No.29　 2001年5月7日発行
ＪＳＡ学術情報ニュース	日本科学者会議学術体制部
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(注：このニュースではホームページを｢ＨＰ=｣と表記しています。)

１．第２期科学技術基本計画決まる

科学技術基本計画を閣議決定

　森内閣が3月30日､2001-05年度を対象とする科学技術基本計画を閣議決定した。3月27日の第4回総合科学技術会議(時間･場所不明)は､｢基本計画｣(案)に全員一致で同意した。　(｢科学新聞｣4/6付け､｢日経｣3/30付け夕刊｡文部科学省ＨＰ=http://www.mext.go.jp)

総合科学技術会議が、｢総合戦略｣を答申

　3月22日の第3回総合科学技術会議(森喜朗議長)が、｢科学技術に関する総合戦略｣を森首相に答申した。｢総合戦略｣は、昨年12月の科学技術会議の｢科学技術基本計画｣答申に、人文社会科学的な視点を取り入れたものになっており、｢第2期科学技術基本計画｣の基礎となる。　(｢科学新聞｣､各紙3/23付け。総合科学技術会議ＨＰ=http://www8.cao.go.jp)

＜第2期科学技術基本計画の概要…ＪＳＡ学術体制部注＞

　第2期科学技術基本計画は、はじめに、第1章 基本理念、第2章 重要政策、第3章 科学技術基本計画を実行するに当たっての総合科学技術会議の使命､の構成である。(昨年12月の科学技術会議答申では、はじめに、第1章 科学技術政策の基本的方向、第2章 重要施策の計画的な実施、第3章 科学技術基本計画の着実な実行と総合科学技術会議の役割)

【基本理念】　世界貢献、国際競争力の維持、安心･安全で質の高い生活の3点を目指すべき姿として提示し、｢科学技術政策の総合性と戦略性｣の視点で政策運営を求める。

【政府の投資の拡充と効果的・効率的な資源配分】　2001～05年度の政府研究開発投資総額規模は｢約24兆円とすることが必要である｣とする(ＧＤＰ名目成長率3.5％で対ＧＤＰ比1％が前提）が、｢財政事情等を勘案し、研究システム改革や財源確保の動向等を踏まえ｣｢資金の重点的・効率的配分を前提｣で基本計画に掲げる施策推進を図るとする。

【科学技術の戦略的重点化】　｢基礎研究の推進｣もあるが、｢国家的･社会的課題に対応した研究開発の重点化｣として、生命科学､情報通信､環境､ナノテクノロジー･材料を｢特に重点を置く分野｣とし、エネルギー､製造技術､社会基盤､フロンティアも重視する。

【科学技術システムの改革】　｢競争的資金の倍増｣と間接経費の導入、任期制の普及による人材の流動性向上、研究評価体制の整備、産学官連携の促進などが強調されている。

【科学技術の倫理と社会的責任】が項目として独立され、生命倫理､研究者･技術者の倫理､説明責任とリスク管理が挙げられている。

【総合科学技術会議の指命】　｢政策推進の司令塔｣｢内閣総理大臣のリーダーシップ｣｢縦割りを排し､先見性と機動性を持って｣などが、科学技術会議答申にさらに加えられた。重要分野の推進戦略を作り、研究予算配分の方針を示す、と役割を強調している。

２．総合科学技術会議と科学技術行政の動き

総合科学技術会議が、毎月の会議で情勢分析と方針策定を進めている

　2001年1月6日の中央省庁再編に伴い発足した総合科学技術会議は、毎月総会を行い、毎回｢最近の科学技術の動向｣について報告を受けるとともに、科学技術に関する基本方針の策定を進めている。議事要旨、配布資料及び議事録は、総合科学技術会議ホームページ(http://www8.cao.go.jp/＝4月から変更された)で原則として公開されている。

総合科学技術会議の開催(2001年4月まで)：

第1回　1月18日(9:30-10:20)、第2回　2月15日(10:00-11:00)、第3回　3月22日(17:30-18:30)、第4回　3月27日、第5回　4月19日(9:00-10:00)

総合科学技術会議が振興調整費の活用方針と配分の考えをまとめる

　3月22日の第3回総合科学技術会議が、科学技術振興調整費の活用に関する基本方針と2001年度の配分の基本的考え方を決定した。既存プログラムを段階的にすべて廃止し、科学技術システム改革のために、｢戦略的研究拠点｣など6つの新規プログラム(93.1億円)を立ち上げる。　(｢科学新聞｣3/30付け｡総合科学技術会議ＨＰ=http://www8.cao.go.jp）

総合科学技術会議に、諮問第2、3号が行われる

　3月22日の第3回総合科学技術会議で、諮問第2号｢国の研究開発評価に関する大綱的指針について｣が行われた。新たな科学技術基本計画策定を踏まえて、制定後既に３年を経過した評価の大綱的指針の改定を求めている。4月19日の第5回総合科学技術会議で、諮問第3号｢ヒトＥＳ細胞の樹立及び使用に関する指針について｣が行われた。2000年3月の科学技術会議生命倫理委員会が示した考え方に基づいて作成した指針案について意見を聴くもの。　（総合科学技術会議ＨＰ=http://www8.cao.go.jp）

毎月の総合科学技術会議に、科学技術情勢の報告

第1回：我が国における国際的研究成果例他、第2回：ライフサイエンス分野の最新動向、第3回：ナノテクノロジー・材料分野の最近の動向、第5回：主要国等の科学技術政策における重点課題(膨大な資料あり)　（総合科学技術会議ＨＰ=http://www8.cao.go.jp）

