見解・声明など | 20230406jsahokkaido.pdf
2023年2月14日、日本学術会議の元会長、大西隆、黒川清、広渡清吾、山際寿一、吉川弘之の5氏は、岸田首相に対して日本学術会議の独立性と自律性を尊重するように求め、政府が昨年12月に公表した日本学術会議法の改正の方針を「根本的に再考することを願う」とする声明を発表した。
声明は、政府の方針が政府と科学者が「問題意識や時間軸を共有する」ことを求めていることについて、科学者コミュニティの代表機関による政府への助言は政府の利害から独立に自主的に行われるべきであり、独立性の保証こそが科学の人類社会に対する意義を十全ならしめる、そして科学者の代表機関としての独立性は会員選考の自律性を不可欠な条件とするので、選考に第三者委員会を介入させる政府の方針では自律性は否定される、現行のコ・オプテーション制は先進諸国のナショナルアカデミーに共通の選考 方法であり、国際的な相互信頼の根拠となっているが、政府の方針ではこれを毀損する、としている。最後に声明は、2020年における日本学術会議会員候補者6名の任命拒否問題もまた日本学術会議の自主性に本質的にかかわる問題として適切に解決されるべきことを求めている。
2月19日、日本のノーベル賞受賞者、天野浩、大隅良典、小林誠、白川英樹、鈴木章、野依良治、本庶佑、そしてフィールズ賞受賞者、森重文の 8 氏もまた、日本学術会 議法「改正」は日本学術会議の独立性を毀損する恐れがあると、再考を求める声明を発 表した。この声明は、各国のナショナルアカデミーが世界の学術界の一翼として人類の福祉に貢献する国際的公共財を形成していると指摘し、先進国政府がアカデミーの活動の自立を尊重して介入しないという不文律を日本政府が毀損することは、内閣府と日本 学術会議の二者の問題にとどまらず、「学術の独立性という根源的かつ重要な問題につながる」として法改正の再考を求めるとともに、日本学術会議とさらなる議論を重ねるよう促している。
私たちは学術に携わるものとして、日本を代表する碩学たちの声明に心から賛同し、政府がその趣旨を十分考量して適切に処置されることを希望する。
2023年4月6日
日本科学者会議北海道支部常任幹事会
内閣府・内閣総理大臣(首相官邸)
日本学術会議
道政記者クラブ