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「在り方懇報告」のもとで苦心惨憺する全国の教育系学部

どの大学も小学校教員養成の機能は残したい!!

計画養成と開放制の間仕切りは?  行政区画と養成区画の一致性は?

 

   シンポジウム 「教員養成系大学・学部の再編・統合と新課程問題」

          (総合大学における教育学部の改革と新課程の状況) 報告

 

 

 ここに掲載するのは、昨年11月8日に愛知教育大学で開催された日本教育大学協会新課程連絡協議会のシンポジウムの中の、「教員養成系大学・学部の再編・統合と新課程問題」(総合大学における教育学部の改革と新課程の状況)の記録である。紙面の都合で、最初のシンポジアストの報告は当方でまとめてあることや、話し言葉を簡略化するなど省略をはかった。議論の部分は、大意を損ねないよう原文に忠実に再現したが、あくまで正式のものではないことに留意いただきたい。また発言者の名前は全部省略し、大学名だけを記載した。会議は全て、分科会形式を取らず全体会で行われた。教員養成系の再編・統合問題が渦中の中、新課程協議会で新課程問題を基軸に教員養成のあり方がこれほど深く議論になったのは初めてであり、近年にない盛り上がったセッションであった。

 これらの報告は、3月末に完全な再現・報告が愛知教育大学から出る予定であるが、それに先立ち情報提供するものである。「教員養成担当大学」を目指している大学も、「一般大学」を目指している大学も新課程の問題を含めて「在り方懇報告」のもとで苦心惨憺しているのが実状であり、それが本報告で手に取るようにお分かりいただけると思う。本報告が教員養成系の「再編・統合」をめぐる議論の一助となることを期待している。 

 

【岡本靖正日本教育大学協会会長(東京学芸大学長)の挨拶】(最初の部分省略)

                                          

 教育系大学・学部の場合には、昨年11月に出されました在り方懇談会の報告書の提言に沿って再編統合に向けて各大学・学部がたいへん苦労されているところでありますが、このところ文部科学省の姿勢に微妙な変化があることは、多くの方々が感じておられることだと思います。

 当初、教育大学室は、法人化に先立って平成14年度中に全国マップを作るという方針を示しておられましたが、去る10月の教大協学長・学部長等連絡協議会では、本間室長は、14年度中に行うのは、各大学の話し合いの状況、全国的状況のとりまとめであると説明しておられます。教育系大学・学部は、中長期的な将来展望を十分に描けぬまま、中期目標・中期計画の原案を作らねばならぬわけで、各大学・学部もご苦労されていると思います。先の学長・学部長等連絡協議会では、それに先だって、各学長・学部長の方々から質問事項をお寄せいただき、私のところで整理をいたしまして、予め教育大学室に届け、回答していただきました。12月に刊行される日本教育大学協会「会報」に掲載いたします。本日は、したがって、その全体には触れずに、新課程にかかわる2点についてご報告いたします。

 一点は、再編統合へ向けて協議を続けながら、平成15年3月までに合意に至らなかった場合に、6年間の中期目標・中期計画はどのように書くのか、法人化前には再編統合が進むことは基本的にないとして、そのことは、法人化後、中期目標期間の6年間は再編統合がないことを意味するか、あるいはその途中でもあり得るのか、その場合に中期目標・中期計画はどうするのか、ということであります。これについては、中期目標期間の途中で再編統合が行われることはあり得ることで、その場合には、その時点で新たに6年間の中期目標・中期計画を策定し直すことになる可能性が高いとのことでありました。もう一点は、新課程そのものに関することであります。努力はしていても、結果として再編統合がうまくいかないことがあり得て、その場合は教員養成担当大学を目指していても、新課程を残さざるを得ない、それは可能なのかどうか、という質問でありました。室長の答えは、一般的な回答はできない、個別に大学の状況を教えていただいた上で、個別に回答したいとのことでありました。

 今後、再編統合が進む場合でも、移行期間を含めて、新課程に関わる問題は多々あります。残念ながら、明るい見通しがあるわけではありませんが、本日の協議会におきましても、必要な議論がなされることを期待いたしまして、今年度の新課程連絡協議会開催に当たってのご挨拶に代えさせていただきます。

 

   シンポジウム 「教員養成系大学・学部の再編・統合と新課程問題」

          (総合大学における教育学部の改革と新課程の状況)

 

  ☆教育大学・学部の再編・統合が進みつつある大学の新課程の今後の見通し

   

  《 福島大学 教育学部 》 

 

 他大学と異なった再編統合の動き=全学再編で自然系学部を作ろうという以前からの動きがあった。

2001.9から2002.1の段階 新しい全学の体制を作ることになる、福島大学の新制度設計。教育重視の人材養成。理工系拡充の文理融合型の大学を目指す。教育学部は人間発達文化学部(仮称)。

 今年の1月末から3月、教員養成担当校になるということと、自然系学部を作るということの両立は困難ではないか。フル装備の教員養成をはたして出来るのか、難しい。

 

