ユネスコが先に発表した「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」と「21世紀に向けての高等教育世界宣言」は1998年と1999年に日本科学者会議と東京高等教育研究所の共訳で全訳を刊行しましたが、ユネスコはさらに1999年6月から7月にかけてブダペストで国際科学会議との共催で世界科学会議を開催し、「科学と科学的知識の利用に関する宣言」および「科学アジェンダ−行動のための枠組み」を採択しました。これはとくに高等教育にのみかかわるものではありませんが、21世紀に向けての科学研究のあり方をしめしたものとして、教育研究に携わる者にとっては見過ごすことのできない文書です。扱われている問題は広い範囲にわたっていますが、とりわけ人類の進歩発展における科学の役割、科学的知識の誤用に対する警告、女性や少数民族など不利な立場にある人々の状態の改善、最後発国や発展途上国との格差の解消など重要な問題が提起されています。
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「科学と科学的知識の利用に関する宣言」および「科学アジェンダ−行動のための枠組み」（1999年7月1日）について（浜林正夫）
世界科学会議「科学と科学的知識の利用に関する宣言」
前文／１ 知識のための科学・進歩のための知識／２ 平和のための科学／３ 発展のための科学／４ 社会における科学と社会のための科学
世界科学会議「科学アジェンダ ―行動のための枠組み」
前文／１ 知識のための科学・進歩のための知識〔1.1基礎研究の役割／1.2公的部門および民間部門／1.3科学情報と知識の共有〕／２ 平和と発展のための科学〔2.1人間の基本的な必要のための科学／2.2科学と環境、および持続可能な開発／2.3科学と技術／2.4科学教育／2.5平和と紛争解決のための科学／2.6科学と政策〕／３ 社会における科学と社会のための科学〔3.1社会の要請と人間の尊厳／3.2倫理的諸問題／3.3科学への参加拡大／3.4近代科学とその他の知識体系〕／追跡