自然と社会の構造と発展の法則の中に諸科学の連携の在り方を見出し、体系としての学問の発展を促進することは、多彩な分野の研究者が集まるJSAが取り組むべきことである。「宇宙、物質、生命、人間と社会の動的構造と発展」を討論主題とし、年1回シンポジウムを開催する。あらゆる学問分野から研究者が集い、相互の接点を見出す機会をつくる。
開催日:2015年9月21日(月)・22日(火) 会場:大阪大学理学研究科 D403(豊中キャンパス) ポスター <プログラム> 9月21日(月)午後 セッション1「利他性の進化論」 世話人:長野八久 13:00-13:30 長野 八久(大阪大学)「利他性の進化論」 13:30-14:10 上野 将敬(大阪大学)「ニホンザルの利他行動:毛づくろいは何のため?」 14:10-14:50 松阪 崇久(京都西山短期大学)「チンパンジーの遊びと笑い」 (休憩) 15:10-15:50 佐々木 陽子(南山大学)「パレスチナとイスラエルにおける他者理解・他者受容」 15:50-16:30 (依頼中) 16:30-17:00 全体討論 17:00-1730 複雑系科学研究会総会 18:00〜 懇親会 9月22日(火)午前 セッション2「生物進化の焦点」 世話人:白井浩子 9:30-10:00 白井 浩子(JSA岡山支部)「生物進化の焦点」 10:00-11:00 招待講演 浅島 誠(東京大学)「個体における部分と全体の統一性」 (休憩) 11:10-12:10 招待講演 相沢 愼一(県立広島大学)「長さを測る悪魔」 12:10-12:40 討論 昼食休憩 9月22日(火)午後 13:30-17:00 セッション3「社会変革」 世話人:嶋田一郎 嶋田 一郎(JSA宮城支部)「『複雑系社会変革理論』の問題点―可能性と限界」 コメント:河野 仁(JSA大阪支部)、菅野 礼司(JSA大阪支部)、長野 八久(JSA大阪支部、大阪大学)、北村 実(JSA東京支部、紙上参加)、工藤 昌宏(JSA東京支部、東京工科大学、紙上参加) (休憩) 志岐 常正(JSA京都支部)「複雑系研究への武谷三段階論導入の試み」 天谷 和夫「持続可能性革命における諸学問の貢献の必要性」 討論 最新のプログラムはこちらでご確認ください。 主催:複雑系科学研究会 参加無料・申し込み不要 問い合わせ先(発表申し込み,学内宿泊施設の利用希望など) 長野八久Yatsuhisa NAGANO(大阪大学大学院理学研究科) nagano(あっと)chem.sci.osaka-u.ac.jp 大阪府豊中市待兼山町1-1 560-0043 Grad. Sch. Sci., Osaka University Toyonaka 560-0043 JAPAN
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開催日:2015年5月9日(土) 会場:大阪大学豊中キャンパスStudent Commons マッチング型セミナー室 <プログラム> 10時〜12時 研究発表と討論 白井浩子 「生物界の階層について」 嶋田一郎 「『臨界』脳から創発する動物適応行動」 13時〜15時 ワークショップ「大学をめぐる葛藤」 コーディネーター:長野八久 15時30分〜17時30分 コメント・自由討論 主催:複雑系科学研究会 参加無料・申し込み不要
日時: 2014年 5月3日(土) 13時〜17時 場所: 大阪大学大学院理学研究科 D 303講義室 主催: 複雑系科学研究会 <プログラム> 13時 開会 長野八久(大阪大・平和学) 趣旨説明 13時30分〜14時30分 牧野広義さん(阪南大・哲学) 「ドイツ脱原発倫理委員会報告に学ぶ」 14時50分〜15時50分 春日 匠さん(原子力市民委員会・科学技術社会論) 「リスク社会の科学論」(仮題) 16時〜17時 討論