南東北の3大学(山形、宮教、福島)の連絡会議が発足、3/11(第1回)5/16(第3回)まで行われている。南東北地区の実状、02/4月 新教育学部これまでの実績を踏まえて見直そう。『従来の計画養成免許必修の教員養成コースからから、新たに教員養成を内に含んだ広義の教育者、地域教育の担い手あるいは人間発達性の担い手の養成』  理工系学群を全学的に位置づけるかが問題。『地域が求める人材育成をどうするか』

 

 4学部、4つの人材育成。02/5月から8月 福島大学の再編構想、「学群・学系・学類」方式。12の学系2つの学群、小学校教員養成の機能を免許選択性に。夜間主コースとして現代教養コース。

 法人移行と同じ時期を考えていたが、9月以降、次年度に繰り延べとなった。

 地元の要請に応える、地域の教育全体に資するものを作っていきたい。

 

 《 鳥取大学 教育地域科学部 》

 

 新課程は廃止の方向である。(全国から)なんであそこはうまくいっているんだ、地元で騒がないんだと思っておられると思いますが、地元との摩擦がないのは何故かお話ししたい。1987年学生180名に教官80名、1995年に教養部廃止による定員増で教官114名。1999年に教育地域科学部へ改組(養成課程70新々課程30非養成課程60)。このように教育地域科学部は教員養成系(新々課程を含む)と地域系の複合学部である。地域との摩擦がない理由は、(始めに再編・統合ありきではなく)理念から入ったからである。

@ 一般学部選択の決断   

 01 9/13,10/31から02 2/1 まで13回にわたり、学部内の委員会である、「タスクユニットT」(学部長、評議員2、学部長指名教官3名)で、教員需要の予測(採用率はここ10年良くならないであろう)、99年改組の方向、これまでの研究教育実績等を種々検討し、教員養成担当とはなりえないと判断し、一般学部への改組を決断。学部名は「地域科学部」(地域学部としたかったが「科」を入れさせられた。) 理念は「地域学の教育研究を通じて、地域のキー・パーソンを養成する」4学科で構成。

 教員養成機能の存続(地元の要請もあり、小・養護教員養成を免許選択制として残す。)これを担当する学科は教員養成学科ではない地域教育学科という名前。全く別のコンセプトで地域の教育機能形態を作ろうということ。教員も地域のキー・パーソン。付属学校は大学付属とする。

 

 次いで、02 2/7から4/30まで12回にわたり、学部基本問題検討協議会(課程代表教官各1名計4名)+タスクユニットT (並行して、任意の教官グループごとに検討)において、地域科学部として必要な学科構成、学科の理念、教員養成機能の組み込み等を種々検討し、小・養護学校教員免許を取得可能な1学科を含む4学科を基本とする改組第一次案を作成。

 

A学内外への説明

 学部長から、学内外への説明(県知事、県教委、県教育センター、同窓会、PTA(大学および付属学校)。

私達の案が出てきた頃、島根大学から話があった。

 

B島根大学との合意

 

2/16 両大学長・学部長の協議。・島根大学は教員養成担当学部へ・鳥取大学は教員養成機能を併せ持つ一般学部へ。3/6教員養成学部協議会(学長、学部長ほか)で、鳥取大学の養成課程学生定員70を島根大学へ、島根大学の新課程学生定員100を鳥取大学へ移す。

 文部科学省との協議は、3/8一般学部への改組提示 5/10学部・学科構想と理念案の提示。

 検討中の新学部構想は随時教授会で報告しており、教授会への第一次改組案報告を5/16にするなど学部内の合意をとっている。

 

  ☆教育大学・学部において新課程を存続・充実させる方向の大学の新課程の見通し

 

   《 福井大学 教育地域科学部 》

 

 教員養成担当学部か一般学部かという選択肢をとらない。二者択一でなく第三の道をとった。(あり方懇のいう)A案でもB案でもC案でもなくD案をとった。そうせざるを得ない現状がある。福井大は総合大学とはいえ二学部しかない。2003年11月から福井医科大と統合し三学部となる。教育地域科学部は教員養成100名、新課程60名で、人文社会系の受け皿。一方、教員養成をやめるということになると大変な反響・反発。新課程では、責任体制の明確化(学生から就職体制が手薄だというクレイム)。課程認定はやらない。

 「在り方懇」では、(新課程は)教員養成のパワーを落とすという指摘がある。それを回避するため、学部共通のカリキュラムデザインを取っている。学校教員養成課程の方は教育実習と,その事前事後を含んだ1年から4年までを教育実践研究が必修の基幹科目として位置づけられている。この他にもライフパートナーといって,不登校の子どもたちを支援するため,学生たちが授業の一環で地域に出かけていくといった実践が行われており、地域に根ざした教員養成を行っているところに我が学部の教員養成の特徴がある。