新分野研究を公共投資に、総合科学技術会議が構想

　井村裕夫総合科学技術会議議員(京大名誉教授)は4月25日、大学学部長や研究所長のリーダーシップで行われる戦略的研究助成のため、年間10億円規模の財源確保を政党や国会議員などに働き掛けていることを明らかにした。本年度は文科省の科学技術振興調整費(90億円)の一部を活用するが、同会議では｢研究教育活動への助成を社会基盤整備のための投資と位置付けるべき｣との声が強く、来年度以降は年間9兆円の公共事業枠からの予算配分を求める。また、来年度以降の大学施設整備の在り方に関し、｢研究者間に競争原理を導入するなど大学側の意識改革も必要｣の意見も出た。　（｢共同通信｣4/25付け）

総合科学技術会議の専門調査会が会合を開始

　総合科学技術会議は、1月18日の第1回会議で、�@重点分野推進戦略､�A評価､�B科学技術システム改革､�C生命倫理及び�D日本学術会議の在り方に関する専門調査会を設置することを決めたが、4月から�@～�Cの専門調査会が開催されている。科学技術システム改革専門調査会(会長･前田勝之助総合科学技術会議議員)は、産学官連携、地域の科学技術振興、倫理と社会的責任、基盤整備等を中心に議論する。重点分野推進戦略専門調査会(会長･井村裕夫総合科学技術会議議員)は、重点8分野毎にプロジェクトリーダーを決め推進戦略を決め、毎年度の資源配分方針を議論する。評価専門調査会は会長･桑原洋、生命倫理専門調査会は会長･井村裕夫の総合科学技術会議議員。　(｢科学新聞｣4/20､4/6付け)

科学技術関係経費3兆4613億円(5.3％増)、各省の競争的資金｢倍増｣に向け7.6％増

　文科省集計では、2001年度予算案の科学技術基本計画関連予算は約3兆4613億円、対前年度比5.3％増。科学技術振興費(1兆1124億円)とその他の研究関係費(7321億円)を加えた一般会計分が1兆8445億円(6.9％増)、特別会計分が1兆6168億円(3.6％増)。基本計画で倍増が決まった競争的資金は、関係6省分で3147億円(7.6％増)だが、その内特殊法人等の実施分は3％減となっている。今年度から実施する間接経費(オーバーヘッド)は10-30％が充てられるが、制度で差異がある。　(｢読売｣4/10付け､｢科学新聞｣4/20付け)

　

独立行政法人の予算を段階縮小、財務省方針

　財務省は、独立行政法人の予算措置について、2002年度以降は一定の上限を設け、段階的に縮小することを検討する。国の業務を減らして効率化を進める独立行政法人の設置目的を踏まえ、各機関が人件費削減や運営効率化を推し進めたり事業収入を活用したりすることで、運営費交付金を段階的に減らす。毎年の削減幅は当面5～10％としたい考え。夏に予定する概算要求基準の決定にあわせて正式に決める方針。　(｢日経｣2/18付け)

先行独法、中期計画で“年間１％の事業費効率化”

　4月発足の経済産業省､文部科学省､農水省関係の独立行政法人は、運営費交付金をあてる事業費の毎年1％効率化をうたっている(表現は「中期目標の期間中、毎事業年度につき１％の業務の効率化を図る」と規格化されている)。1％条項は、3月に主務省庁から事実上強要されたようである。また、自己収入の増加も要求されている。　(独行法反対首都圏ネットワークＨＰ=http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010505jimukyoku.html)

独立行政法人に数値目標、文部科学省の16法人

　文部科学省の独立行政法人評価委員会(委員長･浜田広リコー会長)は3月29日、同省所管の16独立行政法人が3～5年間に達成すべき中期目標･計画を了承した。国立科学博物館は2005年度の入館者数が100万人に達することを目指し、標本や資料の収集は前年度比5％増を目標とし、05年度に保有する標本や資料150万件を電子情報化する。国立オリンピック記念青少年総合センターは100万人、国立青年の家は140万人、国立少年自然の家は130万人の利用者を毎年度確保することを目標として掲げた。航空宇宙技術研究所は、2004年度までの4年間に新規研究課題を16件以上か15億円以上の受託収入獲得を目指すとした。一部の委員からは「目標・計画が抽象的すぎて、評価しようがない」と批判の声が出た。　(｢共同通信｣3/29付け、｢読売｣3/13付け)

総合科学技術会議の｢応援団｣ー産業人会議が発足

　総合科学技術会議に関する産業人会議(会長＝秋元勇巳三菱マテリアル会長)が4月5日発足した。笹川尭･総合科学技術会議担当相ら7人の有識者議員を招き、産業界側は、発起人の秋元会長､常磐文克花王特別顧問はじめ、企業の会長クラスが出席した。産業界側は、科学技術政策を重要な経済政策の一つに位置付ける、経済活性化につながる研究への投資が急務、予算の重点分野別内訳の明示、産学達携での大学の意識改革の必要性－などを要望した。　(｢科学新聞｣4/13付け。経団連ＨＰ=http://www.keidanren.or.jp/)

３．大学と教育をめぐる動き

（注：国立大学の独立法人化問題では、文部科学省の｢国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議｣が、5月中に｢中間報告案｣、7～9月に｢中間報告｣を提出する見込みで、2002年3月予定の｢最終報告｣の地ならしが進んでいます。他方、国大協は、6月の総会に向け、｢設置形態検討特別委員会｣が5月に｢中間まとめ案｣を策定しようとしています。事態は緊迫の度を高めていますが、情勢の変化が早いため、独立行政法人化問題の情勢や関係各界の具体的な動きは、全大教近畿ＨＰ=http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/、独行法反対首都圏ネットワークＨＰ=http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html、独立行政法人化問題週報ＨＰ=http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html、Academia e-Network仮ホ－ムペ－ジ=http://www.ac-net.org/index-temp.shtml などをご参照ください。）

政治のバックアップを＝文部科学相が引き継ぎ

　小泉内閣(4月26日発足)の遠山敦子文部科学相と町村信孝前大臣の引継ぎで、町村氏が｢教科書問題も尾を引き、教育改革関連法案も４本残っている。ご迷惑をお掛けするが…」と激励すると、遠山新大臣は「政治の力を借りなければ改革は実現しない。ぜひバックアップを」と、自民党幹事長代理の町村氏に支援を要請した。　(｢時事通信｣4/27付け)

