大学院生の生活・研究・将来についての不安と悩みに応えながら、研究テーマの見つけ方、研究の進め方、論文の書き方など、研究方法の基本的ノウハウを詳述。
自然科学・人文社会科学の各分野研究者の体験的研究方法論も収録。
大学院進学者・進学希望者必携の一冊。
目次
まえがき
CHAPTER1 (岩佐 茂)
2年間で良い修士論文をまとめる技法
1.大学院生のいま
増大する大学院生と多様化する大学院
大学院生の悩みと指導教員のとまどい
2.2つの顔をもつ修士課程
3.何をどのように研究する
流行に流されない
間題意識をもって研究を
4.研究テーマをどう立てる
5.研究の意味づけを明確に
研究の客観的意義とは
研究の主体的意味
6.修士2年間をどう過ごす
決意と計画が必要
修士1年目の過ごし方
修士2年目の過ごし方
実験・フィールド系の修士l年日の過ごし方
実験・フィールド系の修士2年目の過ごし方
7.大切な人間関係づくり
人間関係は学部の延長ではつくれない
学間的刺激を得られる人間関係を
8.研究室の空気はとても大切
研究室は研究の場
教員を最大限活用する
研究テーマは指導教員と相談することが大切
9.研究会・読書会・自主ゼミで何を学ぶ
10.学会発表のすすめ
11.学間的議論の仕方に習熟しよう
12.これだけはやめよう
2年間で修士論文をまとめるための11カ条
CHAPTER2 (浜田 盛久)
大学院生の知られざる悩み
1.生活と健康の悩み
研究室に出てくる院生、出てこない院生
気がかりな健康
2.研究上の悩み
うまくいかない指導教員との関係
セクハラやアカハラも
3.悩み葛藤する今日の大学院生
4.大学院生の就職間題
5.生活改善のための主体的な取り組みを
CHAPTER3 (小森田精子)
科学とは何か、研究とは何か
−自然科学に即して−
1.科学とは何か
近代科学と現代科学
自然科学とは
科学の方法とは
自然認識の手順
科学理論の客観性と真理性
科学の客観性を疑問視する構成主義的科学論
現代科学の自然認識
2.科学を発展させるためには
科学革命とは何か
科学革命の週程
旧埋論から新理論への移行はいかにして可能か
3.広い視野から深く掘り下げた研究を
自然との対話
研究に必要な広い視野とは
CHAPTER4 (伊ヶ崎暁生)
良い諭文には方法論が必要
1.研究と論文のステップ論
論文とは
TL型からES型へ
研究と論文作成のための6つのステップ
1)間題意識
2)研究テーマの設定
3)用語・術語の定義
4)先行・関連研究
5)アプローチの方法と手順
6)内容構成と執筆
2.創造的研究とは
間題意識とオリジナリティ
創造的研究とは何か
1)現実の教育間題から歴史研究へ
2)歴史学研究にみる問題意識からの発展−ある歴史学者の歩みから
3)ノーベル賞受賞者の研究から創造性を考える
独創性・創造性とプライオリティ
研究の創造性と「パラダイム」論争
3.科学的精神とは
合理と実証
1)合理的精神とは
2)実証的精神とは
3)デカルトの合理論と演繹法、ベーコンの経験論と帰納法
4)科学的精神と人文・社会科学
求められる研究者の資質について
産学官連携とその間題点
科学者の社会的責任と「科学者憲章」
創造的研究と学問の自由
CHAPTER5 (岩田 進午)
社会のなかの科学
1.社会と科学のかかわり
2.国民が期待する大学像
嵐のなかにある大学
国民の税金が大学を支えている
国民が大学に期待するもの
3.「大学の自治」が意味するもの
「学問の自由」を保障する「大学の自治」
戦争を目的とする研究は行なわない
科学者の社会的責任
4.科学の発展をめざして
研究の発展に果たす大学院生の役割
視野を広く
科学者のモラル
1)剰窃、盗用はやめよう
2)自分の研究に責任をもとう
3)論文の著者名について
産学連携をめぐって
あとがき
****************************
体験的研究方法論
その1:修論執筆は財産作り
浅妻 裕(経済政策論)
その2:修士のころはすべての基礎作り
青木和光(天文学・恒星物理学)
その3:仲間や地域から学んだ院生時代
松下正和(歴史学・日本古代史)
その4:化学系マスターの修業時代
中野元裕(分子化学)
その5:文学研究方法論のために
金子幸代(近代日本文学)
その6:教育科学の研究方法論
石井拓児(教育学)
その7:そこで己はなにをしてゐる
多羅尾光徳(環境微生物学)