憲法違反のイラクへの自衛隊派兵及び 米軍のイラク占領のための「経済支援」に反対し、その撤回を求める声明 |
10月17日の「日米首脳会談」において、小泉首相はブッシュ米大統領に対し、イラクの復興のためと称して自衛隊派兵と巨額の経済支援を約束した。これは武力行使と戦費支出を禁止している日本国憲法第9条の蹂躙であり、また世界の平和を求める世論に対する挑戦である。われわれは直ちにそれを撤回するよう求める。 そもそも今回のイラク復興問題は、イラクの大量破壊兵器疑惑を平和的手段によって解決してほしいという世界世論と、国連における国際的努力を無視した米英両国の野蛮なイラク攻撃に端を発している。それにより、多数のイラク民間人が殺され、生活基盤が破壊された。しかも、現在イラク攻撃の口実となった大量破壊兵器の存在すら虚構であったことが明らかとなっている。本来ならば米英両国は世界とイラク国民に謝罪し軍隊を引きあげ、以後の復興は米英両国の損害賠償を含め国連にゆだねられるのが当然である。しかるにアメリカはイラクの占領を続け、他国の軍隊を指揮下におき、その占領のための支援金を要求しているのである。これに追随しているのが日本政府であり、われわれは日本政府の無責任さを許すことができない。 日本政府は、国連安保理で10月16日に採択された「イラク新決議1511」を引き合いに出し自らの行動を正当化しているが、これはさまざまな妥協の上にできたものであり、すでに独・仏・ロ各国はこの決議による派兵・経済支援には参加しないことを表明した。そして10月17日の日米首脳会談におけるブッシュ大統領の「国連安保理のイラク新決議では、日本の各国への働き掛けは賞賛に値する」という発言にも見るように、日本政府の屈辱的な対米従属ぶりは世界の中でも突出し、国際的な批判も招いている。 また、米軍主導のイラク復興のための日本の経済支援額は、2004年度分だけでも15億ドル(約1650億円)と、これまた諸外国に比して突出している。現在日本では国民がリストラや不況にあえぎ、さらに政府と財界は消費税の大幅増を計画し、国民をいっそう苦しめようとしている。そのもとでの巨額の資金支出は財政の対米従属化にほかならない。 いま日本はアメリカに追随して戦争への道を選ぶか、日本国憲法の目指す国際紛争を平和的な手段で解決する方向を選ぶかの分岐点に立たされており、今回の総選挙でもこうした日本の進路の選択が問われている。われわれは、今回のイラク派兵と「経済支援」に断固反対すると共に、国連を中心とした人道的かつ自主的なイラク復興への援助の道を、日本が歩むことを強く求めるものである。 |
2003年10月25日 |
日本科学者会議 平和問題研究委員会 |