文科省が、大学整備緊急５カ年計画を報告、改修目標を倍増

　文部科学省は4月18日、｢国立大学等施設緊急整備５カ年計画｣をまとめた。大学院施設の狭隘解消や卓越した研究拠点等の210万�Fを優先目標として新増築を行い、1970年以前の老朽施設の内390万�Fの改修を行う。大学等から意見を聴取しつつも、施設の利用状況の点検等を含む調査・評価に基づき整備対象を厳選する。これらの実現には、1兆6000億円が必要と試算されている。　（｢毎日｣4/19付け、｢科学新聞｣4/27付け。総合科学技術会議ＨＰ=http://www8.cao.go.jp/、文部科学省ＨＰ=http://www.mext.go.jp/)

初の国立大評価を開始、具体的方法決定／１年後には結果公表

　大学評価･学位授与機構は、大学評価委員会（委員長＝阿部謹也･共立女子大学長）で、今年度の国立大学と大学共同利用機関を対象とした評価の内容・方法等を決定し、関係機関に送付した。評価結果は2002年3月にまとめられ、インターネットでも公表される。2000年度から02年度までは、実施テーマ、分野、対象機関を絞って段階的に実施し、03年度から本格実施する。各機関は7月末までに自己評価書を提出し、同機構の専門委員会の書面調査、訪問調査、ヒアリング等を受ける。来年1月末頃までに評価結果をまとめる。今回の研究評価では、体制や自己改革の達成状況が強調されているのが特徴である。　（｢科学新聞｣2/9付け。大学評価･学位授与機構ＨＰ=http://www.niad.ac.jp/）

国立大学独法化後の業績を評価、予算配分に反映へ、文科省が方針

　国立大学の独立行政法人化について検討している文部科学省の調査検討会議は4月27日、独法化後の大学の教育や研究の中期目標について、評価委員会が評価した結果を予算配分に反映させるとする検討案を明らかにした。国からの交付金が傾斜配分されることになれば、大学運営に差がつく可能性もある。　（｢毎日｣4/27付け）

国立大法人化、役員組織を執行機関に

　文部科学省の調査検討会議の組織業務委員会は2月28日、大学の基幹組織を、学長中心の執行機関(役員組織)と重要案件を審議する議決機関(評議会)に区別する試案をまとめた。大学が給与･人事の決定、財産管理、契約や訴訟の主体となるため、権限と責任に対応した運営組織体制を整備する。　(｢日経｣3/1付け)

大学独立法人化、検討会議が試案公表、１大学１法人が前提

　文部科学省の検討会議は2月28日、法人化された場合の運営組織の考え方の試案を公表した。試案によると、1大学1法人を前提とし学長を法人の長とする。｢問題点もあるのでさらに議論したい｣などの意見が出て、引き続き検討となった。　（｢毎日｣2/28付け）

大学評価、予算配分に反映／独法化会議作業グループ 生き残り競争に拍車

　文部科学省の調査検討会議の作業グループは2月21日、独法化後の国立大学を6年ごとに評価し、予算配分に反映させるべきとする検討案を目標評価委員会(委員長･松尾稔名古屋大学長)に報告した。検討案では、主務大臣が指示･認可する中期目標や中期計画を、大学では｢6年｣とするよう提案。このほか、｢中期目標｣とは別に10年以上の｢長期目標｣を定めることも提案。　（｢東京｣2/22付け）

国大協が、独立法人化で評価期間延長の試案

　国立大学協会(国大協、会長･蓮実重彦東京大学長)の設置形態検討特別委員長の長尾真･京都大学長が、独法化後の大学が定める中期目標や計画、評価の設定期間を｢数年｣とし｢主務省と協議して大学が決定｣とすることなどを盛り込んだ試案を作成し、全国立大学に送っていた。試案は、�@名称は｢国立大学法人○○大学｣、�A1大学1法人、�B学長は運営諮問会議の意見を聞いて定めた選考基準に従い評議会が選考、�C教職員の身分は国家公務員型とし勤務条件の弾力化を図る―など15項目からなる。　(｢東京｣2/21付け)

法人化、学長の学内選出が条件／東大「活性化への選択肢」

　東京大学(蓮實重彦学長)は、2月20日の評議会で、国立大学法人化の場合の基本的な条件をまとめた。独立行政法人通則法の直接適用には反対し、｢自主性を高め、教育研究の活性化のために法人化は有力な選択肢の一つ｣として、教授会による学長選出などを求めている。評議会のもとに設置した｢21世紀学術経営戦略会議｣(ＵＴ21会議｡00年10月設置)の報告で、東大の基本理念を定めた｢東大憲章｣を新たに策定し、自主的に中期目標を決定すべきだと提言。計画期間については｢5年から8年｣が妥当とした。　(｢日経｣2/21付け）

東大評議会が、｢法人化の基本的条件｣を承認、

　東大評議会は2月20日、ＵＴ21会議の｢法人格をもつとした場合に満たされるべき基本的な条件｣を承認した。法人の長は総長、最高意思決定機関は評議会とし、教官の活動の自由度を高めるため、必ずしも｢公務員型｣の必要はないとした。　(｢東大新聞｣3/2付け)

東大評議会が｢憲章｣論点を承認、法人化でも最終報告

　｢東大21世紀学術経営戦略会議｣の｢東京大学憲章｣の論点まとめが、3月19日の評議会で承認された。自治､学術､運営､人権の4章からなる。法人化小委員会の｢法人格をもつとした場合の財務及び会計｣報告も了承された。　(｢東大新聞｣4/3付け)

