No.30　 2001年8月7日発行
ＪＳＡ学術情報ニュース	日本科学者会議学術体制部
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(注：このニュースではホームページを｢ＨＰ｣と表記しています。)

１．総合科学技術会議を軸とした科学・技術政策の展開

　2001年1月に発足した総合科学技術会議は、ほぼ毎月本会議を開催し、科学技術をめぐる情勢を掌握し、科学技術システム｢改革｣の具体的方針を策定している(ただし毎回の開催時間は、1時間程度)。また、専門調査会とその下に設けた分科会やプロジェクトでの産学官の議論を通じ、個別課題ごとに重点化方針を具体化している。前身の科学技術会議と比べ、会議頻度の高さ、議論参加メンバーの多さにより、策定された方針具体化の｢機動性｣が高まっている。

　総合科学技術会議発足以来の主な議題を紹介する(8月4日現在)。なお、本会議や専門調査会等の議論は、総合科学技術会議ＨＰ(http://www8.cao.go.jp/cstp/)で概ね公表されている。

第１回(2001.1.18 9:30-10:20)

○諮問第１号｢科学技術に関する総合戦略について｣ ○総合科学技術会議の今後の審議方針 ○専門調査会の設置(重点分野推進戦略専門調査会、評価専門調査会、科学技術システム改革専門調査会、生命倫理専門調査会、日本学術会議の在り方に関する専門調査会)

第２回(2001.2.15 10:00-11:00)

○諮問第１号の審議

第３回(2001.3.22 17:30-18:30)

○諮問第１号｢科学技術に関する総合戦略について｣に対する答申 ○諮問第２号｢国の研究開発評価に関する大綱的指針について｣ ○科学技術振興調整費の活用に関する基本方針 ○平成13年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方

第４回(2001.3.27)

○｢科学技術基本計画｣(閣議決定案)への同意を、全会一致で議決

第５回(2001.4.19 9:00-10:00)

○平成14年度資源配分の方針に関する今後の進め方 ○国立大学等施設緊急整備５か年計画 ○諮問第３号「ヒトＥＳ細胞の樹立及び使用に関する指針について」

第６回（2001.5.24 9:15-10:15）

○平成14年度予算に向けた当面の政策課題

第７回(2001.6.26 17:00-17:50)

○平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針 ○大学、国立試験研究機関等の施設整備について ○競争的資金について ○平成13年度の科学技術振興調整費の配分方針 ○遠山議員資料(｢大学を起点とする日本経済活性化のための構造改革プラン｣) ○平沼議員資料(｢産業構造改革・雇用対策本部の中間とりまとめ概要｣)

第８回（2001.7.11 10:45-11:00）

○平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針 ○平成13年度における科学技術振興調整費による実施課題等の評価のための基本的な方針

総合科学技術会議が、2002年度予算等の基本方針を決定

　総合科学技術会議は7月11日、｢平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針｣を決定した。｢ライフサイエンス｣｢情報通信｣｢環境｣｢ナノテクノロジー･材料｣の４分野を重点とし、戦略的研究開発体制の構築を目指す。国立大学等の施設整備では、狭隘な大学院や、世界的レベルの研究拠点の増改築を重点的に進める。公的研究機関と産業界トップの｢産学官連携サミット｣の開催を提唱し、両者の｢融合｣による新たな産業の創出を期待する。他方、従来の研究の整理合理化も求めている。　(各紙7/11付け夕刊、｢科学新聞｣7/6付け)

大学共同利用機関所長有志が、｢基礎研究への配慮が不十分｣と小泉首相に要望書

11共同利用機関の所長ら18人が7月11日、要望書｢わが国の最近の科学技術政策についてー基礎的科学研究の推進の必要性｣を小泉首相に提出した。｢産業指向の短期的研究が強く、基盤となる基礎研究への配慮が不十分｣と指摘し、�@基礎研究分野と重点分野のバランス、�A基礎科学･基礎研究重視の方策確保などを提起している。 （｢科学新聞｣7/20付け。要望書は、独立行政法人反対首都圏ネットワークＨＰ　http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.htmlに掲載）

基礎研究評価の大綱的指針で方針

　｢国の研究開発全般に共通する評価の実施方法のあり方についての大綱的指針｣の改訂を進めている評価専門調査会(桑原洋会長)は6月4日、米国ＮＩＨに倣い、基礎的基盤的な側面の強い競争的研究資金の中間評価や事後評価を行わないこととした。　(｢科学新聞｣6/15付け)

先端研究の産学官連携へ、総合科学技術会議にワーキンググループ

　総合科学技術会議は8月3日、大学と産業界をそれぞれ所管する文科､経産両省の政策を具体化するための｢産学官連携ワーキンググループ｣を発足させる。　(｢読売｣7/28付け)

総合科学技術会議ライフ会合で、勝てる分野への重点的予算措置の議論

　ライフサイエンスプロジェクト第1回会合(5/10)では、基礎研究には長期的な予算措置を、社会ニーズに対応する研究には重点的予算措置を施す、というメリハリある予算配分を行い、日本が勝てる分野を見据えた重点化をすべきだという意見が多く出た。　(｢科学新聞｣5/18付け)

総合科学技術会議が、非公務員型独立行政法人についての報告を公表

　総合科学技術会議は5月24日、尾身担当相と有識者議員が検討している国立大学の非公務員型独立行政法人についての報告を公表した。　(｢科学新聞｣6/1付け)

大学整備に民間資金導入を、総合科学技術会議専門調査会が提言

　科学技術システム改革専門調査会(前田勝之助会長)は6月20日、国公立大や国立研施設の公共事業による整備、民間資金活用の導入(ＰＦＩ)などの提言をまとめた。また、各大学や研究機関が提出する改革の取組みや将来構想に基づき重点的に予算配分する。　(｢共同｣6/20付け)

学術会議の在り方専門調査会で｢白紙で検討｣を確認

　｢日本学術会議の在り方に関する専門調査会｣(石井紫郎会長)の第1回会合が開催された。国内外でアカデミアを代表する機関としてどういうものが求められているか、｢白紙の状態でこれから検討する｣ことで概ね合意した。2002年9-10月に最終案の予定。　(｢科学新聞｣6/8付け)

