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No.31 2001年10月3日発行 |
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JSA学術情報ニュース |
日本科学者会議学術体制部 |
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(TEL)03-3812-1472 |
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(注:このニュースではホームページを「HP」と表記しています。)
1.総合科学技術会議を軸とした科学・技術政策の展開
この間の総合科学技術会議の主な議題と、これまでの専門調査会等の開催状況を紹介する(9月29日現在)。なお、本会議や専門調査会等の議論は、総合科学技術会議HP(http://www8.cao.go.jp/cstp/)で概ね公表されている。
【総合科学技術会議】
第9回(2001.8.30 17:00-18:00)
@平成14年度予算編成に向けた取組、A科学技術政策の戦略的推進、BITER(国際熱核融合実験炉)計画、C生命倫理:諮問第3号「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針について」の答申、諮問第4号「特定胚の取扱いに関する指針について」、D月例科学技術報告:科学と政策との関係(地球温暖化問題を例として)、E経済活性化のための地域科学技術振興プラン(素案)
第10回(2001.9.21 19:30-20:00)
@ITER計画、A諮問第2号「国の研究開発評価に関する大綱的指針について」、B科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定、C科学技術予算の戦略的重点化=02年度「構造改革特別要求」、分野別推進戦略案
【専門調査会・プロジェクト】
重点分野推進戦略専門調査会:2001/4/10→4/25→5/23→6/12→6/22→7/3→9/12→9/21
<ライフサイエンスプロジェクト>5/10→5/23→6/12→7/16→8/2→8/30→9/14
<情報通信プロジェクト>4/26→5/15→5/28→6/12→7/24→8/23→9/5→9/19
<環境プロジェクト>4/24→5/15→5/22→6/5→7/17→8/3→9/7→9/19
<ナノテクノロジー・材料プロジェクト>4/19→4/23→5/17→5/21→6/8→7/16→8/31→9/12→9/18
<エネルギープロジェクト>4/23→5/14→5/21→6/1→7/13→8/6→9/3→9/17
<製造技術プロジェクト>5/4→5/22→6/11→8/3→8/28→9/17
<社会基盤プロジェクト>4/25→5/10→5/24→6/6→8/9→9/5
<フロンティアプロジェクト>4/27→5/9→5/17→6/7→7/26→8/29
評価専門調査会:2001/4/13→5/14→6/4→7/6→7/27→8/10→8/31→9/20
科学技術システム改革専門調査会:2001/4/12→5/11→5/29→6/7→ →9/
<産学官連携プロジェクト>8/3→8/22
生命倫理専門調査会:2001/4/6→4/26→5/22→6/8→7/5→8/1→8/29→10/5
<特別胚指針プロジェクト>8/ →9/
日本学術会議の在り方に関する専門調査会:2001/5/22→7/31→9/19
総合科学技術会議が、科学技術振興関連の2002年度予算編成計画決める
総合科学技術会議は8月30日、2002年度科学技術関係予算編成スケジュールを決定した。9月中に、ヒアリング、施策の点検、経済財政諮問会議との調整を行い、10-12月に、「平成14年度の科学技術に関する予算・人材等の資源配分の方針」(8月10日閣議了解)を反映した配分が行われるよう科学技術振興予算全体の調整を図る。 (「科学新聞」9/14付け)
アカデミーの独立性など学術会議のあり方で議論