大学の学科設置自由化へ／文部科学省検討　独法化で2004年度にも

　文部科学省の調査検討会議委員会（主査･阿部博之東北大学長）の作業チームは12日、大学の学科設置について「自主的な判断で柔軟かつ機動的な編成が可能となるよう、できるだけ各大学の裁量にゆだねる」方針案をまとめた。学部や大学院研究科など大学の基本的な大組織は、従来通り省令で定める必要性を指摘した。公私立大も、国立とバランスを取るため、同時に自由化する流れが強まっており、第一陣の国立大学が独法化する2004年度に、全大学で自由に学科が設置できる見通しが強まった。　(｢東京｣4/13付け)

経産省官僚による「国立大学法人法(案)」

　経済産業省の官僚グループがまとめた｢国立大学法人法(案)｣が明らかとなった。産業界、自治体など学外者が過半数(又は１／３以上)を占める｢運営会議｣を設置し、経営と教学の双方の意思決定を行い、学長を選考する。評議会や教授会は廃止するなどとしている。　（首都圏ネットＨＰ=http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html）

研究者1000人から最新情報、科学技術政策へ反映目指す

　文部科学省は3月から、大学教授や民間研究部長クラスの産学官の1000人を超える第一線研究者を同省の特別調査員に起用し、最新情報の収集に乗り出す。基本的にボランティアだが、最先端の論文や研究発表の外、｢あの研究者はすごい成果を出しそうだ｣といった生きた情報を、同省科学技術政策研究所にネット経由で送ってもらい、整理して総合科学技術会議に随時届け、政策を迅速に打ち出す武器にする。　（｢読売｣2/19付け）

奉仕活動など中教審に諮問　教員免許更新制導入も

　町村信孝文部科学相は4月11日、中央教育審議会に、�@青少年の奉仕活動･体験活動の推進方策、�A今後の教員免許制度の在り方、�B今後の高等教育改革の推進方策、�C子どもの体力向上のための総合的な方策―の4点を諮問した。町村文科相は中教審総会での挨拶で、教育基本法の見直しにつき｢可能な限り早い時期に諮問したい｣と述べた。6月にも諮問の見通し。　(各紙4/11付け。文科省ＨＰ=http://www.mext.go.jp）

高等教育の国際競争力強化など６項目を中教審で諮問予定

　町村文科相は、2月28日の中教審総会で、今後予定する諮問事項として6項目を示した。�@教育基本法見直しと教育振興基本計画､�A奉仕活動促進の仕組み､�B教員免許更新制､�C教養教育､�D高等教育の国際競争力強化､�E子供の体力向上策　(｢時事通信｣2/28付け)

中教審会長に鳥居泰彦氏を選出、基本法改正には｢慎重｣

　省庁再編に伴い、大学審議会や生涯学習審議会などの審議会を統合して、新たに発足した文部科学相の諮問機関｢中央教育審議会｣(中教審)の第1回総会が2月1日で開かれ、30人の委員の中から慶応義塾塾長で同大学長の鳥居泰彦氏を会長に選出したほか、会議を原則として公開することなどを決めた。鳥居会長は総会後、「教育基本法は慎重に審議すべきだ。教育問題全体や憲法、社会システムなどを考えた上で、必要なら変えるということ。改正が先にありきではない」と述べた。　（｢毎日｣2/2付け）

教育改革国民会議が、最終報告後、初会合

　4月2日、教育改革国民会議が昨年12月の最終報告提出後、初めての会合を首相官邸で開いた。｢21世紀教育新生プラン｣や教育改革関連6法案に関する議論が行われたが、首相は30分で退席、会議に出席した委員もこれまで最低の15人(全委員数26人）であり、新たな提言に向けたテーマや次回会合の日程は示されなかった。　（教育技術新聞ＨＰ=http://www.gks.co.jp/y_2000/main/news/00122204.html。官邸ＨＰ=http://www.kantei.go.jp/jp/moriphoto/2001/04/02kyouikukaikaku.html）

奉仕活動義務化は見送り、教育関連11法改正へ

　教育改革国民会議の提言を受け、文部省は教育関連の11の法律を改正する方針を決めた。大学への｢飛び入学」制度をスポーツや芸術分野にも広げ、問題児に対する出席停止措置条件を明確化する。その他不適格教員の配置換え、少人数指導を可能にするための法改正等が行われる。奉仕活動の義務化は見送られる。　(現代教育新聞ＨＰ=http://www.gks.co.jp/y_2000/main/news/00122204.html。文科省ＨＰ=http://www.mext.go.jp)

｢ゆとり教科書で学力低下｣、中教審や総合科学技術会議で批判

　4月19日の中央教育審議会の初等中等教育分科会の初会合で、文部科学省は、国際教育到達度評価学会の理数学力調査結果を示し、｢我が国の児童生徒の学力は国際的にトップクラス｣と説明したが、梶田叡一･京都ノートルダム女子大学長らが、｢学力低下は起きており、裏付けるデータも発表されている」などと迫った。田村哲夫･渋谷教育学園理事長は「｢生きる力｣を育てるという文科省の方針は国際的にも支持されている」と訴えた。

　総合科学技術会議では、町村文科相の｢学習指導要領は教える内容の下限を決めたもの｣との説明に、黒田玲子･東大教授が｢現実には教える上限になっている｣、｢理科や数学が得意で科学者を目指す子は、どんどん伸びるよう教えるべきだ｣と述べた。

　町村文科相は20日、「現場の理解を得られていない。重大な問題なので、総合科学技術会議や中教審で何らかの結論が出るなら対応したい」と話した。　（｢読売｣4/20付け）

文科省が、2000年度学校基本調査を公表

　文部科学省が4月18日、旧文部省が2000年5月現在で実施した｢学校基本調査｣の内、学校数、児童･生徒･学生数、教職員数、卒業後の状況調査についての結果を公表した。　(官邸ＨＰ=http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo-shiryo/2001/0418/siry0418.htm)