 新課程は地域文化課程と地域社会課程からなり、特に「地域実践科目」という、地域と関わる実践的な科目をカリキュラムの核に据えて、地域における実践を優先している。現在県内40数ケ所(行政機関・諸団体・企業)での実習を、必修で課している。地域実践科目は、実社会の実態や厳しさを体験できる貴重な場であり、卒業後の進路を具体的に意識させるなど大学における勉学目的を明確にさせ、就職時のミスマッチを防止するなどの評価を受けている。事前事後の指導が重要で、教育実習以上の負荷が教官にかかる。そういう意味では今教員養成で教科専門の先生方が教員養成にどう関与するかということが大きな課題になっているが、この地域実践科目はそれを先取りして、昔であれば教科専門のポジションにいた先生方が中心になって地域実践科目を動かしているので,先進的な試みと位置づけている。

 このように教員養成と新課程とが地域における実践というこれを第1優先事項として重視しているところに共通項があり、単なる人文社会科学の受け皿ではないし、教員養成の足を引っ張る新課程ではないと考えている。

 今後、教育地域科学部としていく。これまで地域と連携した教育地域科学部としての見解を、2001年10月5日に「地域に根ざし開かれた教育・学術・研究の拠点としての教育地域科学部のあり方」,そして02年3月15日に「21世紀における日本の教師教育改革のデザイン」という2つの教授会見解を出している。02.3.19 福井県議会で、福井大学の教育地域科学部の存続を求める意見書が全会一致で採決された。評価を見ると、入試は改組で受験者が大幅に増え、また、9割近い内定率で、評価は高い。「在り方懇」では、両課程を併存させるメリットがないと言っているが、我々は教員養成課程と新課程を併存させるメリットをデータをもって示していく。教員養成から他の分野へ行くもの、新課程から教員になる者など多様な学生が存在するなど、大学が持つ職業指導機能が高まっている。教員養成課程と新課程の相互補完をカリキュラムに出していく必要がある。2学部体制で、教員養成のみ、または新課程のみを残すことはできない。地域との関係で、「地域実践科目」を開き、様々な試みをしている。

 

  ☆教育学部から名称を変更した大学の今後の見通し

 

 《 大分大学 教育福祉科学部 》

 

 学部の将来について、教員養成担当か、一般学部かの結論は出ていない。学部名称変更で「福祉」という名をつけたのは大分のみ。学校教育課程[学生定員100,教官定員58]と新課程(情報社会文化課程[学生50教官20]と人間福祉科学発達課程[学生95教官23](福祉課程の方には学校教育の方から教育教官という名目で学生の生活指導等で協力)の3課程からなる。3回の新課程がらみの改組。平成9年の改組で責任体制が明確でない、授業の読み替えが多いなど学生からの不満が大きかった。

 

福祉の学部になって学部の教員養成の学生についても福祉の心を持って学校現場に出る、小中学校の9年間にそった広い視野に子ども達をみれるような教員になろう、そういうことをアドバイスしながらやってきている。そのことの一つの形付けとして,資料1の学部共通授業科目のような5つの科目を設定し,福祉関連科目を学部共通科目として設定した。教員養成の学生については、この中から1科目2単位を必ず取るよう指導している。その科目のなかに現代福祉事情というものがある。これは社会福祉士を専攻する学生のための授業だが,今年度の例でいうと(1年対象),学校教育課程の1年生110人の内の55人の学生がこれを受講している。そういうことで,私たちがよく言っていること(福祉の心を持って,その立場から小中学校9年間を見通して子どもたちをみれるような教員なろう)が、かなり学生に受け入れられているではないと思っている。新課程の学生の教員免許の取得状況をみると、下学年になるほど教員免許を取得する学生が増えているような傾向。教育学部から名前が変わってまだ間がたっていないことや、教育という名前がついていることから、学生達にもそういう意志が強いのではと思う。福祉課程の学生は実習等で福祉関連施設へ出向いている。学校教育課程の学生たちも,どこの大学もそうであろうが,ボランティアに出かけていると思うが、教員養成の学生にも福祉マインドということを言っているので,福祉関係のボランティアにどのくらい出ていくのかにいて調査した。資料にあるようにかなり出ていっているものだと感じている。私たちの考えがそれなりに理解されているのではないかと感じている。いままで説明したようなことで,うちの大学では福祉マインドをベースとして教育界や地域社会に役立つ人材の養成を目指してやっている。福祉ラインをベースに教育と地域社会に役立つこと。学生達はかなりが福祉関係のボランティアに出ている。

 福祉科学部の方向が出たところで、地域からの要望を把握するためのアンケート調査を行った。県内の教育関係の団体からはすでに多数の教員養成課程を残してもらいたい、それがどうしてもだめならば、せめて教員養成の機能だけはなんとしても維持してもらいたいとの多くの要望が届いている。

 

仮に新学部の道を選択することになったときに、新学部の構想をどうするかというだが、情報社会文化課程が出来て既に14年目に入っており、人間福祉科学課程は6年目に入っている。この間、十分な実績を積んできていると自負している。情報の方は14年間の歴史の中で既に色んな各方面に卒業生を送り込んでおり、就職率も良いこともあって自信も持っている。仮に新学部を構想することになったときには、新課程の歴史を踏まえること,教官組織を変更するようなことがあったとしても新課程の理念は必ず継承すること,を目指している。平成14年度、今年度の4月1日付けで独立研究科として福祉社会学研究科というのが立ち上がった。仮に一般学部として進むことになるとするならば、新課程の歴史を踏まえ,福祉あるいは独立研究科のことを視野に入れながら検討していくことは教授会でも一致している。