日本学術会議の在り方に関する専門調査会(石井紫郎・会長)の第3回会合では、吉川弘之・日本学術会議会長への質疑応答で、政治的な権力からの独立性、会員の資質の問題、「総会主義」(平均値的な提言・勧告しか出ない)の問題などが取り上げられた。アカデミーに対する対応が、科学に対するその国の姿勢を象徴する国際的評価だとの意見も出た。 (「科学新聞」9/28付け)
競争的資金の間接経費30%、実質は5%止まり
科学技術基本計画は、競争的資金に30%程度の間接経費を導入するとしたが、2001年度予算では約5%程度で、3年後の積算でも約14%程度(約440億円)である。6省が行う特殊法人等による基礎研究推進制度(計約824億円)で0〜4.1%、科学研究費補助金で4.7%、科学技術振興調整費で3.2%、提案公募による革新的技術開発プロジェクトで6.7%。 (「科学新聞」9/7付け)
2.2002(平成14)年度予算概算要求
2002年度予算概算要求、84兆8900億円(特別枠除く一般会計)
塩川財務相は9月11日の閣議で、各省庁の2002年度一般会計概算要求が、情報技術(IT)など重点7分野を対象とする「構造改革特別要求」(9月末締切、8000億円)を除き、84兆8992億円と報告した。構造改革特別要求枠を加えた一般会計総額は85兆7000億円程度になる。政策的経費である一般歳出は47兆8300億円と、当初予算比で4年ぶりの減額。 (「日経」9/11付け)
重点7分野に8030億円・構造改革特別要求の大枠了承
経済財政諮問会議は9月26日、2002年度予算で科学技術振興やITなど重点7分野に配分する「構造改革特別要求」の大枠を了承した。各省庁が8月末に提出した約1000項目の要求素案を政策効果などで評価し、当初要求1兆3875億円を8030億円に絞り込んだ。各省庁は割当に従い9月末までに要求を再提出する。分野別では、最大は科学技術振興2627億円。IT1825億円、人材育成・教育1053億円、環境944億円が続く。来年度予算では構造改革特別要求のほか、公共投資関係費でも1兆円強を重点7分野に配分し、合計2兆円を確保する方針。 (「日経」9/26付け)
科学技術振興に関する各省の2002年度予算概算要求 (「科学新聞」9/7付けから)
【文部科学省】 国立学校特別会計2兆7923億円(対前年度比495億円増)、電源開発促進対策特別会計1559億円(同49億円増)。
◇競争的環境形成:科学研究費補助金1960億円(380億円増)、科学技術振興調整費403億円(60億円増)、独創的革新技術開発提案公募115億円(70億円増)
◇大学施設・研究者養成・理解増進:国立大学等施設整備1383億円(371億円増)、優れた研究者技術者の養成・確保248億円(48億円増) ◇産学官連携1941億円(434億円増)
◇大学改革関連422億円(新規) ◇基礎研究分野632億円(19億円増) ◇ライフサイエンス分野910億円(350億円増) ◇情報通信分野651億円(80億円増)
◇ナノテク材料分野319億円(105億円増) ◇基盤的分野:航空宇宙1929億円(58億円減)、海洋363億円(24億円減)、原子力1377億円(257億円減)、地震・火山噴火等防災対策285億円(86億円増)
【農林水産省】 科学技術・情報通信研究開発関係予算は、1530億円(対前年度比27.7%増)、内構造改革特別要求は447億円。科学技術関係予算は1337.8億円(同20.7%増)
◇植物ゲノム研究の加速106億円◇動物ゲノム研究の加速20億円◇農林水産バイオリサイクル研究22.5億円◇生研機構による民間研究促進64億円◇独法運営費交付金778億円等
【経済産業省】 科学技術関係予算は6907億円(同23.1%増)、内構造改革特別要求は1424億円。
◇戦略的産業技術実用化開発補助75億円◇民間基盤技術研究支援125億円◇新規産業創造技術開発支援100億円◇大学発事業創出実用化研究開発37億円◇大学発ベンチャー経営等支援5億円◇地域新生コンソーシアム研究開発152億円◇独法産総研運営費交付金697億円等
