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科学者の権利問題委員会 (2021.3.11更新)

情報

菊地重秋「我が国における研究不正(ミスコンダクト)等の概観」(その1〜11)



最近の活動

『日本の科学者』2015年3月号(Vol.50 No.3)「科学者つうしん」〈委員会コーナー〉から

科学者の権利問題委員会は,会則の「科学を人類の発展に役立て正しく発展させていくことは,わたしたち科学に携わる者の共通の任務」を具体化するために,研究者の権利・地位を守り,研究倫理を確立し,科学の正しい発展に寄与することを目的として様々な活動を行っています.今年度は,新たに2名の女性委員を迎え体制も強化され,2回の委員会を開催しました.また,委員会の活動と,2007年大会の「研究者の権利・地位,倫理に関する報告文書」(報告書)を広く知ってもらうために,関係機関・団体のHPにリンクを貼ってもらいました.

今年度の大きな活動は,20総学分科会(D-8:科学者の権利問題)の設置と成功です.会員外からの2題を含む5題の報告は,真正面から,研究者の地位・権利問題,学問研究の自由,研究倫理・研究不正問題を取り上げた充実した内容でした.報告中のスラップ訴訟(明治大学・野中先生)は11月の東京高裁で勝利,彦根市史出版介入問題(滋賀・上野先生)は11月に和解し出版の運びとなりました.分科会の運営を手伝ってくれた学部生は「実社会での様々な出来事を直に学ぶことができ,大学院に進んで勉強する意義を見出しました」と感想をくれました.

12月には東京で,「研究不正の現状と対策を考える」ミニシンポを開催し,3題の報告と,STAP細胞事件への関心の高まりもあって各方面からの参加者で成功することができました.現在,総学での報告提案を受けて,1974年のユネスコ「科学研究者の地位に関する勧告」見直しに向けた意見募集に対応すべく,前記報告書の英訳送付の準備を進めています.(丹生淳郷)



    大会報告「研究者の『権利・地位と倫理』についての報告」(pdf)
      0)表紙  1)まえがき  2)研究者の権利・地位  3)研究者の倫理


38大会決議「学問と科学・技術の危機を打開しよう」(pdf)


研究者の「権利・地位と倫理」(English)(pdf)

「研究者の権利・地位と倫理」(声明)策定に向けての取り組みのお願い

 科学・技術政策の重点化や大学・研究機関の法人化など、科学・技術の政治や経済の従属化政策により、研究環境が悪化し、研究者が本来の社会的責任を果たすことが困難になってきています。研究者の地位や権利が侵害されている上に、求められるべき研究者の倫理も崩壊してきています。科学研究を健全な形で発展させていくためには、研究者の地位と権利を確立するとともに、研究者の倫理を明確にすることです。そのための文書づくりの集団討議と実践は、幅広い研究領域の研究者を組織する日本科学者会議にとって、重要な科学者運動であると考えます。

当該の文書づくりは、本委員会の研究成果と活動を踏まえ、科学者運動の展開を呼び掛けるために、2000年から「研究者の権利・地位、倫理」文書づくりの集団討論(総学、研究会や全国的なミニシンポジウム)が始まりました。それらの討論を踏まえて、第36回大会(2005.5)では、“現在討論を進めている「研究者の権利・地位宣言」および「研究者の倫理綱領」の成案にむけて準備を重ねる”ことが承認されました。さらに2006年の第37回定期大会で“正式な採択を求め、内外に発表する”ことが決定されましたが、1年間の討論の結果、第42期第4回常任幹事会で、“会員の中に十分な合意が得られていない”との判断から、第38回定期大会(2007.5)において「大会報告」となりました。その折りに、「学問と科学・技術の危機を打開しよう〜そのために自らの社会的責務と権利・地位、倫理を確認しよう〜」と呼びかけた大会決議が採択されました。

「科学者の権利問題委員会」では、長期にわたる討論の経過と各大会の確認を重く受け止め、報告文書の修正も考慮しながら当該文書の早期の策定を目指すべきであると考えています。ここに、「大会報告」「同英文(仮訳)」「大会決議」を掲載して、全国的な討論の中で合意できる文書に仕上げたいと考えています。会員各位のご協力をお願いします。

湯淺 精二(科学者の権利問題委員会委員長)

 

 

研究者の権利・地位宣言、研究者の倫理綱領(案)の検討経緯資料

1)討論のお願い(Ver.4
2)制定にあたって(まえがき)(Ver.4
3)研究者の権利・地位宣言(Ver.4
4)研究者の倫理綱領(Ver.4)
5)参考資料(Ver.4
6)コメンテータ発言要旨(会員のページからアクセス
 (素案、名称はそれぞれ仮称)
備考:参考資料の入手方法

権利・地位宣言、研究者の倫理綱領(案)に関するご意見は下記まで。
地位宣言・倫理綱領のテキスト版の必要な方はお申し出下さい。
    Eメール: kenri-sengen(アットマーク)jsa.gr.jp
    FAX : 03-3812-2363

権利問題委員会の活動

科学者運動の前進と会員拡大をめざして「権利・地位,倫理」の確立(『日本の科学者』2010年3月号より)