科学技術政策研究所が、科学技術動向を毎月公表

　科学技術政策研究所科学技術動向研究センターが、科学技術動向をＨＰで公表している。科学技術基本計画の重点分野毎の｢トピックス｣といくつかの特集とからなる。6月号では｢米国の新国家エネルギー政策｣｢米国の科学技術政策動向｣、5月号では｢日米欧の政府R&D予算に関する政策動向｣が特集にある。　(科学技術政策研究所ＨＰ　http://www.nistep.go.jp)

科学政策研究所の内閣府への移管を検討

　政府は｢総合調整機能｣強化として、文部科学省の｢科学技術政策研究所｣を総合科学技術会議の直属とする案を検討している。判断材料となる情報収集力の強化を期待。　(｢朝日｣7/4付け)

政府広報誌｢時の動き｣が、科学技術基本計画などを特集

　｢時の動き｣2001年6月号の特集は｢科学技術基本計画｣と｢ユネスコ加盟50周年｣ (税込190円)

２．内閣主導の諮問会議等の動き

小泉首相が、8月中に｢改革工程表｣作成を表明

　小泉首相が、｢構造改革｣の具体的な手順を示す｢改革工程表｣を8月中にも提示すると述べた。9月中旬まで、臨時国会、来年度予算編成の3段階に分けて実施時期を示す。　(各紙7/30付け)

経済財政諮問会議が｢骨太｣の方針

　経済財政諮問会議は6月21日、同日付の｢今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針｣に関する｢諮問第1号｣への答申を決めた(6月26日に閣議決定)。｢新世紀維新｣が目指す｢経済再生シナリオ｣として、｢不良債権問題の抜本的解決｣と｢7つの改革プログラム｣、政策プロセス改革などを提言している。｢構造改革と経済活性化｣で、国立大学の法人化･民営化も検討、施設建替えでのＰＦＩ(民間資金活用による社会資本整備)の活用、4分野への戦略的重点化と競争観点の反映等による｢知的財産倍増プログラム｣などをあげている。　(各紙6/21付け。経済財政諮問会議ＨＰ　http://www5.cao.go.jp/shimon/、官邸ＨＰ　http://www.kantei.go.jp/)

総合規制改革会議が、6分野(医療､福祉､人材､教育､環境､都市再生)で中間取りまとめ

　総合規制改革会議(議長=宮内義彦･オリックス会長)は7月24日、｢重点6分野に関する中間とりまとめ｣を行った。｢人材｣で、派遣労働･有期労働契約･裁量労働制拡大などを、｢教育｣で、大学の競争的環境の整備、学部･学科の設置･改廃の弾力化、外部専門家の登用、初中等教育の透明性と多様化などを提起している。　(総合規制改革会議ＨＰ　http://www8.cao.go.jp/kisei/)

100万の社会人を大学で能力開発し転職支援、政府の雇用創出中間報告で

　産業構造改革･雇用対策本部(本部長=小泉首相)は6月26日、大学の研究開発能力をいかした｢新市場･新産業の育成による雇用創出｣を柱とする｢中間とりまとめ｣を決定した。｢大学発ベンチャー｣の3年で1000社目標を掲げ、大学や医療機関の競争促進、｢トップ30大学｣への重点投資などの外、｢社会人キャリアアップ100万人計画｣(失業者の転職支援策として大学で学ぶ社会人を5年間で100万人に)、など。　（官邸ＨＰ　http://wwww.kantei.go.jp/jp/sangyoukouzou/)

特殊法人見直し「中間とりまとめ」要旨

　政府の特殊法人等事業見直し｢中間とりまとめ｣は研究開発関連の特殊法人にも言及している。

・科学技術基本計画で重点分野でないか、投資額に見合った成果が出ていない場合、廃止も含め検討　　　宇宙開発事業団▽日本原子力研究所▽理化学研究所▽核燃料サイクル開発機構▽海洋科学技術センター▽科学技術振興事業団▽日本学術振興会▽通信・放送機構▽医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構▽海洋水産資源開発センター▽生物系特定産業技術研究推進機構▽石油公団▽金属鉱業事業団▽新エネルギー・産業技術総合開発機構 等

・政府出資金の研究開発費充当は基本的に廃止の方向で検討　　　宇宙開発事業団▽日本原子力研究所▽理化学研究所▽核燃料サイクル開発機構▽海洋科学技術センター▽科学技術振興事業団▽日本学術振興会▽通信・放送機構▽医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構▽生物系特定産業技術研究推進機構▽新エネルギー・産業技術総合開発機構 等　(｢日経｣6/22付けなど)

行政改革推進本部が公益法人改革の方針決める、９割は問題指摘のみ

　行政改革推進本部は7月23日、公益法人改革の具体化方針を決めた。社会的必要性を失った制度や技能審査の大臣認定などを原則廃止するが、国の補助金や業務委託を受ける約1000法人が対象。汚職事件のＫＳＤなど残り9割近い法人は｢民間の問題｣として、問題点の指摘のみ。今後各省庁が、所管公益法人と協議して見直しを進め、来年3月末に決定する。　(｢朝日｣7/23付け)

｢首相主導｣に役所が便乗

　｢直属機関｣本部･会議に、官僚が予算獲得へアイデアを持ち込んでいるとし、具体例として、産業構造改革･雇用対策本部(全閣僚がメンバー)での、経産省の｢平沼プラン｣と文科省の｢遠山プラン｣をあげている。本来なら審議会に諮る問題も｢本部｣で首相のお墨付きを得れば、与党や他省庁も抵抗しにくいとして、官僚たちの熱い視線が注がれている。　(｢朝日｣7/5付け)

各省庁の重点分野概算要求に｢事業評価｣を義務付け

　経済財政諮問会議(議長=小泉首相）と財務省は7月6日、2002年度予算の概算要求に当たって、各省庁がＩＴなど7重点分野の予算要求には、雇用創出効果や民間需要誘発効果の試算を盛り込んだ事業評価報告書の提出を義務付ける方針を決めた。経済効果を数値化して比較し、事業の優先順位を付け、メリハリの利いた予算編成を実現する狙い。　(｢読売｣7/7付け)

