が減らされる中,自らの経営手腕が問われている.一方,「選択と集中」方針の下で国の希望する研究・学問には紐付きの予算が下りる.10兆円の大学ファンド,卓越研究大学,経済安保法等々.
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 (新潟県・酢山省三) (新潟県・酢山省三)
  
-<html><h2> +<HTML><h2> 
-<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2021contents.html#m2022-06">2022年6月号</a>特集論文+<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-06">2022年6月号</a>特集論文
 近藤真理子「学習集団におけるキーコンピテンシーと学習権を読んで 近藤真理子「学習集団におけるキーコンピテンシーと学習権を読んで
-</h2></html>+</h2></HTML>
  
 本論文は,学習権に焦点をおいて論じられている.これはきわめて大切な視点である.論文は,不登校や登校拒否の問題点を最初に提起している.また,本論文からうかびあがる教育の問題点は,学習意欲に重点をおくか,知識の獲得,技術の習得に重点を置くかということである.これはある面において,対立する概念ではないだろうか.楽しい授業を追求すれば,場合によっては知識の獲得がおざなりになりかねない.しかし,知識の獲得に重点をおけば,学校の授業が楽しくない子が出現する.この2つをどう統一するかということである. 本論文は,学習権に焦点をおいて論じられている.これはきわめて大切な視点である.論文は,不登校や登校拒否の問題点を最初に提起している.また,本論文からうかびあがる教育の問題点は,学習意欲に重点をおくか,知識の獲得,技術の習得に重点を置くかということである.これはある面において,対立する概念ではないだろうか.楽しい授業を追求すれば,場合によっては知識の獲得がおざなりになりかねない.しかし,知識の獲得に重点をおけば,学校の授業が楽しくない子が出現する.この2つをどう統一するかということである.
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 (三重支部・菊谷秀臣) (三重支部・菊谷秀臣)
  
-<html><h2> +<HTML><h2> 
-<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2021contents.html#m2022-04">2022年4月号</a>特集「不安定雇用の女性研究者 ─研究をめぐるジェンダー問題」を読んで +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-04">2022年4月号</a>特集「不安定雇用の女性研究者 ─研究をめぐるジェンダー問題」を読んで 
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 私自身,専任のポストを得るまでの道のりは長く苦しいものだった.当時(90年代)は,就職は指導教員の思し召しに期待するしかなかった.それに比べれば,今はWebで公募情報も得られ,多様なポストも用意されるようになっている.しかし,「改定労働契約法」の下,勤続10年を超えた研究者の無期雇用転換が始まる来年4月を目前にして,国立大学・国立研究機関だけでも非正規雇用の4500人がその直前にも雇止めにあう可能性があるなど,大きな問題になっている(先の通常国会では,国立大の研究力低下が,私立大学以上に深刻な非正規化の影響を示すものではないかとの質問もなされていた). 私自身,専任のポストを得るまでの道のりは長く苦しいものだった.当時(90年代)は,就職は指導教員の思し召しに期待するしかなかった.それに比べれば,今はWebで公募情報も得られ,多様なポストも用意されるようになっている.しかし,「改定労働契約法」の下,勤続10年を超えた研究者の無期雇用転換が始まる来年4月を目前にして,国立大学・国立研究機関だけでも非正規雇用の4500人がその直前にも雇止めにあう可能性があるなど,大きな問題になっている(先の通常国会では,国立大の研究力低下が,私立大学以上に深刻な非正規化の影響を示すものではないかとの質問もなされていた).
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 (福井支部・小倉久和) (福井支部・小倉久和)
  
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-<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2021contents.html#m2022-03">2022年3月号</a> +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-03">2022年3月号</a> 
-井原總「先進技術取り込みにはやる防衛省の研究開発-7年目の安全保障技術研究推進制度」を読んで</h2></html>+井原總「先進技術取り込みにはやる防衛省の研究開発-7年目の安全保障技術研究推進制度」を読んで</h2></HTML>
  