 科学者の権利問題委員会は,JSA内外の研究者(科学者・技術者・教育者その他分野を問わず研究・教育・科学技術に携わる者の総称)の権利の擁護と地位・倫理の確立に取り組み,運動や支援を通じて多くの研究者の権利・地位の回復や,国内外の科学者の権利と地位,倫理に関する運動と実践,理論的な研究成果を成書としてまとめ発表し,この分野での運動に貢献してきました. これらの運動と研究成果を基に,20回以上のミニシンポジウムなどを持ち,JSA内外の幅広い研究者の意見などもいただいてまとめた「研究者の権利・地位宣言」「倫理綱領」(仮称)を,2007年JSA第38回定期大会で採択を目指しましたが,合意形成に至らず,「研究者の権利・地位と倫理に関する確認文書」として報告され,「大会宣言」,「呼びかけ」で趣旨が補完されました.

 構造改革が吹き荒れた90年代から,学術を巡る政策が大きく転換し,国際競争力強化が国是とされ「科学技術創造立国」政策のもとに,予算・分野の重点化により,学術が産業に従属することが求められ,我が国の研究や技術開発に大きなひずみをもたらしました.

 委員会では,これらの今日的な新しい状況に対応した「権利・地位・倫理」をJSA運動の指針として再確認することが喫緊の課題であると再確認し,個々の権利侵害問題の把握・支援とともに,今年度は2回の委員会と東京科学シンポジウム分科会などで同文書の大会採択に向けた合意形成のための課題と方針を検討し,年度内に学術体制部主催のシンポジウムを予定しています. (丹生淳郷)

(『日本の科学者』Vol.45 No.3(2010年3月)「科学者つうしん」<委員会コーナー>より)

最近の活動(「日本の科学者」2004年5月号より)

科学者の権利を意識した研究教育体制を目指して
                       
 科学者の権利を侵害する事例はこれまで私立大学や民間研究機関でしばしば発生してきた.既に法人化された国立試験・研究機関でも憂慮すべき状況が報告されている.法人化後の大学では,事業効率を重視した大学運営によって研究者・科学者の権利侵害が発生する可能性が高くなることが危惧されている.
 科学者の権利意識の低下は科学者運動の停滞を招く原因の一つとなっている.とくに,若手および中堅の科学者の中でその傾向が顕著であり,背景の一つに大型共同研究が主流となる環境がチームリーダー中心の研究費の流れをつくり,その中で共同研究者になることが優先され,結果として上意下達的な研究体制を許していることがある.ポスドク研究者では全くの無権利状態で研究に従事している数多くの例がある.これらの事態はあらためて研究者・科学者の権利について今日的な課題を提起している.
 権利間題委員会では「研究者の権利・地位宣言」のためのアンケートの作成を行う準備をしてきた.4月にアンケートを各支部に依頼し,中間的なまとめを15総学の分科会で発表する予定である.支部,分会での積極的な取り組みをお願いしたい.
 2月14日,第7回権利ミニシンポジウムを開催し,都立大学の統合問題,京大再任用拒否問題,国立大学法人化に伴う問題,独法化後の国立研究所の状況,NTT研究所における専門業務型裁量労働制,等について報告を受け討議した.とりわけ,都立大学における教員の権利を全く無視した強権的な改組問題は,横浜市大問題と共に法人化後の国立大学にとって決して他山の石ではないことを印象づけた.委員会ではアンケートの分析やシンポジウムなどの討論を科学者・技術者の権利宣言(憲章)として結実させる考えである.

最近の活動(「日本の科学者」2003年4月号より)

「権利・地位宣言」(仮称)の作成にむけて
 −科学者の権利問題委員会の活動状況−
 前回、このコーナで権利問題委員会について書かせていただいたのは、2001年8月号でした。5月に「科学者・研究者・技術者の権利白書」が発行されたばかりの時で、この本の普及にがんばっている頃でした。以後、権利問題委員会では95年に発行した「科学者の権利と地位」と「権利白書」の成果を土台に、これらを「権利・地位宣言」(仮称)の作成へ発展させようと活動を進めています。そのために、この間多数の「権利ミニシンポ」を開催しました。その内容も[ILO」「政府・産業界の科学技術政策」「独法化にゆれる国立研究機関の現状」「大学や民間研究機関の評価の問題」「成果主義時代の賃金システム」など多岐にわたっています。いよいよ2月の「第6回権利ミニシンポ」には「名古屋大学物理学教室憲章」(1946年)や[科学者憲章」(1980年)などの成立過程に於ける論議と佳境に入っていく予定です。
 また「日本の科学者」で権利問題の特集「研究者の権利侵害について考える」が組まれたのが1990年です。ほぼ10年が経過したのを契機に、昨年の「日本の科学者」12月号には「特集、科学研究者の権利を再確認する」がまとめられました。
 近年、大垣女子短期大学、鹿児島国際大学、富士大学など相次いで私立大学に於ける権利侵害も発生しています。権利問題委員会は、第14回総学での報告支援、第38期第1回常任幹事会での「権利問題に関する声明」などの作成にも協力してきました。
 このような状況の下で権利問題委員会は、権利侵害の情報をいち早くキャッチし、その支援に努めるとともに、「権利・地位宣言」(仮称)の作成の運動を広げていく予定です。