尾身科技担当相、｢補正予算は科学振興に｣

　尾身科技担当相は7月31日、補正予算は、産学官連携､大学発ベンチャ支援､中小企業の技術開発など｢地域の科学技術の振興に使い、景気回復を図るべき｣と述べた。1000億円投入で、5200億円の経済効果と約2万6千人の新規雇用を見込み、3-4000億円投入を提唱。(｢日経｣8/1付け)

３．大学、教育と文部科学省をめぐる動き

（注：情勢の変化が早いため、独立行政法人化問題の情勢や関係各界の具体的な動きは、全大教近畿ＨＰ=http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/、独行法反対首都圏ネットワークＨＰ=http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html、独立行政法人化問題週報ＨＰ=http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.htmlなどをご参照ください。）

科技･学術審議会が、基礎研究重視で科研費大幅増額を提唱

　科学技術･学術審議会学術分科会が、学術研究の重要性について見解をまとめた。基礎研究を軽視すれば、10､20年先に日本の研究が国際的な指導性や競争力を失うと懸念を表明し、科学研究費補助金の大幅幅など、広い基礎研究への十分な投資を主張した。　(｢科学新聞｣8/3付け)

科技･学術審議会研究評価部会が初会合

　科学技術･学術審議会研究計画･評価分科会が7月18日開催された。部会長に選出された野衣良治･名大大学院教は、｢装置や試薬の欧米依存で日本の研究が空洞化している｣｢研究者をエンカレッジするような評価をしていきたい｣と述べた。　(｢科学新聞｣7/27付け)

学術審が、大学発企業に資金援助の中間報告

　科学技術･学術審議会が7月31日、産学連携の進め方について中間報告をまとめた。大学は産学官連携の中核機関としてベンチャー企業の育成機能を持つべきとし、ベンチャー起業を志す大学院生らへの資金提供や企業の国立大敷地への低額入居などを提案した。　(｢日経｣8/1付け)

産学連携のルールを明確化へ、学術審議会

　科学技術･学術審議会は5月15日、大学の公益性と大学教員の個人的利益の｢利益相反｣問題を、今後の議題として取り上げることとした。欧米では、ガイドライン作成、産学連携の届出義務や相談機関設置など大学ごとにルールがあるが、日本ではほとんどない。　(｢朝日｣5/16付け）

科技･学術審議会が、｢知的基盤整備計画案｣

　科学技術･学術審議会技術･研究基盤部会は7月25日、2010年までに材料、標準やデータベース等の知的基盤を整備する｢知的基盤整備計画(案)｣をまとめた。基本計画を踏まえ、基礎研究と重点8分野を支える知的基盤に重点化している。8月下旬に正式決定。　(｢科学新聞｣8/3付け)

文部科学省、経済財政諮問会議に大学構造改革プラン、国立大の特許取得15倍に

　文部科学省は、6月11日の経済財政諮問会議に大学の｢構造改革｣プランを示した。ビジネス講座創設、企業家の育成、教官の発明補償金の上限撤廃などで、10年後に、国立大学の取得特許を1,500件に増やし､｢日本版シリコンバレー｣を全国10ヵ所につくる。　（｢朝日｣､｢日経｣6月12日）

国立大学の特許、大学法人の所有で収益アップへ

　文部科学省は、独立法人化した大学の教官らが国の経費や設備を使って取得した特許を各大学に所有させる検討を始めた。所有特許の活用で大学の収益アップを図る。　(｢産経｣7/8付け)

文科省が、国立大学長会議で、再編統合、トップクラスの大学育成の方針を表明

　遠山文部科学相は6月14日、国立大学学長会議で挨拶し、6月11日の経済財政諮問会議への報告を踏まえ、国立大学の進むべき方向として、�@国立大の大胆な再編統合、�A民間経営手法の導入、�B第三者評価による競争原理導入とトップクラスの大学育成という方針を提示した。また工藤高等教育局長は、｢1県1(国立)大学は未来永劫ではない。統合再編の検討は1,2年かけていては間に合わない｣などと述べた。　(｢毎日｣6/14付けなど)

文部科学相が｢遠山プラン｣で会見

　遠山文部科学相は6月15日、国立大学の再編･統合方針について記者会見した。｢大学の構造改革なくして日本の再生、発展はないという信念｣を強調した。　　(会見概要は文部科学省ＨＰ　http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/010605.htm)

国立大統廃合方針に、国大協総会で反対意見相次ぐ

　国大協総会は6月13日、文部科学省の｢構造改革方針｣について論議した。地方大学などから異論が続出したが、意見集約に至らず、長尾会長は｢(方針を)真摯に受け止めたい。今後の検討では国大協の意向を十分に反映させてほしい｣と記者会見で述べた。　(｢日経｣6/14付けなど)

中教審大学分科会、国立大学構造改革に論議集中、｢前向き｣受止めも

　6月15日の中央教育審議会大学分科会は、文科省の｢大学の構造改革の方針｣に議論が集中した。国立大学関係委員から｢(同省から方針が示されたことで)改革がやりやすくなった｣など、方針に前向きな意見もあった。　(｢全私学新聞｣6/23付け　http://www.zenshigaku-np.co.jp/)

国立大大学院の重点化経費配分で文科省が通知

　文部科学省は、重点化経費配分につき、博士課程を持つ大学院で教育熱心なところは優遇するが、不十分であれば冷遇するとの趣旨を、各国立大学長に通知した。支給対象は約1000専攻ある博士課程の内35専攻、選ばれれば理系で最高1億円以上が獲得できる。　(｢東京｣6/5付け)

文部科学省が、来年度概算要求ヒアリングで統廃合計画を要求

　高等教育局大学課が、7月6日からのヒアリングに先立ち、｢大学(国立大学)の構造改革の方針｣に掲げた再編統合に対する考え方、検討状況を尋ねると各国立大学に｢事務連絡｣している。　　(独行法反対首都圏ネットワークＨＰ　http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html)