 戦争できる国というのがどういう国か,ということが問題だ.ロシアによるウクライナ侵攻には様々な見解があるとは思うが,調べてみた範囲では,中央集権的というか,反体制勢力に弾圧を加える国家であったり,報道に対する規制であったり,そういう体制が整えられた上で,侵略性を帯びてくる.日本も,そういう国家を目指しているということが,この10年ほどで特にみられている. 戦争できる国というのがどういう国か,ということが問題だ.ロシアによるウクライナ侵攻には様々な見解があるとは思うが,調べてみた範囲では,中央集権的というか,反体制勢力に弾圧を加える国家であったり,報道に対する規制であったり,そういう体制が整えられた上で,侵略性を帯びてくる.日本も,そういう国家を目指しているということが,この10年ほどで特にみられている.
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 (東京支部・土肥有理) (東京支部・土肥有理)
  
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-<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2021contents.html#m2022-02">2022年2月号</a>特集『大学論』を読んで +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-02">2022年2月号</a>特集『大学論』を読んで 
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 中富公一論文にも引用されている駒込武『「私物化」される国公立大学』(岩波ブックレット,2021)を読み,駒込さんのオンラインによる講演会にも参加し,国公立大学の学長たちによる独裁的運営の酷さに驚いた.かつて大きな民間労組で委員長を務めたり,立憲民主党・社民党・緑の党などで重要な位置を占めている人たちとの勉強会でも大学の変化について報告したばかりだったが,こうした変貌は国民にはまだ十分には知られていないと感じたので,今回の特集はとても参考になった.どうしたらまともな大学に戻せるか,市民と共に考えていく必要を感じている. 中富公一論文にも引用されている駒込武『「私物化」される国公立大学』(岩波ブックレット,2021)を読み,駒込さんのオンラインによる講演会にも参加し,国公立大学の学長たちによる独裁的運営の酷さに驚いた.かつて大きな民間労組で委員長を務めたり,立憲民主党・社民党・緑の党などで重要な位置を占めている人たちとの勉強会でも大学の変化について報告したばかりだったが,こうした変貌は国民にはまだ十分には知られていないと感じたので,今回の特集はとても参考になった.どうしたらまともな大学に戻せるか,市民と共に考えていく必要を感じている.
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 (沖縄支部・大倉信彦) (沖縄支部・大倉信彦)
  
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-<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2021contents.html#m2022-02">2022年2月号</a>特集論文 岡田健一「国立大学改革と労働組合の役割――「大学の自治」の再構築のために」を読んで +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-02">2022年2月号</a>特集論文 岡田健一「国立大学改革と労働組合の役割――「大学の自治」の再構築のために」を読んで 
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 大学における労働組合の存在は,学問の自由・大学の自治を中心に据えて展開されねばならない.また,大学における労働組合は国民と広く結びあわなければならない.本論文では,大学入試についても触れられている.この大学入試共通テストが本当に必要なのかという気がしている.こういうことが大学の格差を助長しているのではないだろうか.これは結局,大学の平均化へと道を開き個性無き大学へと変貌していくように思われる. 大学における労働組合の存在は,学問の自由・大学の自治を中心に据えて展開されねばならない.また,大学における労働組合は国民と広く結びあわなければならない.本論文では,大学入試についても触れられている.この大学入試共通テストが本当に必要なのかという気がしている.こういうことが大学の格差を助長しているのではないだろうか.これは結局,大学の平均化へと道を開き個性無き大学へと変貌していくように思われる.
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 (三重支部・菊谷秀臣) (三重支部・菊谷秀臣)
  
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-<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2021contents.html#m2022-04">2022年4月号</a>「科学余話」を読んで +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-04">2022年4月号</a>「科学余話」を読んで 
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 4月号の科学余話を読ませていただきました.足柄の山林において30年以上の長期にわたってヤシャブシ林の動態を調査された佐々木園子さんの報告に感銘を受けました.調査を学生のゼミと一体化して行われたことは,教育上,大きな効果があったかと思います.また,調査を継続する上でのマンパワーにもなっていたのでしょう.専門的に見ても,非常に貴重な研究データですので,ぜひとも,専門的な学術雑誌に投稿されることをおすすめいたします.また,この調査を何らかの形で引き続いて継続されることも期待いたします. 4月号の科学余話を読ませていただきました.足柄の山林において30年以上の長期にわたってヤシャブシ林の動態を調査された佐々木園子さんの報告に感銘を受けました.調査を学生のゼミと一体化して行われたことは,教育上,大きな効果があったかと思います.また,調査を継続する上でのマンパワーにもなっていたのでしょう.専門的に見ても,非常に貴重な研究データですので,ぜひとも,専門的な学術雑誌に投稿されることをおすすめいたします.また,この調査を何らかの形で引き続いて継続されることも期待いたします.
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 (新潟・崎尾 均) (新潟・崎尾 均)
  
