侵略戦争への厳しい反省の上に立つ政治を求める
現在,小泉首相の靖国神社参拝や,「新しい歴史教科書をつくる会」教科書の検定合格などに対し,中国・韓国などから強い批判が出され,国際問題になっている.そもそも首相・閣僚の靖国神社への参拝には,日本国内からも厳しい批判の世論があるが,それを黙殺するばかりか,中国・韓国からの批判について,小泉首相は国会で「内政干渉」とまで発言した.
私たちは,小泉首相の靖国神社参拝やそれに関わる一連の発言に対して,日本の主権者・科学者として強く抗議する.
靖国神社は,かつて天皇中心の軍国主義の精神的な支柱であった.そうした軍国主義に依拠した日本政府が中国・韓国など近隣諸国に多大な戦争被害を与えたのはまぎれもない事実である.今その靖国神社は,日本がかつて引き起こした戦争は日本の自存自衛と欧米勢力からアジア諸民族を「解放」するための戦争であったとして,侵略戦争の指導者であるA級戦犯をも祀っている.したがって,そのような神社に首相が参拝することは,かつての侵略戦争を正当化する行為であり,政府の公式見解とも相容れないものである.
私たちは,日本の政治を担う人たちが,今こそ,あの侵略戦争に対して厳しい反省を行い,日本国憲法に立脚して,内政・外交を行うよう強く求める.
2005年5月29日
日本科学者会議第36回定期大会