JSA

☆日本科学者会議は11月10日日、以下の事務局長談話を発表しました。
 同日、アメリカ大統領、イラク暫定政府首相、内閣総理大臣、外務大臣、防衛庁長官、各政党へ送付しました。

 

米軍のファルージャ攻撃即時中止とイラクからの自衛隊即時撤退を強く求める
(事務局長談話)

 日本時間の11月9日未明、米軍とそれに協力するイラク軍は、空と陸から大規模なファルージャ攻撃を開始した。すでに死傷者が出ていることが報道されている。ファルージャ住民は、これまでも、子ども・女性を含む多数の市民が犠牲になっているが、今後、おびただしい数の市民が殺傷されることが危惧される。そして、攻撃する側の兵士にも、少なからぬ死傷者が出るであろう。
今回の攻撃の目的については、来年1月に予定されているイラク国民議会選挙の実施のため、その反対勢力を「やっつける」(ブッシュ大統領)ことだという。しかし、殺戮と暴力の連鎖は、憎悪と憎悪の連鎖をもたらすだけである。イスラムの聖職者たちが警告しているように、選挙への抵抗はますます強められるであろう。そして、いわゆるテロ活動もますます頻発する恐れがある。従って、問題を解決するには、そうした「武力による支配・強制」ではなく、対話と政治的解決が必要とされている。このことは、5日までに発せられたアナン国連事務総長の書簡も指摘している通りである。私たちは、米軍がファルージャ攻撃を即時中止し、「殺し合い」でなく「話し合い」によって問題の解決をはかることを強く求める。9日には小泉首相が攻撃支持を表明したが、言語道断であり、その撤回を求める。
 私たちはまた、日本の自衛隊がイラクから即時撤退することを重ねて強く求める。10月27日に「イラク・アルカイダ機構」を名乗るグループに拘束されていることが判明した香田証生さんが、犯人たちの「日本の自衛隊撤退要求」期限が過ぎた後の10月31日に惨殺されていたことが判明した。私たちは、イラクでこのような事件が続いていることに、限りない悲しみと激しい怒りを禁じえない。去る4月の日本人3人の拘束は無事解決したが、今回はまさに最悪の結果となった。日本の小泉政権は、安保条約の下で米国の「目下の同盟国」として、国内世論と日本国憲法に背いて、集団的自衛権行使の先取りともなりかねない自衛隊のイラク派兵を強行した。このことが、今回の不幸な結果の、そもそもの原因と言える。もし日本政府が自衛隊を派兵していなかったら、いかに極悪・非道な武装勢力といえども、平和的・人道的な活動を行うNGOメンバーなどに対しては、拘束・殺害を行う理由はなくなるからである。
 この事件の直後、サマワの自衛隊宿営地にロケット弾が着弾し、荷物保管用のコンテナを貫通した。これは明らかに自衛隊に対する攻撃である。そして、11月7日には、治安のいっそうの悪化を背景に、イラク全土に「非常事態宣言」が出された。もはや「サマワは非戦闘地域」という詭弁は通用しない。自衛隊員に死傷者が出た場合、小泉政権はどう責任を取るのか。そうしたことを防ぐのが、平和憲法を最高法規とする日本政府の役割ではないのか。
 私たちは、日本人3人の拘束事件の際にも表明したように、小泉政権が、「『テロリストの脅迫』に屈して」ではなく、何よりも邦人保護の立場から、また、もはや『法律の要件を満たさなくなった』という正当な理由が存在する」ことを率直に認めて、自衛隊のイラク派兵を直ちに中止し、イラクから撤退・帰国させることを強く求める。

2004年11月10日
日 本 科 学 者 会 議     
                    事務局長  片平 洌彦