私大など学校法人の８割超が財務公開

　大学、短大等の私立学校を設置する全国649の学校法人の内、536法人､82.6％が財務書類を公開していることが、文部科学省の調査で判明した。2000年10月時点の調査で、初調査の99年7月時点と比べて18.8％上昇した。公開方法は、｢申し出があった場合に限り閲覧を許可｣が61.2％(複数回答)と最も多い。資金収支計算書、消費支出計算書、貸借対照表の3種類とも公開するところが403法人に上る。学校法人の財務状況の公開は、2001年度からの政府の｢規制改革推進三か年計画｣に盛り込まれている。　(｢読売｣4/4付け)

量の東大、質の筑波大、兼ね備えた京都大と大阪大。論文引用度ランキングで

　世界最大の科学情報会社、米ＩＳＩの調査(分野ごとに引用数が多い論文200本を毎年選び､22分野の81～98年の計約7万7千本)では、著者が日本の研究機関に属するのは約3千本（約3.9％）で、トップが東大、2位京大で、阪大､東北大､名古屋大と続く。旧帝大以外では東京工業大､ＮＴＴ､理化学研究所､筑波大がベスト10入りしている。論文1本当りの平均引用数では、ベスト10は筑波大､阪大､京大､北海道大の順。　(｢朝日｣4/4付け)

東大が大学教官の研究データベース構築、産学連携めざし

　東大が、全国の国公私立大学教官の研究内容を紹介するデータベースをつくり、インターネットで無料公開する。収録される研究数は10万件程度の見通しで、キーワードで検索できるようにする。東大は、02年度予算で数十億円を要求。すべて完成するまでには数年かかる見通しだ。約60カ所の国立大に置かれている「地域共同研究センター」や、私大の産学協同組織を通じてデータベースへの登録を呼びかける。　(｢朝日｣4/3付け)

東大工学部が｢パート教授を｣提言

　東京大学工学部は4月17日、｢知｣を活用するシステムづくりの行動計画を発表した。外部から招く｢パート教授｣(一定期間大学と企業で例えば半々ずつ働いて給与を得る)導入や、教授会の多数決制などを提言、５年以内の実現を目指す。企業との連携を強め、教員の集団としての力を最大限に発揮する態勢作りが目標だ。　（｢朝日｣4/18付け）

東大新学長、学力維持に厳格管理導入

　東大の入学式で佐々木毅学長は｢学力水準を維持するため、学力のより厳格な管理システムが導入されるものと覚悟してほしい｣と述べた。佐々木学長はこのほか、｢国立大学を護送船団方式で守ってきた時代は終わった｣と述べた。　（｢ＮＨＫニュース｣4/12。東大ＨＰ=http://www.u-tokyo.ac.jp/president/010412.pdf）

国立大教官らの特許報酬、2002年度から青天井に

　国立大学教官らの発明が国により特許化され実用化された場合、国が支払う報酬について、政府は、上限を撤廃する方針を固めた。教官らの意欲を増し、民間への技術移転を促すもので、規制改革推進3カ年計画に盛り込み2002年度から始める。国立大教官の発明を国有特許として出願する件数は、89年度39件から99年度190件と約5倍になっている。報酬額の上限は、1952年の制定時には1人当り年額50万円だったが、93年に300万円、96年に600万円に段階的に引き上げられてきた(特許庁長官通達で)。　（｢朝日｣3/17付け）

第一勧銀と一勧総研が、大学ＴＬＯと連携しインキュベーション事業

　第一勧業銀行と第一勧銀総合研究所が、大学の技術移転機関(ＴＬＯ)と連携し、インキュベーション(起業・事業化支援)事業に乗り出す。技術志向の企業とＴＬＯのマッチング支援サービスを事業化し、資金提供なども含めた多面的な起業・事業化支援を展開する。技術志向の企業の組織化を図り、全国にある大学のＴＬＯとの連携も深める。試行中のマッチング支援は、東工大と提携して進めている。　(｢日刊工業｣2/8付け)

｢人材育成､産学連携緊密に｣、関西同友会が提言

　関西経済同友会は4月3日｢大学と人材育成システムの改革を目指して｣と題する提言をまとめた。大学が質の高い人材と研究成果を産業界に供給することで企業の競争力が強化されると指摘。大学は学内に企業との共同研究・受託研究獲得の営業などを担当する専門の推進統括組織を設置し、企業側は経営者による「実学講座」を実施するなど産学の連携を綿密にする必要があると提案した。　（｢日経｣4/4付け）

経済同友会がホームページ開設し、企業と学校の交流促進

　経済同友会は4月10日、｢学校と企業の一層の相互交流を目指して～企業経営者による教育現場への積極的な参画｣を発表し、過去の出張授業等の事例紹介等を行うとともに、職場見学やインターンシップ受入れ企業名の情報提供や、ホームページを通じた学校と会員企業ボランティアとの仲介を行う。　(経済同友会ＨＰ=http://www.doyukai.or.jp）

商社マンＯＢを大学の教壇に＝４大学が開講－日本貿易会

　商社マンの海外経験を大学生に伝える授業が、新年度からスタートする。大手商社などで組織する日本貿易会が、昨年設立した非営利組織｢国際社会貢献センター｣の活動として、商社ＯＢらを講師派遣する。受け入れるのは、神戸大学経済学部､甲南大学経営学部､同志社大学大学院商学研究科､早稲田大学(夜間クラス)。　(｢時事通信｣2/5付け)

民主党の参議院選挙政策で、国立大学の公設民営、私立大学移行など抜本的見直し

　民主党の参議院政策｢すべての人に公正であるために／7つの改革･21の重点政策｣(3月23日)の｢第5の柱 学校改革｣は、｢国立大学のあり方を見なおします～国立大学を改革～｣として、｢国立大学への手厚い保護が国立・私立間の公平な競争を阻害し、非効率的な経営をもたらしています。そこで、現在の国立大学は将来、地方立（公設民営など）や私立大学に移行することも視野に入れ抜本的に見直します。｣などと述べている。　（民主党ＨＰ=http://www.dpj.or.jp/seisaku/。｢朝日｣4/8付け）