国立大民営化へ新制度、企業出資も検討、文科省が方針

　文科省は5月31日、調査検討会議業務組織委員会(主査=阿部博之･東北大学長)に、国立大学独立行政法人化問題で、国立大の業務の一部を各大学の判断により民営化できる制度を設ける方針を示した。付属病院、研究所、図書館等を別法人に移管し、民間企業が出資できる仕組みを検討する。同省は民営化できる大学の業務の範囲について｢制限は設けない｣としており、国立大学法人自体を民営(学校法人)化する道も開かれる。各国立大の特色に応じ、民営化がふさわしい分野に外部資金を導入する方針。　(｢日経｣6/1付け)

文科相が、国立付属病院など民営化示唆

　遠山敦子文部科学相は6月5日、衆院文部科学委員会で、国立大学の民営化について「聖域なき改革ということから言えば、諸機能のうち民間にゆだねられるものがあれば、ゆだねた上で法人化するという視点は当然」と述べた。　(｢東京｣6/5付け)

文科相に大学民営化迫った小泉首相

　小泉首相は5月18日、旧文部官僚出身の遠山文科相が｢(国立大の)民営化には大学側の反発が強い｣との説明したのに対して、｢小泉内閣は改革断行内閣だ。あなたはその目玉の１人なのに、改革の意思が感じられない｣と奮起を促した。　(｢読売｣6/4付け)

小泉首相、国立大の民営化に賛意

　小泉首相は5月11日、各党代表質問に対して、国立大学の民営化について｢賛成だ｣と述べ、行政改革の観点から民営化も検討すべきだとの考えを表明した。　(各紙5/11付け)

業績評価を交付金に反映＝国立大法人化で文科省案

　文部科学省の調査検討会議は6月20日、国立大が法人化した際の目標･評価システムの原案をまとめた。研究･教育など業務の達成目標に基づく中期計画(6年)を作成し、同省の評価委員会が達成度を評価して、国からの運営費交付金に反映させる。今秋までにまとめる中間報告に盛り込む。　(｢共同｣6/20付け、｢日経｣5/17付け)

独法反対首都圏ネット緊急調査、先行独法の中期計画に｢年間1％の事業費削減｣明記

　4月に独立行政法人となった経産、文科、農水省関係の主な機関の中期計画では、運営費交付金をあてる事業費の毎年1％効率化を決めた。また自己収入の増加も要求している。　(独法反対首都圏ネットＨＰ　http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html)

独法化後の国立大授業料、一定範囲内で大学に決定権

　文部科学省の調査検討会議が5月11日開かれ、独立行政法人化後の授業料について、国が一定の幅を設定したうえ、その範囲内で各大学が決める方向で合意した。国が標準授業料を示し、その上下の一定割合又は一定金額の範囲内で大学が決める方式が有力視されている。文系、理系の差が出ることも予想される。　(｢日経｣5/11付け）

科研費の配分先を、独立行政法人にも拡大

　文部科学省は、科学研究費補助金について、大学などに限定していた配分先を、独立行政法人となった多くの研究機関まで拡大する方針を決めた。第2期科学技術基本計画は、｢競争的資金｣の拡充を求めており、同省はこの資金の半分以上を占める科研費の門戸を広げる必要があると判断した。来年度分の申請から実施する。　(｢読売｣5/15付け)

国立大学協会、総会で独立法人化の報告書を了承(？)

　国立大学協会(会長･長尾真京都大学長)は、6月12､13日の定期総会で、特別委員会で検討してきた独立法人化の報告書を了承した。同協会は、｢通則法｣による法人化に反対してきたが、報告書は大学の独自性を担保して法人化を目指すことを謳っている。　(｢毎日｣｢朝日｣6/13付け)

国大協が臨時理事会を開催

　国大協が7月5日、一段と厳しさを増す国立大学を取り巻く諸情勢に対処するため、臨時の理事会を開催した。諸課題への柔軟かつ機動的に対処するため、理事会の中に｢将来構想ワーキング･グループ｣(座長=松尾稔･名大学長)を設置することを決めた。また、報道等が混乱している6月の総会の議論内容について改めて説明が行われた。

全大教が、独法化問題の論点整理

　｢国立大学独立行政法人化問題に関する論点対照表｣として、文科省調査検討会議、国大協、現行法令との対応関係を表にまとめている。　（｢全大教時報｣2001年6月、8月号）

大阪府、財政再建で地方独立行政法人化を国に働きかけへ

　財政再建に取り組んでいる大阪府は6月5日、府立の3大学や7試験研究機関などの｢地方独立行政法人化｣に向け、法整備を国に対して働きかけることを明らかにした。来年度予算の概算要求を前にした国への重点要望にも盛り込む。　(｢毎日｣6/5付け)

大学と産業界の関係深化、共通目的は生き残り

　大学と産業界との新たな結びつきはすでに様々な形で始まっている。企業は、大学という｢外部資源｣を活用しなくては世界的な大競争時代に生き残れなくなった。大学側も少子化などで大学間の競争が激しくなり、企業や社会人という新たな市場の開拓に懸命だ。　(｢読売｣7/19付け)

産学連携に、東大も推進委設け具体策検討へ

　東京大学は、｢社会連携推進委員会｣(委員長=小間篤･副学長)を設け、連携拡大の具体策の検討に乗り出した。特許取得や起業資金調達などにつき、教官たちが相談できる組織や、産業界の要望を聞く窓口を学内に設けるなど具体策を詰める。学内の反対論に配慮し、｢本業｣の教育研究と｢副業｣の産学連携の関係も明確にする。　(｢読売｣7/14付け)

早大、３年計画でベンチャー100社育成

　早稲田大学は経済産業省などと協力し、大学母体のベンチャー企業を2002年から3年間で100社育成する計画をまとめた。10月に西早稲田キャンパス近くにベンチャー育成拠点を、2003年に経産省が新キャンパス(埼玉県本庄市)に大型インキュベーション施設を開く。両拠点を核にナノテクノロジーや環境分野を中心に創業支援する。　(｢日経｣7/31付け)