【総務省】 IT革命の積極的推進を図るため、e!プロジェクトの推進(57.4億円)や戦略的情報通信研究開発推進制度(30億円)創設などテレコム関連予算1367億円を要求(内、構造改革特別要求417.7億円)。@超高速ネットワークインフラ整備332億円、A電子政府・自治体実現162億円、B人材育成69億円、Cデジタル・デバイド解消42億円、D戦略的研究開発推進95億円等。
【厚生労働省】科学技術・情報通信研究開発関係の一般会計は、1399.4億円(対前年度比175億円、14.3%増)。科学技術関係予算は1475.7億円(同19.5%増)、情報通信関係予算は、2797.4億円(同17.6%減)。
◇厚生科学研究費補助金595億円◇特定疾患研究278億円◇多様な職業能力開発74億円等
【環境省】 科学技術・情報通信研究開発関係予算は384.2億円、内構造改革特別要求は122億円。科学技術関係予算は345.1億円(同17.6%増)(対前年度比27.7%増)
◇地球環境研究総合推進費35.5億円◇環境技術開発推進費13億円◇地球環境保全等試験研究費23億円◇国立環境研究所98.3億円等
文部科学省が、来年度から科研費を大幅改善
文部科学省は、2002年度の科学研究費補助金から、種目の改廃、公募要領等のHP掲載、博士課程在籍学生の雇用など大幅な改善を図る。総合科学技術会議の資源配分方針を受け、科研費の役割を「研究者の自由な発想によるボトムアップ型基礎研究の推進、人材養成への寄与」と明確化し、効果的な配分を行う。若手向け資金を充実する一方、COE形成プログラムの新規テーマ募集や基礎研究の審査区分「展開研究」を廃止する。 (「科学新聞」9/21付け。文部科学省HP:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/010703.htm)
学振が「スーパー特別研究員」創設へ、特別研究員も「流動性」要求
日本学術振興会は、世界最高水準の研究能力を持つ若手ポスドク支援のため、スーパー特別研究員を創設する。従来の特別研究員から選抜し、月額50万円の研究奨励金、年間300万円までの研究費を3年間支給するもので、概算要求で12人分を盛り込んだ。特別研究員については、流動性確保のため、出身研究室以外の研究を採用条件とする。 (「科学新聞」9/28付け)
私学の経常費補助、9.3%増=特殊法人向けは1割削減-文科省要求
2002年度概算要求での私立大学の経常費補助は、8.2%増の3399億円を確保するが、ほぼ一律に支給される一般補助は30億円減額して2225億円にする。特殊法人「私立学校振興・共済事業団」を通して交付する額を1割カットし、大学院整備、インターネット利用通信教育充実、教養教育充実などに取り組む私大を選抜して国が大学に直接配分する特別補助金572億円を創設する。高校以下も合わせた全私学への経常費補助は9.3%増の4443億円を要求。同事業団を含め同省所管の12特殊法人への国費支出も合計で約1割削減する。 (「時事通信」8/29付け)
九大移転に国立大初のPFI導入、文科省概算要求に準備費
文部科学省は、九州大学の移転に伴う新研究棟建設に、PFI(民間資金を使った社会資本整備=企業と建設や維持管理を委託契約し、完成後に最大30年年賦で返却)方式導入を決めた。京都大工学研究科移転など国立大関係3事業をPFI方式の主要候補に挙げ、準備経費計2億円を02年度概算要求に盛り込む(事業規模は全体で700億円)。 (「西日本」8/30日付け)
国家公務員定員要求、純減が過去最高だが、非現業は純増
総務省まとめによると、各省庁の2002年度定員要求は、現業・非現業部門を併せた全体の増員要求は6806人で、01年度要求に比べ556人減少。定員削減計画に基づく削減数は1万2338人で、純減数は5532人と過去最高。非現業部門だけでは増員要求5810人、削減4928人、差引き882人の純増で、純増数は01年度要求に比べて198人増。 (「日経」9/11付け)
3.小泉「改革」をめぐる動き
153臨時国会で小泉首相が所信表明、
小泉首相が9月27日、所信表明演説を行った。@努力が報われ、再挑戦できる社会、A民間と地方の知恵が、活力と豊かさを生み出す社会、B人をいたわり、安全で安心に暮らせる社会、C美しい環境に囲まれ、快適に過ごせる社会、D子どもたちの夢と希望を育む社会を「小泉構造改革5つの目標」とした。経済・財政構造改革での「競争的な経済システムの構築」として「科学技術分野への戦略的な研究開発投資を促進」すると述べた。 (各紙9/28付け。官邸HP:http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2001/0927syosin.html))
