声明
2025年2月8日
日本科学者会議愛知支部幹事会
政府は、「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会(以下、「懇談会」)」の最終報告書(2024.12.20)に基づき今通常国会で日本学術会議法の改悪を目論んでいる。そもそもの発端は、2020 年 10 月の菅内閣による日本学術会議(以下、「学術会議」)推薦会員 6 人の任命拒否であり、その暴挙を覆い隠すために安倍派有力議員を中心に自民党プロジェクトチーム(以下、PT)を作り、学術会議の法人化案をまとめてきた。今回の法改正は、これまでの「日本学術会議法」に記された学術会議の設立以来の「政府からの独立性」などの機能をはく奪するという、この PT による暴論に根拠を置いている。与党は、2023 年にも学術会議の会員選考への干渉などの法改正を目論んだが、学術会議からの強い反対の勧告、学術会議の歴代会長の声明や多くの学協会等の反対の声などに押され、法改正を断念した。しかし、政府は法人化などをあきらめず、執拗に学術会議の変質化を図り、今回の法改正の提案に至っている。
学術会議は、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて(第 182 回総会、2021 年 4 月 22 日)」の中でナショナルアカデミーとして満たすべき5要件(①学術的に国を代表するための地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政支出による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性)を確認し、懇談会が検討してきた5項目(1.大臣任命の監事の設置を法定すること 2.大臣任命の評価委員会の設置を法定すること 3.『中期目標・中期計画』を法定すること 4.次期以降の会員の選考に特別な方法を導入すること 5.選考助言委員会の設置を法定すること)は到底受け入れられないことを宣言してきた(会長メッセージ、2024.7.30)が、懇談会の最終報告書では、これらの学術会議会長による要請が反映されることはなかった。
政府は、この間一層進行した大学の貧困化及び日本の国際的研究力の大幅な低下の中で、これらの問題に正面から取り組むことなく、ひたすら学術会議の変質を図り、物言う学術会議から、政府の軍事拡大路線に追随する学術会議への転換を図ってきた。政府による今回の法改正案は、学術会議の会員選考への外部からの干渉(選考助言委員会の設置)、学術会議の自主的活動の阻害(中期目標・中期計画の作成の強制、総理大臣が任命する監事制度の導入、運営助言委員会・評価委員会の設置)など、学術会議が持つべき独立性・自立性を奪い、国の政策に唯々諾々と従う物言わぬ学術会議への変質化を図るものである。日本科学者会議愛知支部幹事会は、学術会議法の改正案の国会上程に強く反対し、その法案撤回に向けて、声を上げ続けることを宣言する。