東大にベンチャー拠点、教官らの創業支援

　東京大学は、ベンチャー企業が割安で事務所を借りられ、大学の研究施設を利用できる｢インキュベーションセンター｣を駒場リサーチキャンパス内につくることを決めた。大学発ベンチャーの創業拠点とする。文部科学省は大学発ベンチャーに限り、国立大の施設利用を解禁する方針で、東大はその最初のケースとなる見通しだ。　(｢日経｣8/2付け)

大和証券グループと一橋大が提携を発表

　大和証券グループと一橋大大学院国際企業戦略研究科ＭＢＡ(経営学修士)コースは5月18日、提携を発表した。大和の寄付金による｢冠講座｣開設、共同研究やアジア留学生への奨学金制度などを予定している。金融機関と国立大学の包括提携は異例。10月開講予定の夜間の冠講座｢投資戦略論｣には大和総研が講師を派遣する。　(｢毎日｣5/18付け)

東京駅周辺に、社会人キャンパス

　東京駅周辺に、社会人対象の大学｢キャンパス｣進出が続いている。早大、慶大のほか東北や京都の大学も参入。金融、国際ビジネスマンのキャリアアップ講座や文化や歴史など大学の特色を生かした講座もそろって盛況だ。京大は、帝国ホテルに社会人教育拠点を開設し、インターネット講義を行い、社会人教育での東京進出に照準を合せている。　(｢読売｣6/22、5/25付け)

大学などで失業者職業訓練、来年度に創設

　厚生労働省と文部科学省は7月6日、大学(院)を活用した失業者向け職業訓練制度を2002年度から創設する方針で合意した。国が失業者対象に実施する委託訓練の委託先を、大学(院)にも広げ、委託先学校に１人当り月6-9万円を支給する。　(｢読売｣7/6付け｣

国、企業と同等の補助で産学共同を確実に

　文部科学省は7月27日、企業が出した研究費と同額以上の補助金(上限1000万円程度)を上乗せする｢マッチングファンド｣制度を2002年度に導入する方針を固めた。国内の大学への企業資金の定着を図り、国公私立の全大学を対象にする。　（｢朝日｣7/28付け）

ＴＬＯ協議会が、7月4日に第2回総会を開催

　承認ＴＬＯ(技術移転機関)などが参加するＴＬＯ協議会の第2回総会が7月4日に開催された。認定ＴＬＯ第1号の産総研イノベーションズを含め、21カ所のＴＬＯが参加した。　(｢日経ＴＬＯ通信｣7/9付け　http://smallbiz.nikkeibp.co.jp/)

国公立大で教官に任期制相次ぐ

　任期制を組織的に取り入れる国公立大学が目立ってきた。東北大学･金属材料研究所は4月から教授を含め約160の全教官ポストに任期制を導入した。任期は教授、助教授、講師が10年、助手が7年。教授を除き再任は1回のみ。教官の新規任用の段階で適用される。　(｢日経｣5/15付け)

東大工学部が教育改革専任教授を公募、国立大では初

　東京大学工学部は6月25日、講義をしない教育改革専任の教授、助教授各1人(任期5年、再任可)を公募すると発表した。国立大学では初。教育･人材育成の経験を持ち、業績のある人が対象で、企業の人材育成担当者などを念頭に置いている。　(｢朝日｣6/25付け)

大学入試センター、希望者全員に成績開示

　大学入試センターは来春の入試から、センター試験の成績を受験生本人の求めに応じて開示する。2年分の受験成績の良い方を選考に使うことも、希望大学に認める。　(｢朝日｣5/17付け)

短大もセンター試験利用へ

　文部科学省は、大学入試センター試験の利用を、短期大学にも広げる方針を固めた。試験会場の管理などで問題がなければ、2004年度にも実施する。　(｢朝日｣5/16付け)

国立大学の建物整備は公共事業、塩川財務相が考え示す

　塩川財務相は6月5日、｢文教施設の建物整備は公共事業として投資する対象になる｣と述べ、国立大学の建設を新たに公共事業として位置づけ、土木工事中心の公共事業の枠組みを見直す考えを表明した(従来は、施設費(9000億円))。塩川財務相は｢研究所や病院の建物、美術館などの都市施設など、公共事業として整備していいものが相当ある｣と語った。　(｢朝日｣6/5付け)

文科省が｢21世紀教育新生プラン｣全国行脚を｢達成｣

　文部科学省は、本年1月の｢21世紀教育新生プラン｣策定後、全国各地の｢教育改革フォーラム｣等に大臣等が出席し、説明と意見交換を行ってきたが、7月末に全国47全ての都道府県で80回のフォーラムを行い｢全国行脚｣を達成した。この外経済団体との懇談会やマスコミ活用も進んでいる。　(文部科学省ＨＰ　http://www.mext.go.jp

全国有力私大、学校事務外注化で受託会社設立

　私立大121校が組織する日本私立大学連盟(会長=奥島孝康･早大総長)は、学校運営の基本事務作業を一括して受託する新会社を、加盟各校の共同出資で7月までに設立する。各大学が個別処理していた業務を外注化し、大幅な経費削減を目指す。　(｢朝日｣5/3付け)

私学志願者、４年制大学の志願者数が９年ぶりに増加

　今年度の4年制私立大学の志願者数は約290万人と9年ぶりに増加したことが、日本私立学校振興･共済事業団の調べでわかった。｢入試形態の多様化や教育内容の充実の成果が現れた｣と分析しているが、人気校と不人気校の二極化が進んだ。　(｢毎日｣7/6付け)

短大存続の危機くっきり…４年ぶり私大白書

　｢国庫助成に関する全国私立大学教授会連合｣が、私立の大学、短大へのアンケートをもとに｢私立大白書｣を公表した。4年に1度の調査で、938校に聞き約260から回答。　(｢読売｣5/26付け)