経済財政諮問会議が「改革工程表」、「改革先行プログラム(中間取りまとめ)」を決定
経済財政諮問会議は9月21日、今後の構造改革の全体像と手順を示す「改革工程表」と、最優先に取り組む施策をまとめた「改革先行プログラム」の中間取りまとめを決めた。不良債権処理、規制改革、雇用対策等の「改革先行プログラム」は、10月中下旬に最終案をまとめ、臨時国会での法改正や2001年度補正予算に計上する。「改革工程表」では、不良債権処理など15項目について、(秋の)臨時国会、13年度中、次期通常国会、14年度中などの実施時期目標を提示した。
科学技術・ベンチャーでは、地域経済再生のためのイノベーションや総合科学技術会議の調整による4分野への研究開発資源重点化。人材育成・教育では、「トップ30」育成のための第三者評価による競争原理導入と重点投資、国立大の早期独法化のため、13年度中に方向性決定、などを決めている。 (「日経」9/22付けなど。経済財政諮問会議HP:http://www5.cao.go.jp/shimon/2001/0921/0921item2.pdf)
工程表決定過程に、科技相が不快感
尾身幸次科学技術担当相は9月25日の閣僚懇談会で、「改革工程表を実施するのは内閣の責任なので、閣議決定などの必要な手続きを踏まなければならない」と述べ、経済財政諮問会議による改革工程表の決定過程に不快感を示した。 (「日経」9/25付け)
「改革工程表」等に財界が歓迎のコメント
経済団体連合会の今井会長は9月21日、「極めて時宜を得た対応」とし、補正予算での必要な予算措置や、経済財政諮問会議が「中期経済財政計画」の早急な策定を期待する、とコメントした(http://www.keidanren.or.jp/)。経済同友会(小林陽太郎代表幹事)は9月21日、「我々が主張してきた点、例えば雇用対策や福祉・保育等における民間活力の活用などが取り上げられており評価できる」とし、「着実な実行」と「臨時国会で必要な手当」を求めた(http://www.doyukai.or.jp/)。日本商工会議所も9月20日、社会資本整備、中小企業セーフティネット対策、創業支援等の「当面の経済運営に関する緊急提言」を発表した。 (http://www.jcci.or.jp)
政府雇用対策、学部・学科の新設弾力化、大学で起業、人材受け皿に
政府の産業構造改革・雇用対策本部は、大学拠点ベンチャー企業を設立しやすくするため、学部や学科の新設・改廃に関する文部科学省の認可規制を順次緩和する。今年度中に、企業が国立大学敷地内に低賃料で事務所を借り、大学の研究施設を使える「インキュベーションセンター」(育成センター)を設置可能にする。 (「日経」9/19付け)
特殊法人改革で各省庁が具体策、日本育英会は「財団化」
石原行革担当相が各省庁に求めている特殊法人の廃止・民営化の具体策で、文部科学省は、日本育英会について、債務保証制度導入などを条件に財団法人などへの移行を検討する。日本私立学校振興・共済事業団については「利益を上げているわけではない」と存続を主張。放送大学は独立法人化を検討。日本学術振興会と科学技術振興事業団は重複業務統合でスリム化。理化学研究所や核燃料サイクル開発機構は事業の一部を廃止し民間委譲。(「毎日」9/1付け)
自民が首相方針に異論、科学者の意見聴取を要求
自民党・行政改革推進本部は9月13日、幹部会を開いた。小泉首相の特殊法人廃止・民営化方針に対し、調査・研究開発法人への一律適用は困難との意見が相次ぎ、総合科学技術会議の民間メンバーが、科学者の意見を聞くよう石原行革担当相に申し入れた。 (「共同通信」9/13)
日本育英会の廃止検討を、自民部会が提言
自民党・行政改革推進本部が9月26日に行った政調会三部会からのヒアリングで、文教部会が、日本育英会廃止の検討を提言した(高校校生向け奨学金は地方移管)。
(「共同通信」9/26付け)