 

《 議 論 》

 

【島根大】鳥取大学と大分大学のお二人の先生にお伺いしたいが、先程お二人が言われたように、一般学部になる場合に、小学校教員の養成あるいは養護教員の養成を維持していくこと、それは本当にできるのだろうか。在り方懇の報告書の中では、そのようなことは一切無い。鳥取大学の場合も、地域教育科学部の地域教育学科という免許選択制の学科で、計画養成ではなくいわば開放制で、小学校教員の養成をするし、養護の教員も養成するというのです。ところが、小学校教員の養成というのは計画養成の中核的なものなんです。それを一般学部で、開放制で養成できるのなら、教育学部の再編改組の問題はかなり解決する。というのは、先ほど開会の挨拶の時に出てきたが、教員養成担当学部が近隣の大学と話し合ってうまくいかなかった場合には新課程を残さざるをえない。それは個別に文科省と交渉すれば可能だとすれば、新課程を残すということで、1つの問題は解決する。逆に、一般学部は計画養成の中核的な部分を開放制で残せるのなら、すべての全国の教員養成大学・学部はそれでいけるはずだ。これで、問題は解決したと言うことになるか。こんなことはあり得ない。だから、鳥取大学さんのご理解、パートナーである我々の理解と大分違っているけれど、実際そういうことが出来るのなら、みんなそういう方向で行けばいいわけだが、論理的には、そんなことはあり得ないと思うのが普通だ。なぜそういうことがあり得るのかということを、大分大学それから鳥取大学の方にお伺いしたい。

 

【大分大】おっしゃるとおりだと思う。大変難しいと思う。ただ地域の大分県というのは地理的には山を挟んでという所があるが、そうことから教員養成大学、教育キャンパス部分がなくなってしまうことは地域の人にとっては、大変な損失であるということは何処の県も同じであると思う。そのことについて、県内の教育関係団体であるとか学校協議会とかいろんな所からどうか教員養成機能は残してほしいという話し(要望)が来ている。だからどうなるという話しではないが、確かに難しい話しであることは前々から聞いている。ただ一県で一つ教員養成機能をもつことが必要なことだとか、現職教員の研修のこともあるとか、必要であるということのデータ集めをしながら文科省と個別に折衝していきたいと私たちは思っている。出来るかどうか分からないがやってみなければ分からないと思う。

 

【鳥取大】鳥取大学の場合だが、今ご指摘いただいたことは非常に難しい事だと思っているが、ただ1つだけ認識が違うのが教員の計画養成機関を併せ持つということは計画養成でも開放養成でもないという認識である。免許選択制というのは新しい方式だと、それを文科省に案を持っていったときにそういう考え方を提示して、そういう大きな枠組みでこれからも進めていこうというふうな返事を頂いていると思う。それと何処で保証ができるというのは努力をすれば出来ると思うが、如何に我々が努力するかというのは、地域教育学科というその1つの学科そこが担当すると話したが、教員も地域のキーパーソンの1つであるというふうな概念をいかに組み込んでいくか、そこに最大の力を注いでいる。1つは地域科学というのが選択できたという事、そこの中に地域教育というようなジャンルを設けられた事、その中に教員の養成と機能を併せ持たせる事、そういう希望でやっている。だからあくまで地域教育学科というのは教員養成を表に出すものではない。全くそうではない。だが逆にカリキュラムあるいは構成コンセプトの組立によって、そこで、ある組み合わせでカリキュラムをとっていけば自然に免許状が取っていける、そういうようなことが、今ずっと申し上げて来たことだ。だからご指摘のとおりできるかどうか分からない、まだ。ただ希望をもってやっているということだけである。

 

【司会者】実はこの問題は大変重要な話で、一般の大学への移行というのを表明している、富山大学それから山形大学の方から少しお話願いたい。

 

【山形大】統合で有名になった教育学部としては一般校になると決めた、そして、それが大学全体に上がって、協議会に上がって、三大学でどうするという話しになったときに、県の方から教員養成学部がなくなるなんてとんでもない話で硬直状態になって、昨日の段階でもどうなるか分からない状態。もう県の方から来て、言ってきて半年位になるが。多分、福島大学・宮城教育大学も多分うちも心配になっているのだが、単科大学になるのか、計画養成するのか、開放制にするのか、新課程をどうするのか、とてもそこまでいってないので、もうチョット具体的になってきたら、多分この問題は大きな問題になってくると思う。現在どうなるのか膠着状態になっているようだ。

 