文部科学省が政策評価実施計画を策定

　文部科学省は6月4日、｢平成13年度文部科学省政策評価実施計画｣を策定した。本年度は｢試行的実施段階｣とし、基礎学力の向上とゲノム科学分野における国際競争力の強化を重点課題評価にあげている。実績評価と総合評価も行う。　（文部科学省ＨＰ　http://www.mext.go.jp）

教育改革３法案、6月29日に成立、奉仕活動、飛び入学など規定

　学校教育法改正案など教育改革3法案が、与党3党と民主党の賛成多数で可決された。昨年12月の教育改革国民会議の報告を受けて今国会に提出した6法案は、すべて成立する。　(法律のポイントと文科相談話が文部科学省ＨＰ　http://www.mext.go.jp/に掲載)

教育改革関連３法、現場では当分、試行錯誤か？

　教育現場から、奉仕活動について「生徒が嫌がったらどうするのか」など素朴な疑問があがり、飛び入学も「生徒の資質の判断方法が難しい」との指摘が出ている。　(｢毎日｣7/14付け)

文部科学省が飛び入学導入にハードル策定

　高校2年からの｢飛び入学｣の短大･専門学校への拡大に、学生集めに使われる懸念が出て、文科省は5月30日、受入れ側の指導体制整備などを導入条件とする方針を固めた。　(｢共同｣5/30)

国立学校特別会計の財務、6兆4900億円の負債

　国立大学などの国立学校特別会計が、2000年度までの累計で約6兆4980億円の負債を計上していることが、自民党のガイドラインに沿い文部科学省が6月14日までに作成した財務諸表で明らかになった。政府からの借入金は累計約1兆370億円に達している。敷地や建物、機械器具などの固定資産などは約8兆6280億円。同特別会計は1998年度に約170億円の剰余金があったが、2000年度には約8310億円の欠損となっている。　(｢共同｣6/15)

小中高生に｢ものづくり体験｣を、文科･厚労省懇談会が報告

　文部科学省と厚生労働省が2000年10月から開催してきた｢ものづくり教育･学習に関する懇談会｣(座長＝斎藤勝政･前群馬職業能力開発短期大学校長)が、ものづくり教育･学習の意義やねらい、効果的な実施のあり方などについて報告書を発表した。小中学校では｢総合的学習｣の時間の活用、高校では技能と理論の裏付け理解、社会教育の充実など。　(｢科学新聞｣7/13付け)

４．経済産業省、財界などの動き

経済産業省が、産学連携で中間とりまとめ

　産業構造審議会産業技術分科会産学連携推進小委員会(委員長=黒川清･日本学術会議副会長)が7月31日、中間とりまとめをした。ＴＬＯ(技術移転機関)を核とした多様で総合的な技術移転を提唱している。また、国立大学の独法化に関連し｢非公務員型｣を選択肢の一つと指摘している。　(｢日経｣8/1付け。経済産業省ＨＰ　http://www.meti.go.jp)

経済産業省が、政府研究開発投資の重点化で提言

　産業構造審議会産業技術分科会(分科会長=阿部博之東北大学総長)が6月22日、｢政府研究開発投資の重点化の在り方について(提言)｣をまとめた。研究資源を効果的効率的に利用して目標を確実に達成する観点から、重点化の方向性として、�@目的指向型研究への重点配分による社会還元の促進、�A技術移転・産学官連携の促進、�B｢プログラム｣化とその比較による重点化推進をあげている。　(経済産業省ＨＰ　http://www.meti.go.jp)

経済産業省が新成長シナリオで中間取りまとめ

　産業構造審議会新成長政策部会(部会長=吉川洋東大大学院教授)が7月24日、中間とりまとめを行った。日本経済停滞の原因は｢需要不足｣と指摘し、｢期待感と安心感を持てる新しい成長シナリオ｣の政策パッケージを提案し、イノベーション創出のため、大学への競争原理の導入徹底、大学発ベンチャー育成やニーズの高い分野で技術開発と規制制度改革のパッケージを実施するとしている。　(経済産業省ＨＰ　http://www.meti.go.jp)

経済産業省が知的基盤整備のあり方で提言取りまとめへ

　産業構造審議会産業技術分科会・日本工業標準調査会合同会議知的基盤整備特別委員会は、｢2010年までに米国並みの整備水準を目指す｣との閣議決定(2000年12月)を受け、計量標準、地質情報等各分野での整備･供給の進め方など知的基盤資源の高度化効率化について、6月26日に中間取りまとめを行った。　(｢科学新聞｣6/15付け。経済産業省ＨＰ　http://www.meti.go.jp/)

経済財政諮問会議、産業構造改革･雇用対策本部等で、経産省が新産業創出プラン提示

　5月25日の産業構造改革･雇用対策本部、6月11日の経済財政諮問会議などで、平沼経済産業相が｢新市場･雇用創出に向けた重点プラン(平沼プラン)｣を説明している。新産業創出に向け15の政策課題をあげ、研究開発分野では、大学の学部学科の新設自由化などで競争原理を導入し、大学関与の特許取得件数を10年で10倍、大学から生まれるベンチャー企業数を3年で1000社にするなどの目標を掲げている。　(｢読売｣5/24付け等。経済産業省ＨＰ　http://www.meti.go.jp)

国家公務員の発明、報酬基準を撤廃へ

　特許庁は、実用化された特許を発明した国家公務員に支払う報酬基準を2002年度から撤廃して、各省庁が報酬額を自由に決められるようにする。また、1人当り年間600万円の上限も外す。2000年度の国の実施補償金は総額8012万円。　(｢日経｣7/30付け)

経団連が、科学技術戦略で提言。尾身科技担当相が日本版｢産学100人委員会｣提唱

　経済団体連合会は6月11日、尾身科学技術担当相との懇談会で、「科学技術戦略の変革に向けて」を提言した。尾身大臣は、米国の｢産学100人委員会｣にならい産学トップの意見交換の場を設置する考えを示し、また、公共事業としての施設整備、国立大学の非公務員型独立行政法人化、私立大学における受託研究費の非課税化などの考えを提示した。経団連側は、大学の競争力強化と実用化を視野に入れた研究活動による産学連携や来年度予算での重点化などを要望した。　(｢朝日｣6/11付け。経団連インフォメーションNo.306(6/15付け)。