宇宙分野の3研究機関、2003年度に統合
文部科学省は、特殊法人の宇宙開発事業団、大学共同利用機関である宇宙科学研究所、独立行政法人の航空宇宙技術研究所の3機関を、2003年度にも統合する方針を固めた。統合後は、非公務員型の独立行政法人にする予定。青山丘副大臣の下に「宇宙3機関統合準備会議」を設置し、年度内に報告書をまとめる。 (「読売」8/16、「科学新聞」8/31付け)
特殊法人改革は民営化を前提に、首相指示受け転換
政府の行政改革推進事務局は、すべての特殊・認可法人に、民営化を前提にした組織見直し案を所管省庁に提出させる。これまでの独立行政法人化中心の検討を、小泉首相の「廃止・民営化を前提に改革作業に取り組むべき」との石原行革担当相への指示で転換する。各省庁に、@債務等の清算、A民営化後の事業形態等の具体的見直し案を提出させる。 (「朝日」8/10付け)
4.大学、教育と文部科学省をめぐる動き
(注:情勢の変化が早いため、独立行政法人化問題の情勢や関係各界の具体的な動きは、全大教近畿HP=http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/、独行法反対首都圏ネットワークHP=http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html、独立行政法人化問題週報HP=http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.htmlなどをご参照ください。)
調査検討会議が、国立大独法化で「中間報告」。文部科学省がHPで意見募集
文部科学省の調査検討会議(主査=・長尾真・京大学長)は9月27日、基本的枠組みを示した中間報告を提出した。予算・組織・人事など文科省の規制を大幅に緩和して国立大の裁量を拡大、民間的な経営を求めた。学長を長とし、1大学1法人の「国立大学法人」(仮称)。大学の運営組織の意思決定では、経営と教育研究を切り離し、教員は経営責任を負わない案と教員が経営責任を負う案などが併記され、教職員の身分を公務員型か非公務員型にするかも結論を先送りにした。文科省は、同会議が年度内にまとめる最終報告をもとに、03年度までに法案を国会提出、早ければ04年度に国立大学法人が誕生する。 (「朝日」「毎日」9/28付け等)
文部科学省は9月28日、「新しい国立大学法人像について(中間報告)」をHPに掲載した。組織業務、目標評価、人事制度、財務会計制度などからなる。10月29日まで、郵便・電子メールで意見募集する。
(文部科学省HP:http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2001/010901.htm)
中間報告が示した主な制度変更 (「朝日」9/28付けより)
現在
法人化後
位置づけ 文科省の下部機関 独立した法人
組織改編 法令、予算などで規制 大学判断で学科、事務組織改編も
業務外部委託 基本的に認めない 付属施設の独立や業務委託可能に
学生定員 設置認可、予算で規制 大学が中期計画で規定
中期目標・計画 なし 大学が原案作成
学外者参加 運営諮問会議に登用 役員など運営に参画
収益事業 認めない 教育研究と関連事業は可
学長選考 学内の評議会で選考 学外者を選考過程に加える
幹部事務職員 文科省が任命 学長が任命
教職員給与 法律で一律規定 大学で定め、業績給や年俸制も
勤務形態 法律で兼業・兼職規制 兼業・兼職の規制緩和
財務 単年度予算、費目特定 使途特定せず、繰り越しも可
大学の収入 一括して国庫繰り入れ 寄付など自己収入に
学生納付金 全国一律 一定枠内で大学判断
国大協会長が、国立大法人化案、トップ30育成方針を批判。10月末には独法化で意見書
国立大学協会は10月1日、調査検討会議の中間報告を、「国立大がもつべき自主性、自律性という観点から検討を要する点がある」と長尾真・会長談話で批判した。今後細部まで検討し、10月末をめどに意見書をまとめる。また同省の「大胆な再編統合」「トップ30育成」についても、「一方的に作成し発表」「現場では無用の混乱も生じている」と非難した。
