米軍によるアフガニスタンへの軍事攻撃について
―軍事攻撃で国際的テロリズムを根絶することはできない―
(事務局長談話)
1.10月7日夜半、米軍によるアフガニスタンへの軍事攻撃が開始された。これは9月11日の米国内における同時多発テロに対する報復として行われたもので、米軍はB1、B2、B52爆撃機と戦闘機計40機を出撃させるとともに、英軍と共同で計50発の巡航ミサイルを発射したという。
攻撃対象は30カ所以上におよび、タリバン政権の軍事施設と同時多発テロの容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏の率いるアルカイダの訓練施設と伝えられている。米軍によるアフガニスタンへの軍事攻撃は翌10月8日も行われた。英国防相によれば、第一段階の攻撃は数日間続くという。
2.国際的テロリズムを根絶するためには、軍事力の行使による報復ではなく国際的な世論の包囲と国際法にもとづいてテロの容疑者と支援者を裁き、厳正に処罰することである。こうした手段を十分に尽くすことなくブッシュ政権が報復戦争と称してアフガニスタン全土に軍事攻撃を行ったことは極めて遺憾である。
3.正確な人数は不明であるが、今回の軍事攻撃によってアフガニスタンの市民も死傷したと伝えられている。軍事攻撃が継続・拡大していくならば今後多数の罪なき市民が犠牲になる可能性がある。加えて、20年以上にわたる内戦と外国の干渉の結果、アフガニスタンには400万人とも500万人とも伝えられる難民がおり、軍事攻撃の継続・拡大がさらなる100万人以上もの難民を生み出すことをわれわれは深く憂慮している。
4.小泉首相は米軍によるアフガニスタンへの軍事攻撃後に記者会見を行い、軍事攻撃を強く支持するとともにテロ対策支援法案の今国会での一日も早い成立をめざすとの談話を発表した。米軍の戦争行為に加担する小泉政権のこうした姿勢は、国際的テロリズムを根絶する目的とは逆の結果を招くことになると指摘せざるをえない。軍事力による報復は、新たな報復を招く悪循環に陥るだけである。また、テロ対策支援法案は「後方支援」と称して武器弾薬の提供など、自衛隊の海外派兵を正当化するものであり、断じて容認できるものではない。
2001年10月9日
日本科学者会議事務局長 野口 邦和
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