東大、11部局で任期制導入決定

　評議会が、11部局の4月からの教員任期制導入を承認した。その内、教授又は助教授の任期制は、工学系・医学系・農学生命系の3研究科、医科学・東洋文化・社会科学・社会情報・生産技術の5研究所、附属病院、国際産学共同研究センター。1-5年年限で、講座により異なる。助手の任期制導入は、人文社会系・医学系・農学生命系の3研究科と社会情報研究所(新領域創成科学研究科、経済学研究科は実施済み)。　(｢東大新聞｣4/23付け)

｢任期制｣東大教授も、若手登用で活性化促進

　東大は昨年9月、現行60歳定年の段階的65歳移行を決めたが、｢高齢の教授が居座り、若手の登用を阻むのでは｣との懸念が学内外から上がっていた。農学部では助手以上の全教員、工、医学部では当面講師以上の教員に任期制を導入し、定年"自動延長"を避ける。任期制移行は3学部とも55歳以上で、再任を希望する人は60歳になる前に、教授会などの審査を受ける。業績がない場合、60歳以降は大学にとどまれない。　(｢読売｣3/20付け)

今春から定年延長の東大教授、ほとんどが｢居残り｣

　東京大学の教授の任期制導入については、蓮實重彦学長は｢大学の活力を高めるための方策は各部局で検討する｣としていた。今春から教授の任期制を導入するのは工、医、農の各学部。導入しないのは理、薬、法、教養の各学部で、自動的に定年まで残れる。教育、経済学部は検討中、文学部は助手の任期制の検討から始める。　(｢朝日｣2/4付け)

教員養成系大学の再編や統合必要…文部科学相

　町村文部科学相は2月27日の衆院・文部科学委員会で、現在48ある国立の教員養成大学・学部について、｢教員の数が減っているのにこれだけの大学や学部が必要なのか。当然見直さなければならない｣と、再編や統合を進める必要があるとの認識を強く示した。国立大全般に関しても「納税者から見て理由のない大学は存続しえない。自己改革努力をしない大学は廃校されてしかるべきだ」と述べた。　(｢読売｣2/28付け)

在籍短期でも名誉教授に、文科省が法改正へ

　文部科学省は、今国会に学校教育法の改正案を提出し、名誉教授の選考について｢多年勤務｣の条件を削除し、各大学の授与基準変更を促す。教員の人事交流が活発になることを狙っているという。　（｢読売｣2/19付け）

総合誌で｢教育特集｣、新旧東大学長も登場

｢世界｣5月号(岩波書店)　蓮實重彦･前東大学長が、｢私が大学について知っている２､３の事柄｣として、東大総長として知りえた日本の高等教育行政の奇妙さ、混迷を指摘し、文部科学省の唱える｢大学改革｣や｢独立行政法人化｣は時代遅れと論じている。また、｢学び｣の改革が社会を変える、を特集している。

｢論座｣5月号(朝日新聞社)　佐々木毅･東大学長｢東大はこう変わる 大学らしい大学を目指して｣で、｢独法化問題で消耗する国立大学｣｢大学が独立した法人格を持つことと独立行政法人になることは別の話｣などと論じている。また、全国大学学長アンケート｢海外の大学に勝てますか｣や｢学習指導要領＝最低基準｣論がもたらした｢教科書｣大混乱などが掲載されている。

４．その他科学技術をめぐる動き

試験研究機関独立法人化で混乱･矛盾が顕在化＝独法反対首都圏ネットワークから

国研独法化で国際研究協力が失効　　3月28日、外務省国際科学協力室が、各国駐在の日本大使館宛の｢独法化についての各国政府に通知する電信案｣を各省に示した。国研の独法化に伴い、旧国研が諸外国と締結している科学技術協力協定に基づく実施取決めは、原則として｢終了｣＝失効し、新たに締結しても｢私法上の契約｣になると説明。　(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010417gaimusyou.html)

｢緊急レポート"こんなはずではなかった":独法化された元国研の状況｣　　｢給与の高い理事(年収2000万円以上)…天下りはじめ外部から｣｢安全管理や財産管理､経理､給与､厚生等々､事務方は膨大な作業を行ってきた…膨大な労力の集積と実現した独法とのギャップはうめがたい｣(http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010419kunnkyureport.htm)

科学技術･学術審議会に相次いで諮問

　科学技術･学術審議会は、中央省庁再編に伴い、6審議会＝航空･電子等技術審議会､海洋開発審議会､資源調査会､技術士審議会､学術審議会､測地学審議会を統合して設置された。委員30人以内で、研究計画･評価分科会､資源調査分科会､学術分科会､海洋開発分科会､測地学分科会､技術士分科会と技術･研究基盤部会､生命倫理･安全部会が設けられた。

　4月13日には、�@｢長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について｣(海洋開発分科会で審議し､1年程度を目途に結論)、�A｢技術士試験における技術部門の見直しについて｣(技術士分科会で審議し､1年半程度を目途に結論)、�B｢知的基盤整備計画について｣(技術･研究基盤部会で審議し､本年夏までに一応の結論)が諮問された。　(文科省ＨＰ=http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/index.htm)

科研費の申請、旧姓も認める／文部科学省が方針変更

　国の科学研究費補助金を旧姓でも申請できるよう女性研究者らが求めていた問題で、文部科学省は、戸籍名を原則とする現行方式を改め、旧姓での申請を認める方針を決めた。遅くとも今秋始まる2002年度分の申請から適用する考え。　(｢朝日｣2/23付け）

科学技術政策研究所がＮＰＯ活動を調査

　文部科学省の科学技術政策研究所が、科学技術に関連が深い14のＮＰＯ(非営利団体)に対して聞き取り等による事例調査を行い、ＮＰＯ法人の競争的資金獲得、ＮＰＯ型研究所の設立などの提言をまとめた。　(｢科学新聞｣4/6付け)