(「朝日」10/1付け等)
国大協WGが法人化控え再編指針案、国立・公立大の合併も
国立大学協会理事会将来構想ワーキンググループ(座長=松尾稔・名古屋大学長)は8月30日、「各大学がこの問題を検討する際の参考となり得る資料」として、「国立大学の統合・再編等について」をまとめた。検討の前提として
@各大学が自発的、自主的に進める A教育研究基盤を強化し、新学問領域の創造など新たな価値を生み出すことなどを指摘。今後の課題として「互いに大きな利点がある場合」との条件付きで、公立大を含めた統合・再編を認めた。
(「東京」8/31付け。全文は国大協HP:http://203.138.49.174/katsudo/giji_riji/h13_8_30.txt)
文部科学省が、上位30大学に予算重点配分の方針を具体化
文部科学省は、研究や人材育成に実績をあげている国公私立大学に対し、来年度から予算を重点配分する方針を決めた。研究・教育分野ごとに30大学を選び、従来の大学予算とは別に、年1-5億円程度を上乗せ助成したい考えだ。初年度の02年度は5分野を予定し、422億円を概算要求に盛り込む。2年目から10分野に拡大する方針。大学の申請に基づき、第三者である専門家の委員会が評価し、分野ごとに、大学院の専攻単位で「トップ30」を選ぶ。交付先は毎年度見直し、競争を促す。のべ約300大学に平均約2.8億円ずつ配分することを想定している。10月まで科学技術・学術審議会の学術分科会と中央教育審議会の大学分科会で意見を集約し、来年1月から公募を開始する。 (「朝日」8/25付け、「毎日」8/31付け、「科学新聞」9/7付け)
国大協と文科省が「トップ30」で懇談
文部科学省の申出で8月30日、「国公私トッブ30の概算要求について」、国大協将来構想WGと文科省大学改革官室長が懇談した。31日付で、国大協会長が各学長宛に概要を報告している。 (大学改革情報ネットワーク:http://wwwhep.s.kanazawa-u.ac.jp/reform/index.html)
文部科学省による「国立大学序列表」
文部科学省が、旧帝大、旧官立大学、新7大学、部制大、その他の5群に厳格に序列化し、人事や大学改革等の運営を進めていたことは公然の秘密だが、附属病院を含めた序列一覧表が暴露された。 (独行法反対首都圏ネットHP:http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html)
全大教が、国立大学法人の対案を発表
全国大学高専教職員組合が8月31日、文部科学省等に対して、「学術・文化の未来を担う、高い自律性をもった国立大学をめざして(第一次案)―国立大学法人が備えるべき理念と諸原則〜私たちの「対案」」を提出した。「国立大学法人が備えるべき諸原則」や「大学法人の制度設計に関わり少なくとも具備すべき条件」など。 (全大教HP:http://www.zendaikyo.or.jp/)
文科省が大学発ベンチャーの知恵を公募
文部科学省は、「産学官連携システム改革プラン」を打ち出す。企業などから事業化研究テーマを公募し、大学との共同研究に研究資金助成(最大5000万円)や、大学の研究成果で創業するベンチャー企業に資金支援(創業後2-3年間、5000万円上限)する。 (「日経」9/6付け)
文科省、大学や国立研保有の特許売り込む
文部科学省は大学や国立研究機関が持つ特許の利用拡大を目指し、産業界への売り込み体制を強化する。全国20カ所の技術移転機関(TLO)や科学技術振興事業団を通じて実施している技術移転事業を相互に協力させ、特許データベースの共有化で企業の利用を容易にする。一連の見直し内容を2002年度概算要求に盛り込む。 (「日経」8/14付け)
文科省・特許庁、大学に特許専門家を派遣
文部科学省と特許庁はそれぞれ、弁理士や弁護士、企業の知的財産管理部門経験者らを大学に派遣し、特許出願の助言をしたり、大学の技術発掘支援事業に乗り出す。大学発ベンチャー1000社実現に向け、大学教官や研究者のビジネスへの取組みを後押しする。専門家派遣経費として02年度予算に、文科省約20億円、経済産業省1.44億円を要求。 (「日経」8/27付け)
経産省・文科省が、即戦力技術者大量育成進める
