JSA

日本科学者会議は2003年11月29−30日に東京で開催した常任幹事会において
 以下の声明を採択しました

☆声明は、東京都大学管理本部ならびに東京都議会文教委員会委員、都立大学
 総長、都立短期大学長、都立科学技術大学長、都立保健科学大学長、および
 関係教職員組合、各種団体へ送付し、その旨報道関係各社へ報告しました。



石原都政の「大学改革」を厳しく批判し、強く抗議する

 去る8月1日、東京都は石原都知事の定例記者会見で、これまでの議論を全て破棄して4都立大学廃止・新大学設置という「新しい大学の構想」(新大学構想)を発表した。
「新大学構想」は、発表の1時間前に初めて4大総長・学長に知らせたということからわかるように、当該大学関係者の検討を全く経ておらず、学部編成の内容など、これまでの研究・教育の発展経過や成果を無視した学問的裏付けの全くない思いつき的なもので、大学院についても何ら具体的な構想が無いなど全く不明な部分もあり、設置者としての自覚と責任を喪失したものと言わざるを得ない。
 人文系教員の半減化をはじめとする教員の大幅な削減、学生定員増、カリキュラム変更による混乱など、学生の教育を受ける権利を縮小させ、教員への負担を著しく増大させるものとなっている。
さらに、「新大学構想」を認める者しか参加させないという「同意書」の提出強要は、まさに「踏み絵」となっており、反民主主義の極みである。
 最近になって、教員には任期制・年俸制の導入を提示し、それを選択しなければ、現行のまま凍結し昇任昇給もさせないという、兵糧攻めを打ち出している。
 このように「東京の大学を変えて、日本の教育を変える」という石原都政の進める「大学改革」は、日本国憲法や教育基本法の精神を無視し基本的人権を否定するもので、「大学破壊」であると共に「教員の人権破壊」と断ぜざるを得ない。
重大なのは、このような行政当局の意のままに大学を支配しようとする動きは、東京だけではなく、横浜市立大学など各地の公立大学にも現れていることである。このような手法は、来年4月より法人化する国立大学、特に地方国立大学に、また全国の私立大学にも形を変えて及ぶ危険性がある(現に、私立大学については、「私立学校法改正法案」を国会に提出する動きが報じられている)。
 現在、東京都の「新大学構想」を批判し、これに反対する運動は、都立の大学の教員・学生をはじめとして、都民の間にも広がっている。新聞をはじめマスコミの関心も高まっている。
私たち日本科学者会議は、創設以来、日本国憲法、教育基本法の精神に則り、学問の自由・大学の自治を守る立場に確固として立ち、学問と教育の総合的発展をめざしてきた。また、民主的ルールに基づく大学の運営と不断の改革を求めてきた。
 私たちはこの立場に立ち、東京都民のみならず全国民の貴重な財産である都立の4大学に対して行政主導による「大学改革」を強行する石原都政に対し厳しく批判し、強く抗議するとともに、4大学をめぐり生じている事態について、一人でも多くの国民が正確に認識し、可能な行動を起こすよう訴えるものである。


2003年11月30日
日 本 科 学 者 会 議