JSA

第14回総合学術研究集会「人間と地球の未来を考える」
報告者:江見清次郎
開催日時:2002年9月21日(土)から23日(月)
開催場所:北海道大学農学部
主催:日本科学者会議第14回総合学術研究集会実行委員会
参加者数:259名

内容:

 14総学が、9月21日から23日まで札幌の北海道大学農学部を会場に開催されました。期間中は天候にも恵まれ、全国から参集した会員をはじめ多くの会員外の方々も参加されて熱心な研究の交流、討論がなされました。参加者は259名でした。

 1日目は、全体集会の開会式で幕を開け、太田原高昭実行委員長(北大農学研究科長)の開会挨拶が行われました。次いで金川弘司氏の記念講演「北海道における人間と野生動物の共存を考える―特にヒグマの生態を中心に―」が行われました。その後4分科会が始まり、夜は3つの交流会(女性、災害、平和)がもたれました。

 2日目は、8つの分科会が行われ活発な議論が行われました。また、平行してポスターセッションも開かれ、当初の申込み5件の他に集会当日受け付けた6件のポスターがはり出されました。内容は分科会発表の補足的な発表や研究委員会や支部の報告、自分の関わっている住民運動の報告など多彩なものでした。発表時間(コアタイム)を別に設けなかったためか、訪れた人は少なかったようで残念でした。夜は懇親会が北大内の中央食堂でもたれ、120名ほどの参加者でにぎわいました。各層からの挨拶も考えていたのですが、一旦お酒が入ってしまうと話に花が咲きそんな状況でもなく、お酒がなくなった時点で終了となりました。

 3日目は、午前中に5つの分科会が行われました。午後からは全体集会で、パネル討論「平和で安全な社会をいかにつくるか―科学者の責務」が行われ、主催者の趣旨説明の後、河井智康氏(平和問題研究委員会委員長)が司会となり、3人のパネリストより問題提起が行われました。金子 勝氏(立正大学)は、国際社会と各国社会の平和及び安全を脅かす根元的な要素として「グローバリゼーション」をあげ、それに対置するものとして「第九条型社会」を提起した。三島徳三氏(北海道大学)は、「日本の風土に根ざした農と食の確立を」と題して、食料の自立なくして、平和で安全な社会はあり得ないとし、大量生産技術からのパラダイム転換の必要性を訴えた。室崎益輝氏(神戸大学)は、「阪神・淡路大震災と科学者・技術者」との関わりで科学・技術等のあり方が問われていると問題提起し、リスクコミュニュケーションの必要性と防災に関わる研究体制、専門家の意識、研究スタイルの問題について話された。その後、討論に移り、新保守主義の問題、科学者と地域の関わり、公共事業のあり方、市民に目を向けない行政組織などについて討論があった。また、携帯電話の悪影響や難病問題など非常に多様な意見が出され、1時間以上あった討論時間もあっという間に過ぎてしまった。

 総学が北海道で行われたのは、初めてであり準備の段階ではいろいろ問題が生じたこともありましたが、これを今後の教訓として15総学に生かせればと思います。参加者目標は、最近の実績を考慮して300名としたのですが、達成できませんでした。北海道からの参加者は、130名と目標を超過達成できたのですが、道外の参加者が思ったほど集まりませんでした。これは1つにはこれまで11月開催が多かったのですが、今回は9月ということで時期も良くなかったのかも知れません。しかし、実行委員や支部会員の奮闘で、何とか赤字決算にならず、ひとまず成功であったと思います。

 最後に、参加者アンケート結果(回答者32名)の簡単な報告を致します。@記念講演は、非常に好評 Aパネル討論は、良かったという意見が多い。B分科会は、収穫あり16名、新鮮さに乏しい6名 Cポスターセッションは、時間・設営等に問題ありが多い。D懇親会はおおむね好評 E全体の感想では、様々な注文・意見があった。