経済産業省は文部科学省と連携し、「技術人材240万人能力開発総合推進プログラム」として、即戦力として能力を発揮できる優秀な人材の育成・確保を図る。2006年度までの5カ年計画で、@即戦力技術人材大量養成計画(概算要求額約300億円)、A技術者240万人生涯教育計画(同232億円)、B人材育成機関評価推進計画(同30億円)-の3事業。 (「日本工業」8/24付け)
教員養成大と教委との連携を強化、文科省が提言
文部科学省は、教員の質向上などを目指し、教員養成大学と教育委員会との連携強化の具体策をまとめた。現場が求める教員像を意識した大学教育と学生段階から学校教育に参加する道の拡大を目指し、人事の交流や教員養成カリキュラム見直しのほか、大学生のボランティアや教員補助員などで学校現場を体験する機会を増やす、など。 (「朝日」9/2付け)
入試ミスの3大学、学長裁量の経費大幅カット
文部科学省は、入試ミスが発覚した山形、富山、金沢大学の学長裁量経費の「プロジェクト経費」を減額する方針を固めた。ミス隠しも判明した富山大は全額カット、山形大と金沢大は半額。学長裁量経費は、旧文部省が89年に創設し、今年度は総額約210億円。 (「読売」9/5付け)
5.その他科学技術をめぐる動き
文部科学省が、研究活動実態調査報告」(平成12年度)を公表
文部科学省科学技術・学術政策局が9月26日、「我が国の研究活動の実態に関する調査報告」(平成12年度)を公表した。@所属機関で、研究者の評価の処遇への反映度にばらつきがあり、企業研究者は俸給への期待度が高い、A最適な競争的資金の割合は、20〜30%の回答が最も多く、大学では40%以上の回答割合が過半数、B補助的業務に対する負担感が大きい、研究者の約7割が流動化を肯定、大学や公的研究機関の研究者は特許化に消極的、など。 (文部科学省HP:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/09/010914.htm)
文部科学省が本年度の振興調整費の審査結果を発表、4分野に重点化
文部科学省が9月3日、振興調整費の審査結果をHPで発表した。総応募数1120件の約10%にあたる113件が採択されたが、若手任期付研究員支援を除くと採択率は4.2%。446件と最も応募の集中した「萌芽的研究」の採択率は2.9%。 (文部科学省HP:http://www.mext.go.jp)
基礎研究の投資拡充で、科学技術・学術審議会が文科相に異例の建議
科学技術・学術審議会は8月9日、遠山文科相に「科学技術・学術振興に関する当面の重要事項について」(建議)を行った。「国家的・社会的課題に対応した研究開発及び基礎研究をバランスよく推進するとともに、世界最高水準の優れた研究成果を生み出し活用しうる研究開発環境を構築することが重要」とし、「研究者の自由な発想に基づく基礎研究にも幅広く投資すべき」と指摘している。 (「朝日」8/9付け。建議全文は文部科学省HP:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/toushin/010801.htm)
科学技術・学術審議会が「知的基盤整備計画」を答申
科学技術・学術審議会が8月30日、「知的基盤整備計画-2010年の世界最高水準の整備に向けて」を答申した。第2期科学技術基本計画に基づき、欧米に比べ著しく整備が遅れている研究用材料、計量標準、関連データベースなどの戦略目標と重点化方針を定めた。 (文部科学省HP:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/toushin/010803.htm)
科学技術・学術審議会に国際化推進委員会を設置
科学技術・学術審議会は、国際化推進委員会を設置することを決めた。国際協力活動の一本化、海外への情報発信の強化、研究環境の国際化などを議論する。 (「科学新聞」8/17付け)
日本工学会などが「100万人科学技術者代表者集会シンポ」を開催
日本工学会(大橋秀雄・会長)、日本学術会議第5部(冨浦梓・部長)等が9月4日、尾身科技担当相らを招き、百万人科学技術者代表者集会「科学技術の新世紀」を開催した。内閣府、経産省、文科省の講演や、総合科学技術会議の重点4分野の責任者の説明など。(「科学新聞」9/14付け)