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-<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2021contents.html#m2022-01">2022年1月号特集</a>「コロナウイルス禍における子どもの権利保障」をめぐって +<a href="https://jsa.gr.jp/04pub/0401jjs/2022contents.html#m2022-01">2022年1月号</a>特集「コロナウイルス禍における子どもの権利保障」をめぐって 
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 「言葉の玉手箱」の中での義務教育の説明で,これは国民の義務ではなく,国民の権利だとある.これは大切な指摘であり,本特集はこの観点で貫かれていてよかった.この特集で私が注目したのは,汐見論文と新田論文であった.他にも優れた論文があったことはいうまでもない. 「言葉の玉手箱」の中での義務教育の説明で,これは国民の義務ではなく,国民の権利だとある.これは大切な指摘であり,本特集はこの観点で貫かれていてよかった.この特集で私が注目したのは,汐見論文と新田論文であった.他にも優れた論文があったことはいうまでもない.
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 (東京支部・土肥有理) (東京支部・土肥有理)
  
-<html><h2>オンライン署名運動</h2></html>+<HTML><h2>オンライン署名運動</h2></HTML>
  
 ロシア政府によるウクライナへの侵攻に対し,ロシア国内の科学者と科学ジャーナリストが軍事行動に反対する公開書簡を公表した.JSA大阪支部もこの声明に賛同し,オンライン署名を立ち上げた.日本国内の科学者や市民にも,署名行動による連帯を呼びかけた.3月10日大阪支部の事務所近くで,「戦争に反対するロシア人科学者・科学ジャーナリスト」と連帯する署名行動を実施した.Facebookの告知を見て駆けつけてくれた人,感謝していると言葉をかけてくれた若いお母さんもいた.オンライン署名は,大阪支部のホームページ. https://jsaosaka.jimdofree.com/ ロシア政府によるウクライナへの侵攻に対し,ロシア国内の科学者と科学ジャーナリストが軍事行動に反対する公開書簡を公表した.JSA大阪支部もこの声明に賛同し,オンライン署名を立ち上げた.日本国内の科学者や市民にも,署名行動による連帯を呼びかけた.3月10日大阪支部の事務所近くで,「戦争に反対するロシア人科学者・科学ジャーナリスト」と連帯する署名行動を実施した.Facebookの告知を見て駆けつけてくれた人,感謝していると言葉をかけてくれた若いお母さんもいた.オンライン署名は,大阪支部のホームページ. https://jsaosaka.jimdofree.com/
行 141: 行 339:
 (今岡良子,大阪大学) (今岡良子,大阪大学)
  
-<html><h2>今回のロシア軍のウクライナ侵攻について,思うこと</h2></html>+<HTML><h2>今回のロシア軍のウクライナ侵攻について,思うこと</h2></HTML>
  