独立行政法人も情報公開へ、145法人対象に法制化

　総務省が、｢独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案｣をまとめた。対象は、独立行政法人や公庫､公団､公営競技関係法人､日本銀行など145法人で、誰にも情報の開示請求を認めている。4月施行の情報公開法の内容を概ね踏襲し、国の安全が脅かされる恐れのあるケースなど例外規定を設けた。02年度施行を目指し、今国会に提出する。特殊会社の日本たばこ産業やＪＲ各社などは、経営に民間手法を活用するため除外した。ＮＨＫは独自の情報開示制度で取り組むことになった。　(｢共同通信｣3/6付け)

特殊法人改革に76基準、橋本行革相が閣僚に提示

　橋本龍太郎行革担当相は4月3日、特殊法人の抜本的改革に向け、事業の採算性や必要性など76の見直し基準を｢論点整理｣として示した。｢いわゆる子会社を含む事業実施の方法にさかのぼった上で、ゼロベースから厳しい見直しを行う｣とする。行政改革推進事務局を中心に、この基準に沿って、各法人の事業ごとに厳しくチェック、廃止や民営化、独立行政法人化などふさわしい組織形態を検討。6月に中間取りまとめ、2001年度中に｢特殊法人等整理合理化計画｣を策定する方針だ。　（｢共同通信ニュース｣4/3付け）

公務員制度改革で、官房長の連絡会設置を決定

　政府は5日の事務次官会議で、公務員制度改革の｢基本設計案｣策定作業を円滑に進めるため、全省庁の官房長でつくる連絡会を設置することを決めた。今回の改革では｢信賞必罰人事｣の導入やスト権付与などの問題が焦点となっており、｢全省庁の協力が不可欠｣との判断から、各省庁との連携を強化することにした。　（｢毎日｣4/5付け）

行革推進本部が、各省庁独自に信賞必罰の人事制度と公務員制度改革案

　橋本龍太郎行革担当相は3月27日の行政改革推進本部で、公務員制度改革の大枠案を説明、了承を得た。信賞必罰の人事制度導入のため、給与､昇進･降格を各省庁が独自に決定するよう転換する。官僚の天下りは、人事院の事前承認を廃止し、各大臣が直接承認する。大枠案はまた、首相を支える｢国家戦略スタッフ群｣(仮称)の創設を提言。政府は参院選前の6月に、公務員制度改革の基本設計案をまとめる方針。　(｢毎日｣3/27付け)

国家公務員に評価システム導入を提言、人事院

　人事院の研究会は3月30日、国家公務員の人事評価を見直し、｢目標管理｣の手法を取り入れて、能力･実績本位で昇進昇給するシステムを各省庁ごとに導入するよう求める報告書をまとめた。人事院は、来年度にも同院内人事で試験導入する。評価は、公務員個人と上司が５段階評価して記録簿に残し、人事に直接反映させる。評価を公正なものとするため、研修や人事決定に対する｢苦情相談｣も行う。　（｢毎日｣3/30付け）

経済学系院生は数学が苦手 京大教授ら調査

　京都大経済研究所の西村和雄教授らが3月21日、国立大の経済学系大学院生でも、小中学校レベルの問題が解けないなど数学の学力が低いと発表した。｢研究者としての資質に疑問。将来、大学の質の低下につながる｣と警告している。調査は、西村教授と八木匡同志社大教授、戸瀬信之慶応大教授が、99年度と2000年度に5大学の修士課程1年約130人を対象とした。同時実施の教員アンケートでは、｢院生の増加で質が低下した｣｢社会人教育と研究者養成とのすみ分けができていない｣の回答が目立った。　(｢京都新聞｣3/22付け)

理数科目で日本の｢学力低下｣

　国立教育政策研究所が｢数学教育･理科教育の国際比較｣を刊行した(ぎょうせい社)。99年に実施した国際教育到達度評価学会(ＩＥＡ)による調査(38カ国･地域)を日本の視点から国際評価したもの。日本は、国際順位の低下、｢好き｣率の低下、学習時間の少なさなどが指摘されている。　(｢科学新聞｣4/20付け)

就職意識調査で、大学生は大企業志向、ベンチャー志向沈静化

　毎日コミュニケーションズの来春卒業予定大学生約6300人の調査によると、｢やりたい仕事ができれば大企業｣｢絶対に大企業｣と答えたのは男女合計で前年比4.7％増の45.7％。昨年のネットバブル崩壊で、ベンチャー志向が沈静化している。　(｢毎日｣4/18付け)

ＩＴ戦略本部がe-Japan重点計画

　ＩＴ戦略本部が3月29日、｢e-Japan重点計画｣(高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画)を提言した。5つの重点政策分野の中に｢教育及び学習の振興並びに人材の育成｣が挙げられている。　(官邸ＨＰ=http://www.kantei.go.jp/jp/it/network/)

経団連が「e-Japan戦略」実現に向けた提言

　(社)経済団体連合会が2月20日、インフラ整備、電子商取引ルール整備、電子政府実現、人材育成等の｢｢e-Japan戦略｣実現に向けた提言ー｢やるべきこと｣を迅速に実現する｢重点計画｣を求める｣を発表した。｢大学改革の積極的推進等｣として、自律的･機動的な大学運営実現を2001年度の課題としている。　(経団連ＨＰ=http://www.keidanren.or.jp)

経団連がナノテクノロジーで提言

　経団連が3月27日､｢ナノテクが創る未来社会｣を提言した。重点投資すべき分野として5-10年先の実用化を目指すフラッグシップ型プロジェクト(次世代半導体等)と10-20年先を目指すチャレンジ型プロジェクト(ナノプロセス･マテリアル等)及び基礎研究を掲げ、国の体制整備と集中的研究開発を求めた。　(経団連ＨＰ=http://www.keidanren.or.jp)

日本の特許収支、今年は初の黒字へ

　日本の特許収支が、2月単月で黒字になり、2001年は黒字転換する見通し。先進国の特許収支は、米国と英国だけが黒字で、米国は年200億ドル以上。財務省によると､2000年の特許収支は支払額が前年比5.8％増の1兆1863億円、受取額は18.4％増の1兆1025億円。支払額は96年以降ほぼ横ばいだが、受取額は過去5年間で倍増した。　(｢日経｣4/23付け)

