JSA

【決議】
    大垣女子短期大学堀江助教授の不当解雇に抗議し、
    その撤回を求める


 日本の高等教育は、現在、戦後最大の危機に直面していると言っても過言ではない。国公立大学は独立行政法人化を強行されようとしており、「学問の自由」「大学の自治」が侵害される危険に直面している。一方,私立大学においては、「経営危機」に伴うリストラが進められ、教育研究条件の劣悪化のみならず、解雇を含む教職員の権利侵害という重大事態が起きているところも少なくない。
 岐阜県の大垣女子短期大学理事会は、1998年に国際教養科の廃科を決定し、同科所属の12教員に退職を迫り、これを拒否した堀江一晃助教授を2000年に「解雇」したため、現在裁判が行われている。
 この「解雇」について、理事会は「廃科に伴う整理解雇」であると主張している。しかし、「解雇」は正当な理由がなく、無効である。
 第一に、この「解雇」は「整理解雇」に該当しない。堀江助教授は、もともと、全学を対象にした一般教養の教員であり、その身分は国際教養科の廃科に左右されないからである。
 第二に、仮に「解雇」が「整理解雇」に相当するとしても、この解雇は、判例上定着している「整理解雇の4条件」を満たしているとは到底言えない。それは、例えば、(1)教授会の議を経ることなく、理事会のみで解雇を決定したこと[解雇手続きの違法性]、(2)堀江助教授の担当科目の一つである「生活意識論」を理事会が「カリキュラム改正」によって無くしておきながら、「同助教授の担当可能科目のコマ数が就業規則を満たさない」などと本末転倒の処遇を行ったこと[解雇回避義務を尽くしていない]等々の不当な事実に如実に示されている。
 もし、このような理不尽な解雇が許されるならば、「学問の自由」と「大学の自治」は根底から脅かされると言わざるをえない。
 私たちは、このような立場から、大垣女子短期大学理事会が行った堀江助教授の不当解雇に強く抗議し、その撤回を求める。

2001年5月27日
                   日本科学者会議第34回定期大会