 2月24日に始まったロシア軍のウクライナへの侵攻は侵略行動である.納得できる理由はない.国連総会では193加盟国中7割を超す141国がロシア非難決議に賛成していることにも現れている.ウクライナ内外への避難民は1000万人以上,軍事施設を攻撃といっていたが,教会・病院・学校が攻撃され,民間人が多数死傷するなど被害が出ている.また,プーチン大統領は核大国であることを誇示し,世界を威嚇しており,1962年のキューバ危機よりも危険といわれている.ロシアの前身の旧ソ連でも,東欧のハンガリー(1956年),チェコスロバキア(1968年)への侵攻が行われ,傀儡政権を打ち立てた.そうしたことをウクライナでもやろうとしていると思う.それは,東欧諸国を勢力圏として支配しても構わないという考え方が受け継がれていると解釈するしかない.ウクライナのことはその国自身が決めることで周辺国が影響力を及ぼすことではない.即時停戦して交渉により解決されることを望む.世界的に世論で包囲することが重要だ. 2月24日に始まったロシア軍のウクライナへの侵攻は侵略行動である.納得できる理由はない.国連総会では193加盟国中7割を超す141国がロシア非難決議に賛成していることにも現れている.ウクライナ内外への避難民は1000万人以上,軍事施設を攻撃といっていたが,教会・病院・学校が攻撃され,民間人が多数死傷するなど被害が出ている.また,プーチン大統領は核大国であることを誇示し,世界を威嚇しており,1962年のキューバ危機よりも危険といわれている.ロシアの前身の旧ソ連でも,東欧のハンガリー(1956年),チェコスロバキア(1968年)への侵攻が行われ,傀儡政権を打ち立てた.そうしたことをウクライナでもやろうとしていると思う.それは,東欧諸国を勢力圏として支配しても構わないという考え方が受け継がれていると解釈するしかない.ウクライナのことはその国自身が決めることで周辺国が影響力を及ぼすことではない.即時停戦して交渉により解決されることを望む.世界的に世論で包囲することが重要だ.
行 147: 行 345:
 (東京支部・増澤誠一,2022年3月20日投稿) (東京支部・増澤誠一,2022年3月20日投稿)
  
-<html><h2>暴力の阻止を</h2></html>+<HTML><h2>暴力の阻止を</h2></HTML>
  
 なによりもまず一刻も早く戦闘を止めことが求められている.新聞,TV,ネット等には,ロシアとの戦闘を煽る情報に溢れ,暴力は果てしなく続く様相を呈している.世界世論が冷静に戦争当事者の両国にミンスク合意(ウクライナ東部地域に特別の自治権付与)に立ち返ることを迫ることが必要である. なによりもまず一刻も早く戦闘を止めことが求められている.新聞,TV,ネット等には,ロシアとの戦闘を煽る情報に溢れ,暴力は果てしなく続く様相を呈している.世界世論が冷静に戦争当事者の両国にミンスク合意(ウクライナ東部地域に特別の自治権付与)に立ち返ることを迫ることが必要である.
行 153: 行 351:
 (東京支部・東森朋秀,2022年3月13日投稿) (東京支部・東森朋秀,2022年3月13日投稿)
  
-<html><h2>平和への願い</h2></html>+<HTML><h2>平和への願い</h2></HTML>
  
 ウクライナの,防空壕に退避した人々の映像をテレビで見ていると,今は離れて暮らしている子どもたちや孫たちのことを考えてしまいます.東アジアの軍事的緊張を高め,日本を戦場にしかねない構想を口走る政治家が,ロシアのウクライナ侵略にこと寄せて,日本を軍拡に向かわせようとしているからです. ウクライナの,防空壕に退避した人々の映像をテレビで見ていると,今は離れて暮らしている子どもたちや孫たちのことを考えてしまいます.東アジアの軍事的緊張を高め,日本を戦場にしかねない構想を口走る政治家が,ロシアのウクライナ侵略にこと寄せて,日本を軍拡に向かわせようとしているからです.
行 165: 行 363:
 (愛知支部・中嶋哲彦,2022年3月9日投稿) (愛知支部・中嶋哲彦,2022年3月9日投稿)
  
-<html><h2>ロシアによるウクライナへの侵略はスターリン主義か?</h2></html>+<HTML><h2>ロシアによるウクライナへの侵略はスターリン主義か?</h2></HTML>
  
 今回のプーチン氏によるウクライナへの攻撃は,21世紀にあって常識で考えられない.この事件が勃発した時,私はすぐハンガリー動乱を思い起こした.ハンガー動乱(1956年)はスターリン主義によるものであった.しかし,スターリン批判以後,スターリン主義は克服されたかに見えた.ソソビエト連邦の崩壊以後一定の民主化が進んだようにも思われた. 今回のプーチン氏によるウクライナへの攻撃は,21世紀にあって常識で考えられない.この事件が勃発した時,私はすぐハンガリー動乱を思い起こした.ハンガー動乱(1956年)はスターリン主義によるものであった.しかし,スターリン批判以後,スターリン主義は克服されたかに見えた.ソソビエト連邦の崩壊以後一定の民主化が進んだようにも思われた.
jjs/readerscomments2022.1665038285.txt.gz · 最終更新: 2022/10/06 15:38 by michinobumaeda

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