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京都議定書の発効決定を歓迎
日本は抜本的な対策強化を


2004年11月18日           
日本科学者会議公害環境問題研究委員会


 ロシアの批准により、京都議定書の発効が決定した。超大国の単独行動に打ち勝って世界の大半の国が京都の合意のもとに結集、国際法に結実させたことを歓迎したい。世界最大のCO2排出を続けながら、独自の主張を掲げて事実上対策強化自体に反対しているアメリカには改めて国際ルールを守るよう求める。気候変動を抑制するための取り組み強化について、国際世論を一層盛り上げていくことが求められている。
 気候系及び生態系への悪影響を防止し気候変動の脅威を防止する科学の要請から、気温上昇を低く(例えば百年に2度以下)、大気中温室効果ガス濃度を低レベルで(例えば550ppm以下、CO2単独では450ppm以下)にするための総量 規制を実現することが求められている。そのために先進国を中心に世界が今後、温室効果ガス排出の大幅な削減を迫られることは避けられない。京都議定書の2012年までの削減義務は文字通り最初の一歩である。対症療法や技術突破、CO2の海底地中貯留等で大量生産社会の延命を図ることはもはや許されないし、環境配慮のない企業が環境重視に向かう市場で支持が得られるなどと考えるのはあまりに認識不足と言わざるをえない。
 日本の温室効果ガス排出量は90年以降8%近い増加となっており、国内対策の抜本的な強化が不可欠である。バブル経済以後エネルギー効率悪化が著しい日本はもはや「省エネ先進国」とはいえず、削減余地がないというのは事実に反する。代替削減提案なしに、米国など諸外国の対策が日本の国内対策より重要だとか、経済への悪影響が心配だという言い訳、石油危機の頃は努力したものだという昔話、将来の夢の技術完成まで対策を待とうなどの無責任な議論に終止符を打ち、国民参加の議論のもとに6%国内削減を法的に担保できる政策の導入を求める。
 来年からは京都議定書の2013年以降の目標を決める議論が始まる。議定書の発展により削減強化を実現し、先進国は大幅削減義務強化、途上国は先進国の支援などを通じ、世界の排出量を早期に削減に転ずることが必要である。日本の次期目標は1990年比6%削減を大きく上回る削減にすることが必要なのは言うまでもない。
 また、今後の排出削減対策および政策を強化するため、日本も欧州諸国のように中期大幅削減目標を掲げること、それに合致する短期目標や計画を策定し、大量生産社会の延命維持を断念し、国内削減の抜本的な強化を求める。