今、日本の国立大学は大きな危機をむかえている。文部科学省に設置された「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」は、2004年度からの国立大学の法人化にむけて、2002年3月に「新しい『国立大学法人』像について(最終報告)」を提出した。
この報告書は、次のような重大な問題点を持っている。
1.大学の目標設定と評価の仕組みを硬直化させて、大学における基礎的研究に重大な困難をもたらすこと
2.学長による専決的な運営を可能にするなど、大学の自治を大きく侵害する可能性があること
3.大学に独自の経営的努力を課すことなどによって、学費の大幅な値上がりを不可避にすること
4.教職員の身分を「非公務員型」にするなど、教職員身分の不安定さを一層拡大すること。
5.国立大学の無原則的な統合・再編を促し、地域の文化や産業への貢献などを大きく後退させる可能性があること。
こうした問題点を有する国立大学の独立行政法人化は、学問の発展に寄与する大学の存立基盤を脅かすものである。こうした動向は、いずれ公立大学・私立大学にも及ぶことが予測される。
日本科学者会議滋賀支部は、こうした政策に反対し、国民各層と共同して大学の自治を守り、大学を学問創造の拠点として発展させるための活動を一層進めていくことを表明するものである。
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