開催日: 2013年9月23日(月・祝)・24日(火) 会 場: 大阪大学理学研究科D403(豊中キャンパス) 参加費: 無料(ただし、懇親会は実費) 主 催: 複雑系科学研究委員会 プログラム: 9月23日(月・祝) 09:00 (開会) 【進化】 09:10 A 白井浩子(おかやま環境ネットワーク)「余剰進化論“余剰と変異性との違 いは何か”に答えて」 10:00 B 石神正浩(JSA大阪支部)「化学進化から生物進化へ」 10:30 休憩 10:50 【招待講演】四方哲也(大阪大学)「揺らぐ生命ネットワークの適応と進化」 11:50 昼休み 【進化】 13:00 A 大西 広(慶応義塾大学)「道具を媒介とした生物進化と社会進化の接合仮 説」 13:50 B 粟野 宏(山形大学)「技術体系における諸技術の相互作用と時間発展」 14:20 休憩 【人間発達と社会】 14:40 B 島 泰三(日本アイアイファンド)「あそびについての霊長類学」 15:10 B 高取憲一郎(鳥取大学)「活動理論の展開:ヴィゴツキー,ルリヤ,ピアジ ェ」 15:40 B 尼川大作(JSA兵庫支部)「『複雑系』としてのぞき見たミツバチ・コロニー の世界」 16:10 休憩 16:30 B 宮本友介(大阪大学)「バザール的知の創発」 17:00 B 水嶋一憲(大阪産業大学)「情動とソーシャルメディア」 18:30〜 懇親会 @ 沖縄料理「赤瓦」 9月24日(火) 【人間発達と社会】 09:10 B 嶋田一郎(JSA宮城支部)「複雑系社会変革モデルによる参議院選挙結果など の解析」 09:40 A 富田大介(大阪大学)「生存のアルス−「心体操」について−」 10:30 B 松本陽子(南山大学)「共生における社会アイデンティティ−ジェニン自由 劇場『アルナの子どもたち』(映画)を元に」 11:00 休憩 11:20 B 山縣恒明(国英地区部落長会)「山陰中山間農村の現状と住民の意思決定」 11:50 B 永菅裕一(NPO法人棚田LOVER's)「兵庫中山間農村における棚田の保全と活 用」 12:20 昼休み 【思想・哲学】 13:30 【招待講演】菅野礼司(JSA大阪支部)「複雑系科学の哲学」 14:30 B 天谷和夫「生物進化の歴史の熱力学的解析に基づく価値観の見直し」 15:00 休憩 【複雑系の構造】 15:20 B 安木新一郎(大阪国際大学)「ロシア・通貨バスケット・レートと国際原油 価格の関係について」 15:50 B 橋本 哲(東京学芸大学)「通常のゆらぎと異常なゆらぎは区別できるか 二重相関法による大気ゆらぎの時間・空間(地域)解析」 16:20 B 長野八久(大阪大学)「適応限界温度における細胞性粘菌の細胞内葛藤」 17:00 (閉会) どなたでも自由にご参加いただけます 参加登録は、長野八久 naganoあっとchem.sci.osaka-u.ac.jp まで プログラムページ http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/?nagano/scs3pgr.htm で一部 報告要旨をご覧いただけます
失われた20年とは何であったのか? 人間と文化はどのように変容したのか? 技術は社会変革を媒介することができるのか? そして、複雑系科学は新しい変革主体の形成に貢献できるのか? 日時:2013年4月28日(日)12時〜17時20分、18時から懇親会 場所:大阪大学豊中キャンパス Student Commons 開放型セミナー室 http://www.celas.osaka-u.ac.jp/s_c プログラム: 12時00分 開会 12時00分 長野 八久(大阪大学) 「身体と社会の結節点としての共感 −ワークショップの趣旨説明を兼ねて」 12時20分 中西 新太郎(横浜市立大学) 「現代日本の若者における〈主体〉配備と創発的社会形成」 13時20分 質疑応答+休憩 13時50分 吉野 太郎(関西学院大学) 「情報通信技術とネットワークの形成」 14時50分 天谷 和夫 「持続可能な社会に向けてのIT を活用した世界的変革の連帯の手段としての 超安価目視法NO2簡易測定器」 15時20分 質疑応答+休憩 15時50分 嶋田 一郎(JSA宮城支部) 「動物の適応行動から人間の変革行動へ −変革主体の形成の手掛かりを探る」 16時20分 総合討論 17時20分 閉会 18時頃から 懇親会
4月28日大阪大学(豊中)で,第2回複雑系科学ワークショップが開催された.創発的に階層的ネットワークを形成する人間社会の発展・転換は,複雑系科学の重要な研究課題の1つである.圧倒的多数の国民が自らの未来の選択に関与できない社会の剛直化が進行している.福島原発の事故とその後の困難は,その矛盾が大災害として象徴的に顕在化したものである.しかし,大震災から2年が経過して明らかになったのは,この状況にあってもなお,決して自発的に変革主体が形成され,それが実際に社会を転換させうる国民的運動に発展するわけではないということである.これは,現代を憂慮する人々の強い関心となっている.
