日本科学者会議は3月27日付で下記の要望書を国大協会長長尾氏宛に送付致しました。
2001年3月27日
国立大学協会会長
設置形態検討特別委員会委員長
長尾 真 殿
日 本 科 学 者 会 議
事務局長 岩佐 茂
要 望 書
貴殿が作成された「国立大学法人の枠組についての試案」(「長尾試案」)は、国立大学の法人化にあたっては「独立行政法人の基本的枠組を参考に」するとしており、「独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用することに強く反対する」とした昨年6月15日付けの国大協総会の確認事項を逸脱している可能性があり、全体として文部省(当時)の「検討の方向」に近づいたものになっているように思われます。
すでに、経済産業省の官僚が国立大学の法人化法を用意しているとさえいわれている状況のなかで、国大協が取るべき選択肢は、安易に文部科学省に同調することではなく、21世紀を見据えた国立大学の大学としての必要な要件を確固として主張することでなければなりません。国大協が大学人としての見識を示さず、文部科学省の許容範囲で自らの主張をおこなうならば、それは、さらに、文部科学省の後に控えている総務省や経済産業省の圧力にも屈して、限りなく独立行政法人通則法に沿う方向に進むことを意味するでしょう。
今、国大協に問われていることは、「長尾試案」のような性格のはっきりしないものを公表することではなく、調査検討会議や設置形態検討特別委員会における現時点の論点(対立点)を各国立大学に提示して、議論を喚起し、それを吸い上げる努力をおこなうことではないでしょうか。
国立大学の独立行政法人化問題の議論が山場を迎えている今、国立大学の将来に禍根を残さないためにも、国立大学協会会長ならびに設置形態特別委員会委員長としての貴殿に、このことを強く要望するものです。
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