国際競争力アップで産学官連携サミット開催へ
内閣府、経団連、日本学術会議は、企業・大学・省庁トップら約200人による「産学官連携サミット」を今年11月に開催することを明らかにした。産学の連携を強化することで、国内産業界の技術水準を向上させ、国際競争力を高めるのが狙い。 (「読売」8/19付け)
高技術者育成に厚労省が来年度に会議設置
厚生労働省は、技術革新の進展に対応できる高度な技術と能力を持つ労働者育成のため「人材大国創造総合会議」(仮称)を来年度中に設置し、総合的人材育成システムを作る。大学(院)を活用した社会人向け教育訓練コースなど、概算要求で1760億円余。 (「毎日」8/22付け)
学術会議が「日本の計画」作成へ
日本学術会議は9月10日、日本の計画委員会(委員長=黒川清・副会長)の第11回会合を開催した。7特別委員会が中間報告し、学術の観点から日本と世界のあり方の「21世紀の発展モデル」を示す。「日本の計画(Japan
Perspective)」を来年4月に作成する。 (「科学新聞」9/21付け)
論文発表数で日本が健闘
世界最大の論文情報データベース、ISIトムソン・サイエンティフィック社が、最近10年間の発表論文を対象に19分野で非引用数の多い研究機関トップ5を公表した。日本の大学は、4分野でランク入りしているが、分子生物学・遺伝学のランク入りはない。 (「科学新聞」8/3付け)
大学進学率頭打ち、不登校は過去最多ー学校基本調査で
大学・短大進学率(含む浪人生)が、48.6%と12年ぶりに減少し、現役高校生でも45.1%で横ばい。一方、昨年度の不登校小中学生(30日以上欠席)は、13.4万人で過去最多。 (「朝日」8/12付け。文部科学省HP:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/08/010810.htm)
6.学術関連雑誌の特集等
「学術の動向」(日本学術会議)
01年8月号 特集/遺伝子組換え食品をめぐる最近の動向。特集/第1回アジア学術会議
01年9月号 特集/10代は変わったか! 第3回持続可能なエネルギーと環境技術に関するアジア太平洋会議
「学術月報」(日本学術振興会、丸善発行)
01年7月号 特集/免疫学研究の最新動向。
01年8月号 特集/平成13年度文部科学省科学技術関係施策及び日本学術振興会主要事業の概要
「大学と学生」(文部科学省高等教育局学生課編、第一法規出版発行)
01年8月(No.440) 特集/修学指導
01年9月(No.441) 特集/大学と国際教育協力
「大学資料」(大学教育研究会監修、(財)文教協会発行) <最新号未着>
「科学」(岩波書店発行)
01年8月号 特集1/宇宙論はどこへ向かうのか?
特集2/あなたが考える科学とは
01年9月号 特集1/現場で語る地球の環境。特集2/あなたが考える科学とは
01年10月号 特集1/大学改革はどこへ向かうのか?
特集2/あなたが考える科学とは
「政策研ニュース」(文部科学省科学技術政策研究所。http://www.nistep.go.jp)
01年7月号(No.153) 第7回技術予測調査。海外事情/科学技術統計の整備をめぐる動向-フラスカティ・マニュアル改訂を中心に[前編]
01年8月号(No.154) 地域における科学技術振興に関する調査研究(第5回調査)。海外事情/科学技術統計の整備をめぐる動向―フラスカティ・マニュアル改訂を中心に[後編]
01年9月号(No.155) 「科学技術研究調査」の見直しへの対応-検討と提案。
「理科教室」(科学教育研究協議会編。新生出版発行)
01年8月号 特集1/地震と火山の学習で学ぶべきこと。特集2/中学校の選択理科をどう創るか
01年9月号 特集1/「溶ける」が分かる。特集2/科学史から何を学ぶか
01年10月号 特集1/細胞は生命の主役だ。特集2/21世紀の教科書はこれでいいのか
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(本号は、主に2001年8月〜2001年9月の情報を扱っています)