ワークショップでは,中西新太郎,吉野太郎,天谷和夫,嶋田一郎の4氏から報告を受け,討論が行われた.これからの 社会の多数派にならざるを得ない若者が,90年代半ば以降の「格差社会・無縁社会」への適応として,文化的世界における 「弱い主体」として現われている(中西).SNSは市民運動に新しい可能性を提供しているが,「いいね」ボタンに象徴 されるような「共感」だけが大規模に集約されるシステムでもある(吉野).権力が情報操作を行っている中で,市民が自 ら情報を検証し,政策課題への判断能力を獲得する1つの具体的な手立てとして,大気汚染の超安価目視NO2簡易測定法の 新たな普及が提案された(天谷).べき乗則を示す動物の「はずれ行動」が人間にも見られ,変革行動の源泉であり,その 拡大条件が変革主体の形成の手がかりであると報告された(嶋田).
ワークショップは,主題である「新しい変革主体の形成」と我々の到達点には未だ大きなギャップがあることを示した.し かし,同時に人間社会の自己組織化における共感,情報の役割が認識されるなど,複雑系科学としての課題もより明確に なった.今後の展開が大いに期待される.(長野八久)
日 時:2012年5月6日(日)10時30分〜17時 場 所:大阪大学 Student Commons開放型セミナー室(豊中キャンパス) http://www.cep.osaka-u.ac.jp/about_center/stucomintor 参加費:無料 主催:複雑系科学研究会・トランセンド研究会 問い合わせ先:長野八久(電話 06-6850-5525, E-mail naganoあっとchem.sci.osaka-u.ac.j p) 参加事前申し込み:不要 (ただし、学内の食堂は休業のため、弁当(500円位)を希望の場合は前日正午までに 長野宛に連絡) 10時30分 開会 Opening Remarks: 長野八久 「平和学の課題と複雑系科学からのアプローチの意味」 話題提供: 11時〜12時 尼川大作 「ダンスによるディベイトと集団意思決定(ミツバチの民主主 義)」 12時〜13時 昼食休憩* *学内の食堂は休業のため、弁当(500円位)の予約を承ります。 13時〜14時 嶋田一郎 「平和学における複雑系『臨界状態』モデルの可能性」 14時〜15時 いとうたけひこ 「複線径路・等至性モデル(trajectory equifinality mo del)による紛争解決 過程の分析」 15時〜15時30分 休憩 15時30分〜16時30分 松本陽子 「社会心理学から見た集団間紛争の緩和過程と、非暴 力抵抗運動の広がり − 人は何に呼応し、ネットワーク化するか」 16時30分〜17時 Concluding Remarks: 藤田明史 「複雑系科学と平和学の接点はどこにあるか」 17時 閉会
2011年9月19日(月・祝)、20日(火)、大阪大学豊中キャンパスにおいて、 第1回複雑系科学シンポジウムが開催されます。複雑系科学に関心のある 研究者、学生、市民の皆さんが多数参加し、21世紀の学問のあり方を切り 開く、活発な討論が展開されることが期待されます。 ---- 第1回 複雑系科学シンポジウム プログラム 2011年9月19日(月・祝) 【哲学・思想】 09:00 春日 匠(大阪大学) 座長: 「創発性の科学」と地球環境問題:メイシー会議、リオサミット、世界社会フォーラムを経て 09:50 志岐常正(JSA京都支部) 複雑系科学としての地質学 10:20〜10:40 休憩 10:40 菅野礼司(JSA大阪支部) 座長:粟野 宏 科学理論の形成と進化−複雑系科学の観点から 11:30 安孫子誠也(聖隷クリストファー大学名誉教授) プリゴジンらの研究と科学的客観性の問題 12:00〜13:00 昼食休憩 【記念講演】 