　　　　　　　　　　　提言は、http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2001/028.html)

経団連が、地域産業のあり方で意見書

　経団連が5月18日、意見書｢地域における産業集積戦略のあり方―付加価値創造型産業の集積を目指して―｣を発表した。｢研究開発機能の活性化｣として、地域の経済･産業の発展にどれだけ貢献したかという研究評価基準、大学間･教員間の競争促進、任期付任用制の一層の活用等などを提言している。　(経団連ＨＰ　http://www.keidanren.or.jp/)

関経連が大学研究の産業利用でコーディネーター育成に着手

　関西経済連合会は、ＴＬＯ(技術移転機関)を支援するため、今秋から経産省所管の｢日本テクノマート｣と連携し、大学と産業界の橋渡し役＝コーディネーターの育成事業に着手する。実践的なカリキュラム提案や講師派遣、場所提供など。　(｢日経｣5/10付け）

経済同友会が、21世紀のマスタープラン

　経済同友会経済政策委員会は5月、｢今こそ実行の時ー日本経済の活性化を目指してー明るい21世紀のためのマスタープラン｣を発表した。1990年来の情勢判断と提言の多くが小泉首相の公約と一致するとし、｢構造改革｣に強く期待する。政･官はインフラ整備とルール作りに徹し、民ができることは全て民に任せよ、と提言。　(経済同友会ＨＰ　http://www.doyukai.or.jp)

松尾財団が大学改革で6つの提言

　松尾学術振興財団は、2000年度の松尾研究会(座長=鈴木基之･国連大学副学長)で、大学改革のコアとなる6つの提言をまとめた。公正な評価と評価の研究展開への反映、半数が外国人である研究組織の創設、同一機関内での昇進禁止、研究支援者の組織化と交流の促進等。　(｢科学新聞｣7/6付け。松尾財団ＨＰ　http://www.matsuo-acad.or.jp)

５．その他科学技術をめぐる動き

2001年度版科学技術白書、｢我が国の科学技術の創造力｣を分析

　文部科学省が6月19日、2001年度版科学技術白書(｢平成12年度科学技術の振興に関する年次報告｣)を閣議に報告し了承された。3部構成で、毎年の特集である第1部は｢我が国の科学技術の創造力｣であり、｢科学技術総合指標｣を使って、論文･特許などの質と量の分析を行い、特に博士号取得者の不足など優秀な理工系人材の養成を重要な課題とした。（各紙6/19付け夕刊、｢科学新聞｣6/22付け。｢白書｣概要は文部科学省ＨＰ　http://wwwwp.mext.go.jp/kag2000/）

学術会議総会が、自然科学と人文･社会科学の連携協同を声明

　日本学術会議(吉川弘之･会長)は、第135回総会で、｢21世紀における人文･社会科学の役割とその重要性ー｢科学技術｣の新しいとらえ方、そして日本の新しい社会･文化システムを目指してー｣を採択した。人文･社会科学は、自然科学と相互に補完的役割を担い、異なる発想と手法で独自の貢献を行う可能性も持つとし、自然科学と人文･社会科学の統合的融合的発展を促進する学術研究体制の早急な整備を提唱。　(｢科学新聞｣5/18付け)

学術会議が、あり方で委員会を設置

　日本学術会議は、｢日本学術会議の在り方に関する委員会｣を設置して、学術会議の必要性、機能、組織等の在り方について検討を行っている。事務局のアンケートでは、多くの会員が、長期的視点や総合的視点からの助言機能、研究投資の評価等の実務的機能が求められると考えている。　(｢科学新聞｣6/29付け)

不活発研連の廃止、会員数拡充等を議論、学術会議内部委で

　学術会議のあり方を検討している内部委員会では、不活発な研究連絡委員会を廃止し、新しい分野について委員会を設け機動的な展開を目指す、学術会議の会員数を現在の210人から2600人程度までトップダウン型で増やす、ことなどが議論されている。　(｢科学新聞｣7/6付け)

学術会議が、女性研究者の環境改善へ取組み

　日本学術会議｢ジェンダー問題の多角的検討特別委員会｣(蓮見音彦委員長)が男女共同参画社会の確立を実質的なものとする取組みを推進している。　（｢科学新聞｣7/20付け）

学術会議が、政府統計の1次データの永久保存を提言

　日本学術会議の学術基盤情報常置委員会(委員長=松田芳郎･東京国際大院教授)が、｢情報化社会における政府統計の一次データの提供形態のあり方について｣をまとめた。指定統計等のミクロデータ情報の永久保存と読取機器の技術変化への対応、デジタル情報の随時再集計可能な形での蓄積などを提言している。　(｢科学新聞｣8/3付け)

日本工学会が、技術者育成システム構築で提言

　日本工学会が、技術者の育成･確保について7つの提言を発表した。技術者の資質･能力向上を図る一貫システムの構築、技術者教育認定制度の確立と普及、技術者資格制度の普及拡大と活用促進、技術者の継続専門能力の早急な構築、など。　(｢科学新聞｣6/1付け)

日本工学会が、学協会問題で討論会

　日本工学会主催の第14回｢学協会共通問題に関する討論会｣が、｢技術者240万人の能力開発のために学協会は何をなすべきか｣をテーマに開催された。文科省、経産省からの話題提供やパネル討論会で、国外に通用する資格制度の早急な確立、企業の教育負担問題、各学会の人材派遣サービスなど産学官から多様な意見が出た。　(｢科学新聞｣5/18付け)

日本工学会が、100万人科学者技術者集会を9月に開催

　日本工学会(大橋秀雄･会長)は9月4日に、日本学術会議で｢100万人科学者技術者代表者集会ー聖域無き科学技術システム改革｣(主催＝日本工学会、科学技術連合フォーラム)を開催する。内閣府、総合科学技術会議、経団連、商工会議所などの後援を受け、科学技術基本政策などについて議論する。　（｢科学新聞｣7/20付け）

