JSA


大会宣言

 日本科学者会議は,科学の成果が人類に正しく役立てられることを願って活動を続け,今年創立40周年を迎える.本会は,今期をその節目にふさわしい1年とし,新たな発展の出発点とするために,この2年間に活動と組織のあり方についての検討を会の存在意義にまで立ち返って行ってきた.第36回定期大会では,その成果をまとめ活動方針を決定した.以下にその方針を示し,憲法改悪の動きに象徴されるように,平和と国民生活破壊の動きが強まる中で,本会が科学者の社会的責任を果たす活動を一層強化することを宣言する.

1.人類の生存と平和的繁栄のために研究を行い社会へ働きかける
 地球環境を守り,文化的でより豊かな生活が保証される持続可能な社会を実現するための研究を行い,その成果を普及する活動を,全国の研究委員会と支部が協力して行う.これらの活動に会員が参加する機会を大幅に増やし,第16回総合学術研究集会(2006年東京開催)で研究活動の成果を集約することをめざす.科学的精神をもった青年育成のための活動を行う.日本国憲法・教育基本法を守る運動,核兵器廃絶のための運動,地球環境を守る運動に科学者として貢献する.国際シンポジウムECSTA(アジアにおける科学・技術の交流,協力)を開催し,アジアの科学者との連帯を深める.会誌『日本の科学者』の発行や出版活動によって研究成果を普及する.

2.高等教育と科学・技術の真の発展のために発言し行動する
 科学を人類に正しく役立てるという視点から,科学・技術政策や大学と高等教育のあるべき姿について発言し運動を行うとともに,科学者の権利を擁護する活動を行う.経済効率優先の国の科学・技術政策や大学・大学院の種別化の政策に対する批判的提言を行う.大学・研究機関の置かれている状況について,現状分析と理念的な解明を行い,問題を国民に知らせ,他団体とも共同してその解決に努める.現在検討を進めている「研究者の倫理綱領」および「研究者の権利・地位宣言」の制定をめざす.

3.会員が集まる場を作り議論し行動する
 研究者が一面的な評価基準によって競争させられ,孤立する状況の中で,本会は会員相互の協力によって会員が科学者として成長する機会を提供する.単に研究能力を高めるというだけでなく,科学者として発言し行動する力量を高めるため,会員が集まって,教育研究体制や社会的な問題について議論したり研究交流を行う場を作る.そのために,分会活動の再構築や支部レベルでの研究委員会活動の活性化,若手・院生会員の成長に配慮した支部活動を行う.

4.会の存在意義をさらに発揮するために会員を増やす
 上記の活動方針を具体化する中で,本会が科学者自身の要求に応える組織であることを明確にし,会員の積極的な会活動への参加を促進するとともに新入会員を迎え入れる.全会をあげて会員を増やす活動に取り組み,創立40周年を飛躍の年にして,会を国民の期待にさらに応えることができるより大きな組織にする.


  2005年5月29日          
日本科学者会議第36回定期大会