13:00 外池光雄(藍野大学) 座長:松本卓也 人間の五感の統合機能と非侵襲脳機能計測 14:00〜14:10 休憩 【人間と社会】 14:10 白井利明(大阪教育大学) 座長:白井浩子 開放系としての人間の発達 15:00 小寺春人(鶴見大学) 人間性成立の進化的考察 15:30〜15:50 休憩 15:50 藤田明史(立命館大学、トランセンド研究会) 座長: 平和学の可能性と複雑系科学 16:20 粟野 宏(山形大学) 複雑系と社会関係資本 16:50 大城尚子(大阪大学) 沖縄における植民地主義支配の系譜 17:20〜17:30 休憩 17:30 複雑系科学研究会総会 18:30 懇親会 9月20日(火) 【生物と社会の進化】 09:00 白井浩子(みずしま財団) 座長: 進化論:現代の課題 09:50 伊藤 敬(関西芸術学研究会) 認識はどのように能動的かつ論理的対象把握に向かったか −比較文法を素材として 10:20 藤本仰一(大阪大学) いい加減な系から精巧な系に進化する道のりとは? −動物の初期発生を例に 10:50〜11:10 休憩 11:10 安木新一郎(大阪国際大学) 座長:安高真一郎 管理通貨制度下における貨幣の一般的形態 −貨幣の進化を考える 11:40 大西 広(京都大学) 史的唯物論のアイデアとその数理化 12:30〜13:30 昼食休憩 【複雑系の構造】 13:30 嶋田一郎(JSA宮城支部) 座長:藤本仰一 複雑系モデルの地震への適用の試み 14:00 中岡保夫(JSA大阪支部) ゾウリムシの行動と細胞の状態転移 14:30 昌子浩登(京都府立医科大学) 肝臓の類洞の立体構築の数理モデル 15:00〜15:20 休憩 15:20 寺尾 徹(香川大学) 座長: 複雑系としての大気の科学 15:50 長野八久(大阪大学)・大出晃士(理研QBiC) カエル初期発生の結晶成長モデル 16:10 閉会
2010年11月開催の18総学における分科会「複雑系科学と現代唯物論」のプレ企画として,標記の研究会が8月22日,大阪で開かれた.連日35℃を超える猛暑が続く中,20歳から80歳までの24名が集った.研究会では,4名が報告し,討論を行った.
(当日配布された発表資料は,大阪支部まで請求してください.)
菅野礼司(大阪)は報告において,階層性が生まれる原因は相互作用の階層構造と閉じ込め機構にあり,多様性は対称性の破れから生まれると主張した.嶋田一郎(宮城)はショウジョウバエの摂食行動にべき乗則を見出し,その発現機構を「自己組織的臨界」の観点から説明するKHHSモデルを提案した.白井浩子(岡山)は進化を推し進める最も根本的な原動力が個体に蓄えられた余剰エネルギーにあることを力説した.長野八久(大阪)は人間社会の階層構造が生む構造的暴力の問題を指摘し,社会構造が自然に強化されてゆく原因としての人間の特質を解説した.
討論は多岐に亘った.先ず複雑系科学は,自然科学,人文社会科学の広い領域にまたがっているため,この研究会のタイトルに使われた用語も含め,同じ用語(例えばdevelopment)がそれぞれの文脈の中で,異なる意味で使われていることが指摘された.
また,対象を越えた普遍的モデルを探求することは魅力的ではあるが,個別の対象の発展を支配する具体的な物質・機構を明らかにする努力を怠ってはならないことが強調された.
複雑系科学では,今回の研究会のように,できるだけ多分野の研究者が集まり,互いの全く異なる対象の中にヒントを発見し,
また相互に批判しあう機会をつくることがとりわけ重要である.科学者会議こそがその役割を果たし得るのではないか.18総学でのさらなる展開を期待したい.複雑系科学は,現代社会が抱える様々な構造的困難を変革・転換するための指針を示す「変革のための科学」の支柱になるであろう.
(長野八久)