失敗知識活用研究会が報告書

　文部科学相の私的懇談会｢失敗知識活用研究会｣(会長･佐藤文夫東芝相談役)が6月28日、失敗で得た知識のデータベース化と公開、失敗経験の積極的活用などの報告をまとめた。｢人は必ず失敗する｣前提のもとに、企業内での失敗の評価など社会風潮の変革もめざす。文科省は、失敗経験で得られた知識･データの構造化を5ヶ年計画で進めるとともに、3月までに失敗事例をＨＰで公開する。　(｢時事通信｣6/28付け、｢科学新聞｣7/13付け)

第1回｢ものづくり白書｣発行される

　6月26日、経産、厚労、文科の3省が策定を担当した｢ものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策等に関する報告書｣(｢製造基盤白書｣)が提出された。ものづくりの現状分析と、2000年9月の振興基本計画(閣議決定)に基づく施策を報告している。　(経済産業省ＨＰ　http://www.meti.go.jp。｢経済産業公報｣7/3付け)

育英会の奨学金事業縮小を提示

　行政改革推進事務局は7月27日、特殊法人改革のうち、日本育英会に関する改革原案を所管の文部科学省に提示した。育英会の有利子貸与事業を国民生活金融公庫に一本化し、貸与済み債権の管理･回収業務を民間に委託する。育英会の奨学金は、特に優秀だが経済的に著しく修学が困難な者などに対する無利子貸与に限定する、というもの。　(｢読売｣7/28付け)

奨学金「給付制」導入を検討、塩川財務相

　塩川財務相は5月21日の参院予算委員会で、日本育英会の奨学金制度について、返済を求めない｢給付制｣の導入を検討する意向を表明し、さらに貸与額を引き上げる考えを示した。2001年度の利用者は、約753000人で、事業費は4732億円。　(｢読売｣5/21付け)

自民党、知的財産基本法の制定めざす

　自民党司法制度調査会が、先端技術分野の特許や開発途上の研究データなど企業、大学の知的財産の保護を強化するため、｢知的財産基本法｣制定を検討している。｢情報窃盗罪｣の制定や知的財産紛争の迅速処理などで、2002年の法案国会提出をめざす。（｢日経｣6/19付け）

教員の卵、４人に３人が算数苦手

　教員養成系学生の4人に3人は、小学校レベルの算数の学力が完全に身についていないことが、京大･西村和雄、慶大･戸瀬信之両教授の調査(99､00年、国立の教員養成系大学･学部4校の1年生計800人を対象)で分かった。両教授は｢小学校から高校までの教育が形骸化している。このような学生が教員になり、学校現場で教える意味を考えてほしい｣と述べた。　(｢毎日｣6/22付け）

産業技術総合研究所が、研究者憲章

　省庁再編に伴い経済産業省傘下の研究所の統合が行われたが、独立行政法人化を前にして産業技術総合研究所に属することになった研究者たちが研究者憲章をまとめた。　(独法反対首都圏ネットＨＰ　http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/netre3578.html)

世界数学五輪で日本の高校生が金メダル

　ワシントンで開催された｢世界数学オリンピック2001｣(83カ国473人)で、参加6人全員がメダルを獲得した。団体成績は、1位中国、2位はロシアと米国で、日本は12位。　(｢毎日｣7/18付)

大学発ベンチャ、独が米を抜く

　5月30日の科学技術･学術審議会技術･研究基盤部会産学連携推進委員会への報告によると、大学発ベンチャー企業の数は、米国の年間279社を抜きドイツが650社と最も多い。旧東ドイツの研究者の失業、任期付任用の再任禁止の厳格な運用、不況による就職難などが背景として指摘されている。　(｢科学新聞｣6/1付け)

米国で、ポスドクの待遇に不満高まる

　全米科学アカデミー科学･工学･公共政策委員会主催の会合で、米国のポスドクは、給与、研究･勤務条件に関する不満が高まっていることが分かった。低賃金、研究助言体制の不備、事務当局の杜撰な支援などの不平不満が相次いだ。　(｢科学新聞｣5/18付け)

６．学術関連雑誌の特集等

「学術の動向」（日本学術会議）

01年5月号　特集／学術的活動のための次世代育成。科学技術基本計画に関する日本学術会議会長談話。論壇：学術会議の将来に関する雑感

01年6月号　特集／日本学術会議第135回総会：｢科学技術｣の概念を人文･社会科学へと拡張、声明｢21世紀における人文･社会科学の役割とその重要性｣など

01年7月号　特集／大衆化された大学での教育はいかにあるべきか：(工学･技術者教育のパラダイムシフトなど

「学術月報」（日本学術振興会、丸善発行）

01年4月号　特集/ディジタルメディアの現状と将来。海外ﾆｭｰｽ/米国2001年度研究開発予算

01年5月号　特集/食資源研究の展望。

01年6月号　特集/第2期科学技術基本計画と我が国における学術研究の今後の展開

「大学と学生」（文部科学省高等教育局学生課編、第一法規出版発行）

01年5月(No.437)　特集／キャリア教育

01年6月(No.438)　特集／医療人養成のためのカリキュラム改革

01年7月(No.439)　特集／課外活動

「大学資料」（大学教育研究会監修、(財)文教協会発行）

151号　資料／大学入試の改善について。参考資料：大学入試に関する基礎資料

「政策研ニュース」（文部科学省科学技術政策研究所。http://www.nistep.go.jp）

01年5月号(No.151)　レポート紹介：政策研究に対する欧州首脳の認識に変化あり。米国における科学技術政策の事情―新政権と科学技術

01年6月号(No.152)　レポート紹介：企業戦略としてのオープンソース

　『ＪＳＡ学術情報ニュース』は、ＪＳＡが入手し得た限りの情報を編集して掲載し

ます。原則として情報の要点のみを掲載し、編集者の論評等は加えません。

　なお、それぞれの記事には出典を明示しますので、詳細な情報を希望される方は、

日付、出典などをお示しの上、全国事務局にお問い合わせください。

（本号は、主に2001年5月～2001年7月の情報を扱っています）