米国向け技術輸出がバイオ､医薬品で伸びる

　文部科学省科学技術政策研究所の｢平成10年度日本の技術輸出の実態｣(資本金10億円以上約3200社調査)によると、米国が5年連続で最大の技術輸出先で、以下中国､台湾､韓国の順。バイオや医薬品で米国への輸出が輸入を上回っている。　(｢科学新聞｣3/16付け)

電機大手が研究所主導で技術外販

　日立、東芝など大手電機メーカーの研究部門が自社開発した技術の外販に乗り出している。従来の事業部門でなく、研究部門が自ら技術を外販し、技術料収入の拡大と同時に、市場ニーズに直結した研究開発を強化する。　(｢日経｣3/28付け)

防衛庁が独立行政法人・大学と連携し研究開発へ

　防衛庁は、防衛予算の伸びが抑えられる中で、効率的な研究開発を進めるため、ＩＴやロボットなど重点分野で集中的に研究開発を進める。大学や独立行政法人等との連携や、日米共同研究により、研究開発費を抑える方策も検討する。　（｢読売｣4/17付け）

米の研究開発投資減少、国際競争力低下を憂慮

　米国競争力評議会(議長＝ギルマーティン･メルク社社長)は、米国の研究開発投資は不十分で、将来の米国経済を支える基礎研究をないがしろにしているとする報告書をまとめた。先端研究投資に対する国の割合の低下と、生命科学以外の領域での学位取得者数の低下に懸念を示し、長期的に米国の国際競争力を低下させると指摘する。教育と訓練が需要に追いつかず、熟練労働者不足は間近と指摘している。　(｢科学新聞｣3/2付け)

規制緩和で500万人雇用創出、経済財政諮問会議が提言案

　教育､福祉､医療など11分野で市場を拡大し、経済サービス化で約500万人の雇用を生み出すという目標を提示。規制見直し具体策で大学の学部･学科設置自由化などを求めている。2002年度から雇用創出策を開始し、5年程度で目標達成をめざす。　(｢日経｣5/1付け)

物品購入は｢環境型｣優先に、政府が方針。コピー用紙は､古紙100％､｢純白｣の70％以下

　政府は、省庁や裁判所、国会など国の機関で使う紙や文具、ＯＡ機器、自動車など14分野101品目について、再生品や省エネ品などを優先購入する方針を決め、物品が環境型かどうかの判断基準を定めた。４月にグリーン購入法が施行されるのに合わせて実施し、地方自治体にも同調を呼びかける。　(｢朝日｣2/1付け)

５．学術関連雑誌の特集等

「学術の動向」（日本学術会議）

01年2月号　特集／21世紀とヒトゲノム：ヒトゲノム研究の光と蔭など。論壇／日本学術会議と司法改革

01年3月号　特集／緊急シンポジウム｢21世紀の科学アカデミーをデザインする｣。特別報告／セレラ社によるヒトゲノムの論文の掲載に関するサイエンス誌宛ての日本学術会議会長の書簡について。

01年4月号　特集／21世紀と新エネルギー。論壇／アジアとはいったい何なのか。アジアは一つだろうか

「文部科学広報」（文部科学省大臣官房発行）

01年2月26日号　21世紀教育新生プラン～レインボープラン～７つの重点戦略。教育改革関連法案の概要

01年2月19日号　21世紀教育新生プランを決定。中央教育審議会総会(第1回)。今後の産学連携の在り方に関する調査研究協力者会議が審議の概要を公表

「学術月報」（日本学術振興会、丸善発行）

01年2月号　特集／最近の極域研究

01年3月号　特集／ＪＳＰＳミレニアムフォーラムー学術の新たなるグローバルネットワークの構築。海外ニュース／ドイツ学術協議会が大規模研究機関の構造及び業務の再編成に関する勧告

「大学と学生」（文部科学省高等教育局学生課編、第一法規出版発行）

01年2月(No.433)　特集／学生相談。資料：21世紀教育新生プラン

01年2月臨時増刊(No.434)　特集／教育改革国民会議。大学審議会：大学入試の改善について

01年3月(No.435)　特集／カリキュラム改革

01年4月(No.436)　特集／平成13年度高等教育行政の展望。資料:大学改革の推進

「大学資料」（大学教育研究会監修、(財)文教協会発行）

149､150号（01年2月）　資料／入学者選抜実施関係、公私立大学等の新設等について

「政策研ニュース」（文部科学省科学技術政策研究所。http://www.nistep.go.jp）

01年2月号(No.148)　論説紹介：科学技術に関する国民意識調査について（その６）－英国の状況－。トピックス：国際コンファレンス｢起業家精神とナショナル・イノベーション・システム｣

01年3月号(No.149)　レポート紹介：平成10年度外国技術導入の動向分析－NISTEP REPORT No.68。平成10年度日本の技術輸出の実態－NISTEP REPORT No.69

01年4月号(No.150)　レポート紹介：科学技術とＮＰＯの関係についての調査－調査資料No.78。海外事情：ドイツにおけるハイテクベンチャー育成政策

「理科教室」（科学教育研究協議会編集、新生出版発行）

01年3月号　特集／植物にとって花と実とは。特集2／原子力教育を考える

01年4月号　特集／年間計画にチャレンジ！

01年5月号　特集/気体の学習をこうはじめよう。特集2/子どもたちにやらせたいこと

　『ＪＳＡ学術情報ニュース』は、ＪＳＡが入手し得た限りの情報を編集して掲載し

ます。原則として情報の要点のみを掲載し、編集者の論評等は加えません。

　なお、それぞれの記事には出典を明示しますので、詳細な情報を希望される方は、

日付、出典などをお示しの上、全国事務局にお問い合わせください。

（本号は、主に2001年2月～2001年4月の情報を扱っています）