【富山大】富山県内には富山大学の他に二つの国立大学がある。この富山県内の三大学が一緒になるという話が昨年の夏ごろからでて、それを進めるためにはどうしても教育学部の将来についてどういう選択するかという判断を迫られた。それで、いろいろ議論して正式に教育学部教授会で決論を出したのは今年の6月だが、何回もやっていたので、その時は、ほとんどだれも問題なく決定した。担当大学を目ざさなくて人間発達科学部として開放型でいくということである。三大学の中で入学定員と教官定員を使い、担当大学に入学定員と教官定員を渡さないということである。そういうことができるかと出来るかどうか分からないが、短大を含む三大学が一緒になる人間発達科学部は担当大学ではなく一般大学です。その定員は三大学の中で使って、他の大学には出さない。ただそういうふうにいけるかということは確認されたわけではないのです。私どもが文部科学省で話したことは,15年度がだめだったので16年度でもこの構想で進めても良いかということである。県内の国立3大学は平成16年12月までは合意したい。しかし16年度も危なくなって来ているが。他の大学からあまりにも早く担当大学をあきらめすぎだとの批判がある。しかし無理な担当大学構想を引きずっているよりもシンプルだ。特に今問題になっているのは,教育学部の後継学部としての人間発達科学部で,小学校教員養成ができるか、課程認定がどれだけできるか,短大と協力して創ろうとする芸術系学部ができるかなど。富山大学のある地区から他の地区へ移転が予想される先生方からの相当な反発がある。そういう深刻な問題に今直面している。一番不安なのは16年度がいけるかという悩みだが他にも問題は山積みしている。

 

【東京学芸大】大変興味深い話を伺っているが、少し整理したい。まず鳥取大学の場合は一般大学になって、いわゆる免許選択制というが、やはり課程認定を受けてのことだから、まさに開放制の一部だと思う。それからもう一つの福井大学の形というのは興味深いというか、結局現行のままだ。むしろ両課程の有機的関係中での教員養成の話になると思う。その場合、今色々と状況が変わっているが、県において教員養成のニーズが高いというのは一つの論理であるが、その論理は予想されてているし、大事なのは、もし出来るとすれば鳥取大学にしても福井大学にしてもみんなそうなのだが、力量ある教員養成がそういうスタイルで出来るということが、もしもアカンタビリティーあるとすれば、それが初めて一般大学における多様性が認められ、あるいは福井大学である形での教員養成、計画養成の中での教員養成そういう形で認められる、その可能性がどれぐらいあるかという所ではないか。だから、鳥取大学の話もこの理解でよいのかどうか、教員養成、新課程の教員養成の問題というのは相対立する問題というよりは、教員養成の側から見れば豊かな教員養成ができるかどうかということだ。これは文科省も含めてその説明ができるのかどうかというところではないか。その辺の見通しではないか。そこが認められるのであれば、現在、特に一般大学への移行するというところでは、そのスタイルの中で、新学部の作り方というところの中で、それをいかに組み込むかというところで勝負をしていくんではないかと理解してもらう。そんなふうに、そこがポイントなっているのかと思い、もう1度確認したい。

 

【鳥取大】免許選択性は計画養成でも開放制でもないと我々が主張しているのであって、それは「あり方懇」で考えるというのは、いわゆる計画養成と開放養成と分けるが、われわれが言っているのは、いずれも違うんだということを主張している。もちろんそれは無理があって、見れば開放制だとなるのだが、それは今ここでどっちだということを議論することは無駄だと思うのだが、力量ある教員をいかに作るか、それもそうなのだが、それはもちろん担当する学科の中のカリキュラムでやっていく必要があって、ここに一番苦慮しているところだ。我々としては、ここを先ず最初につくって、早く教育大学室から大学課に進みたいということで、今そこを目指しているというところだ。

 

【横浜国立大】4大学の検討の状況をお伺いしていて、非常に参考になることが多くあって、ありがたいことだと思っている。先ほどからすでに議論になっている問題で、一般学部になった場合でも教員養成機能を存続させる、開放制の教員養成を考えるということについて。一般学部への改組を考えているところはどこもそうだろうと思うが、そのことについて更に突っ込んでお聞きしたい。福島大学の場合、人間発達文化学類の中で人間発達専攻がそのような小学校の教員養成の課程認定を受けようというお考えで、鳥取大学でも地域教育学科で考えられているということだが、小学校の課程認定の場合は、かなりハードルが高いというか、厳しい条件があるわけだが、その辺のことを少しお聞かせいただきたい。先ほど、東京学芸大学の先生が言われた教員養成のパワーアップといいますか、力量といいますか、そのことをどうお考えなのかということである。課程認定の最低限の条件として教職関係3名、教科専門関係5名必要とされているわけだが、それらを満たすということで考えておられるのか、それともそれぞれの専攻なり、学科の中で、教職関係、教科専門関係をすべて充足するように教員配置を考えておられるのか、その点をお伺いしたい。また、今後、文科省のヒアリングの中で、新学部の性格と教員養成との関係をどのように説明されようとしているのかということもお伺いしたい。それから、福井大学の場合、現状維持で、大きく変更するつもりはないということだが、「在り方懇」の教員養成担当大学か、一般大学かという報告と相反するわけだが、そのことは文科省とのあいだで了解が出来ているのかどうか、大学の側の構想の段階であるのか、お教えいただければと思う。

