「地球的責任のための技術者および科学者国際ネットワーク(INES)」は、学際的な専門家による独立した非営利組織であり、平和と持続可能性の促進に取り組む。INESは、個人会員として、またはINESの加盟団体を通じて、世界的規模で科学者と技術者を代表する。
INESは、国際的な平和と安定、持続可能性、そしてその重要な要素である国内正義および国際正義を支持して、議論を促進すること、さまざまな運動を組織したり支援したりすること、会議を開催すること、プロジェクトを運営することを、そして、根拠に基づいた重要な証拠を提供することをその主要な目的としている。
これらの目的を追求するためにINESは、持続可能性を高めるように、そして(関連組織である「核拡散に反対する技術者および科学者の国際ネットワーク(INESAP)」との連携の下で)大量破壊兵器の無い世界を促進するように、さらに資金や頭脳の軍事から平和目的への移行を促進するように、専門的な助言を行うことによって、意思決定者そして社会全体に呼びかける。INESは企画のひとつであるINESPE(技術者および科学者の倫理に関する企画の国際ネットワーク)を通して、科学者および技術者団体のすべての構成員に対し、科学および技術の責任ある利用に取り組むように訴えている。この取り組みでは、この信条への冒涜に抵抗する立場を取ったり主張したりしたために被害を被っている個人に対する支援を行っている。
(政治的意思や投資とともに)科学や技術は、気候変動や生物多様性の喪失、世界的な貧困や不平等、人種や宗教やジェンダーなどに基づく差別、大量破壊兵器を含む備蓄兵器の脅威、そして軍事支出の増大、さらには資源の乱獲といった、21世紀初めの人類に対する主要な脅威を克服したり軽減したりするために必要とされるであろう。
今日、科学と技術はどちらも相反する二面性をもつ。科学と技術は、軍事的野心や資源の乱獲に資するとともに、現在の西洋的な生活様式や生産および消費の一般的な様式を土台とする持続可能な将来へ世界へ転換できるという幻想の一助をなしている。科学と技術はこういった発展を推し進める力となっている一方で、同時に、多くの科学者や技術者は、例えばいくつかの例を挙げるならば、気候変動や気候戦争、核拡散、そして資源戦争や資源の乱獲や生物多様性の喪失などのリスクについて警告を発している。一人ひとりの科学者や技術者は、資源効率的な技術や自己完結的な資材サイクルや土地利用形態の改良を通して、持続可能な経済の発展に貢献できるのである。その他の持続可能な世界の主要な要素について言えば、科学者と技術者は、知識と関心をもつ市民という立場で、正義が高められ制約が受け入れられるように支援することができる。
会議を開催したり参加したりすることによって、またメディアに働きかけることによって、さらには様々な運動(その最新ものはhttp://www.INESglobal.com/campaigns.phtmlを参照)や出版によって、INESはこういった議論が広まることに貢献する。INESは、多くのノーベル賞受賞者の寄稿を特集とする書籍や、私たちの活動に関係するあらゆる諸問題を扱った無料の定期通信(What’s New in INES)を、さらには広く開かれた機関誌であるGlobal Responsibilityを発行している。これらすべての媒体を通して、INESとそのメンバーは、国際関係における横柄な態度を非難し、平等や平和的協調や文化的多様性の尊重を促進する。INESは、各国の国内や国家間で現在も高まりつつある不平等や不正義をできるだけ小さくするような発展パターンを追求することを支援し、自然の環境容量の限界を尊重し、大量破壊兵器の脅威を克服することを希求する。INESは、核兵器の無い世界を目指して積極的に取り組む。
科学界のためにINESは、政治的解決が求められる領域において専門的保証を与えるという不当な要求を拒否するという専門家としての倫理を高めることに努める。このことは、諸行動の意義や規範について考え続けること、また人間のニーズそしてわれわれと生物圏との相互関係について考慮することを求めているのである。