 

【鳥取大】今日のレジメの5ページをご覧頂きたい、そこに10月時点としてあるが、学部構成案が載せてある。下から2番目が地域教育学科という今問題になっているところだが、教員の定員という事で25という数字が入れてある。学生50に対して教員が25、これが一般学部で認められるだろうかという、これは非常に難しい事で、ただ学内的には学長との話し合いでここが教員の養成機能をもつのはここなんだと認識してもらい、ではそれにふさわしい教官数は必要だ、という学内的合意は出来ているということだ。ということで当然教育学部なわけだから、地域教育学科では教員養成関係の教官が1番多くして、この中で充分に新しく広がる小学校教員の養成はやっていこうと、もちろんそれがメインではなくて、地域教育、これを確立していく過程で一生懸命やっていこうというふうに思っている。

 

【福島大】 福島大学の方では県内の高校の先生方のお話を聞いたりしているが、福島大学教育学部では小学校の教員養成課程はなくなるのではないか、という声がよく聞かれる。先程述べたが、人間発達文化学類に再編してそこに人間発達専攻という専攻をおき、特別なニーズを持つ子供達の教育にも優れた力をもつような教員を養成できる体制を確保したいと考えている。勿論、課程認定を通るだけの体制を確保しようということは考えている。県内の先生方、高校の先生方等々に聞くと是非そういう方向で進めてくれという要請はあると聞いている。やはり高校の先生方と会って話をするときに教員養成の中核になるのは小学校の教員養成ではないかということが言われているが、我々としては、その点を重視して学系・学群・学類方式のよい点を生かして、パワーアップした学生教育をしていきたいと考えている。ただ、文科省からは『それでよい』、という回答は頂いていないが、このような方向で検討を進めている。

 

【福井大】先程の東学大からのご質問にお答えたい。文科省には最近は話しに出かけていないが、今年5月に私どもの現状、考え方を申し上げにいった。その時に強く言われたことが1点ある。大学院の教員養成を地域でやるということ、その必要性は当然だ思うし,よく分かる,しかし学部での教員養成を地域でやる必要があるのか、どこでやってもいいんじゃないか、学部があるエリアで教員養成をやる必要がどこにある、という事を問われた。これに対して、学部で教員養成をやる必要性をデータを踏まえて申し上げた。一応の了解を得たと思っているが、我々の学部では、教員養成の学部生が,地域の学校に出かけたり,子どもの家に出かけたりしながら、学部と地域を往復しながら授業を受けている。とりわけ先程述べたように、実践的カリキュラムをやる為には、その地域の学校と教育地域科学部が連携をとりながら学部の教員養成をやらざるを得なくなる。しかも地域の学校を支える、学校にとってメリットになるということがないと,こういう営みは長続きしない。幸いにも、ここ10年余り我々の学校では実績を積み重ねているので、大学に地域の小中学生が土日やってきて探求ネットワークというようなこともやっているので、私は新課程担当なのでこのようなことを言うのは筋が違うのだが、学部の教員養成を福井の地でやるということは多くのメリットがあると文科省には申し上げた。これまで築き上げてきたことを今後やめるつもりはないし、在り方懇で指摘されているようにより充実させるいくつもりだと申し上げてご理解を得ていると思う。ただ現行のスタッフの数で十分か、ベストかといわれますと、それはノーと答えざるを得ない。それはもっと必要だし、それは様々に欲しいスペシャリティーがある。我々は先程話したように、新課程を存続させる方向で検討しているが、それと同時に教員養成のパワーアップということを検討しいる。その一つは先程の話の中に入れたが、教科専攻の先生方を教員養成にどういう形で関与していくかと、外に向かって見えるカリキュラムの形で示すことは当然必要であろうと考えている。また,出来る範囲の事を現行スタッフで新課程も,教員養成も質を上げようと思っている。どういう形でパワーアップできるかを考えておるわけで、当然学生定員等の問題もあるが、また国立の北陸ブロックのいろいろな事情があるが、それを含めたうえで、どうなるかを明確にここで申し上げる事は出来ないが、現状を維持しつつ、質を上げていく改革案を考えざるを得ない、それが提案できないと現状維持は難しいだろうと認識している。

 

【北海道教育大】このシンポジウムのパートは新課程の方向のあり方ということだが、先程から議論のあったことに対して、今後の検討課題としてぜひ岡本会長にもご苦労頂かなきゃいけないことなのかなということで、先程から出ている計画養成と開放型、計画内養成のこのいろいろ整理をしなければいけないかと考えている。というのは、義務教育の教員の定員は文科省の政策の下で作られてきた、しかし中学校レベルについては開放制が通っていて、現状でも都道府県の半分は開放制が占めていると。なぜ小学校だけが国立がやるのか。逆に言えば、計画養成と開放養成の間仕切りはどこにあるのか。それは文科省に対して一定の意見表明というか、間仕切りがどこにあるのかの明確化を求める必要があるのではないかと考える。つまり各個別大学が文科省の政策を推測したり、予測するという事ではなくて、きちんとした回答をいただく必要がないだろうか。これが1点。もう1点は先般の学長、学部長等連絡協議会の場で群馬、埼玉の我々の学部長が苦労話をされていた話題の1つは、県域を越えるわけだから県域を越えた教育圏ブロックというのをどういう行政ユニットで今後考えるか。その視点なしには教員養成の母体をどこに置くのか、母体がどこまでの系図を持つのか、その一致というのか、行政区画と計画養成の区画の一致性というのを明確にしていかなければ、これは進まないであろう。(行政区画と教員養成の区画をはっきりしないと)。それぞれの県が教員養成の力を手放したくないというのは、これは分かるが、行政レベルでお話いただかなければいけない場面もある。そういう意味で埼玉大学、新しい埼玉大学が群馬県教育委員会と話し合うのか、という話題が11月の会議にあったが、それは現実の問題として、行政レベル同士の話し合いというルールの作り方というものを、文科省にもお尋ねしなければいけない。お尋ねしなければいけないという点では、文科省が大学が地元との間で話し合ってくれとばかりいうけれども、文科省が大学だけではなく共同のパートナーとして地元と話そうという姿勢がないのではないと。こんな指摘が10月の会議(日本教育大学協会学長・学部長等連絡協議会)にもあった。小学校教員養成のあり方というのが1つの焦点ではあるが、教大協の新課程連絡協議会として、一定の共同テーマ、共通テーマを文科省に知らせ、一定の姿勢を示してもらうという意味で会長には大変ご足労頂く場面もあると感じた。後ほどの全体会の中で何か岡本会長から何かお話いただければと思う。

 

【鳥取大】 ただ今のお話、もし文科省にお伺いを立てるということであれば、教大協として小学校

教育はどうなのか、どっちのほうがいいのか、計画制でやるのか開放制がいいのか、そこを明確にしていただかないといけないわけです。お伺いを立ててから、だめだと、計画養成でこれからもいきなさいとなれば、何年もそれに縛られて、開放制が良かれと思ってもそっちにいけない、そういうお墨付きをもらっちゃうことになると思う。それは、安易にお伺いを立てるというのではなくて、例えば我々だと開放制でいくべきであると思ってやっているので、僕らが突破して、開放制への突破口を作っていくという方向があると思う。でもその場合他の皆さんが開放制に近づいていくのがいいとお考えになるかどうかが問題です。今は自分の我々の問題と考えてやっているが、出来ればその基本的なところをどちらかはっきり決めてから、それを文科省に提示しお伺いをたてるべきと私は思う。

 

【山梨大】福島大学にお伺いしたいが、確か先月の集まりのときにお伺いしたと思うが、一般大学に移行するかどうかという事を悩んでいる大学としては大変ユニークな筑波方式というか、そういう方向を目指しておられると思うが、先月の段階でお聞きした時点では文部科学省でまずOKが出ていないというようなそういうお話を伺ったが、そこら辺の見通しをお聞きしたい事、それから福井大学がおっしゃった地域実践科目、大変興味深い科目だと思うが、これは必修でとるが何単位ぐらいで何年生でやっていくのかという具体的なことを教えてほしい。

 

【福島大】山梨大学からのご質問、うちの学部長と先生がお話したかどうか分からないが、10月にあったがその後の事は、進展はあるというふうに聞いていない。今後の見通しについても今のところ大学再編の議論が本当にパワーアップしたものにするためにはどのようにしたら良いか議論中である。だから見通し的なこともまだ何も言えないが、先生が今お聞きになったことを言うと、その後の進展は無いんじゃないかと思う。

 

【福井大】地域実践科目は4単位を必修にして、例えば各コースで2年生2単位、3年生2単位というコースもあれば、3年通年で4単位とるところもある。相手のあることだから、継続的に実習に出かけて行きやすいコースもあれば、やりにくいコースもある。継続的に実習を行いたい学生は、地域ボランティア学習という科目もあるので、それで2単位とれば最大限6単位ぐらいまでは取れる。現在は、最低4単位を必修とするという形になっている。

 

【福島大】先ほどの質問だが、山梨の先生の方から筑波型の制度に関したご質問だったが、先ほど述べたのは我々の大学では教育機能を今以上に機能的なものにしていきたい、そのための新たな制度作りをやってこれを実現するように考えている。

 

【司会】時間も経っているのであと一人の方に。

【横浜国立大学】(先ほどお聞きした)福井大学のほうに文科省でOKでたかということを。

【司会】文科省の方からOKが出たのかどうかという、OKの反応は。

 

【福井大】こちらはプランを部分的に出しているので、今回我々は教員養成を続けていられるのではないかと思っている。その時に新課程の取り扱いを今のように現況維持でいくかどうかは文科省にはまだ明確には示していない。これが今後の問題になる。従って教員養成も新課程もパワーアップしたいと思っているので、そのプランを作成中、作戦を練っているところだが、いずれにせよ年度末までの間に一度見せないといけないかと思っている。

 

【京都教育大】課程認定で小学校教員を残そうとされている大学のみなさんお伺いしたいが、大学院の教育など地元の教育界とのいろんな研修機能、そういったことはどういうふうに考えられておられるのかということをお聞きしたい。現在は、ほとんどの教員が大学院の担当をしていると思うので、研修機能に支障はないと思うが、他の大学に大部分の機能が移ると、残った新課程または新しい学部が今あるパワーを持続できるかどうか、教員研修機能という観点からはずれていくというのか、違った方向になっていって、そういった機能がだんだん薄くなるんではないかということを心配しているが、その辺をお伺いしたい。

 

【鳥取大】大学院については学部構想と同時に、本来やらなければならないのだが、まだ弱いところがある。ただ大学院は現在の教育学研究科では続かないだろう。従って、地域科学研究科になるだろうという見通しである。その中で現職教育とか教員養成機能とか併せ持たせようと、その受け皿として大学院の構成を考える中でなんとかしていこうと目標だけは持っている。ここのところ、まだ詰めに入る段階にはなっていないというのが現状。それからもう少し、島根大学の教育学部が教員養成担当になるので、島根大学の方の希望でサテライトを鳥取の方に置くとかそういうことを少し聞いているが、それはどんどんおやりください。というような基本的な態度だ。

 

【大分大】大分大学に質問ですが、小学校課程の課程認定については、少し考える事がある。福祉については,社会福祉だけが福祉じゃないという考え方だ。人間一般の福祉という視点で、児童福祉だとか、院内学級についての教育研究だとか、僻地における教育の推進などの可能性もあるのではないか、そうしたことも探りながら、開放制の教員養成ができないかということを強く思う。

 

【司会】これで打ち切りたい。ただ、北教大からの大変重要な計画養成と開放制の間仕切りを明確にする必要があるということや、行政区画と計画養成区画との問題、これも岡本会長もおられるし、全体の中で時間があれば少し議論したい。

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【全体会最後における岡本靖正日本教育大学協会会長(東京学芸大学長)の話】

 

 先ほどお話のあった問題ですが、県境を越えた教員養成の仕組みを考えるという場合、行政単位の壁があり、その働きかけは当該大学だけではできないということです。これは懇談会の中でも繰り返し主張したことで、国の働きかけが必要です。文部科学省の言うように、大学の責任というだけでなく、共同作業というならば、それを一緒に行うのが共同作業であると思います。

 それから、一般大学化した大学に小学校教員の教員養成機能を残すという問題ですが、ご承知のように、神戸大学、お茶の水女子大学、奈良女子大学では、課程認定によって30名程度の養成機能を持っております。ただ、小学校教員養成の課程認定は条件が厳しくなっており、学科等の設置目的、組織、カリキュラム等がそれに合致したものでなければならないことになっております。たとえその条件は満たしていても、今後は認められないということになると、現在の課程認定制度に反することになります。一方で、計画養成との関係があり、国立大学の中に非計画養成の規模が拡大すれば、事実上、計画養成そのものが崩れることになります。現在、教大協の会員大学・学部には、非計画養成で養成機能を残す意見と、計画養成の立場からそれに反対する意見の両方があり、協会としてどちらかに統一するのは難しい状況にあります。私は、個人的意見としては、今後の教員養成の充実強化のために再編統合を進めなければならないとすれば、新課程の実績を踏まえた新しい組織(学部等)の設置が進まなければ、再編統合は難しいわけですから、文部科学省は教員養成担当大学となる大学・学部だけではなく、一般大学の道を選ぶ大学・学部の新組織の設置を進める上でも積極的に後押しすることが必要であると思います。その場合、大学・学部は、あまりに教員養成機能を残すことだけにこだわらず、大学全体のなかで新たな役割を持つ学部等を構想し、その中で小学校教員の養成機能を持つことがふさわしい形がとれるなら、現在の課程認定制度のもとで小規模の養成を行うことができるようにするのがよいのではないかと考えております。

 教大協でマップを作ってはどうかというご意見につきましては、きょう話を伺っていても、ほとんどのところで教員養成担当大学を目指すということであれば、難しいのではないかと思います。国大協は、いま新しい連合組織の設置準備に取りかかっておりますが、教大協は、再編統合の結果いかんによって会員資格に変化が生じ得ることもあって、いまただちに議論を進めることはできず、第一常置委員会にしかるべきタイミングを見て、必要な検討を開始して下さるようお願いはしているところです。

 教育内容の充実については、いかなる条件の下でも、その改善向上を図っていかなければならないことで、教大協として、いま教員養成のモデル・コア・カリキュラムの研究プロジェクトを進めていただいております。本日のお話でも、各大学・学部でさまざまな工夫をしておられることがわかります。各大学・学部がそれぞれ個性や特色を発揮できることを前提にしながら、共通に考えるべきことについて議論が行われております。