参議院の選挙制度改悪に強く反対する
与党3党は、参議院の比例代表選挙の拘束名簿式を非拘束名簿式に改める法案を今国会で成立させることを企図している。選挙制度を公平で民主的なものにしていくという立場からみてこれには大きな問題が含まれている。
非拘束名簿式に改めることについては、当選順位についても有権者が選べるようにするという点ではより民主的なように見えるが、個人の当選だけを願う票もその人の所属政党の票として算定されるという問題が解決できない。この問題は、例えば、著名なタレント候補が大量に得票すると、その所属政党は大きな利益を受け、実力以上の議席を獲得するという結果を生み出す可能性がある。この可能性は、過去の旧全国区の選挙結果からの試算で裏付けられている。
参議院の選挙制度改革については、「参議院選挙制度改革に関する協議会」が本年2月に各会派の合意で出した報告書には、「当面は現行の拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進める」ことが明記されている。しかるに、来年の参議院選挙を控え、与党3党がこの合意を破ってまで法案を通そうとするのは、参議院の議席数を実力以上に多く獲得しようということであり、まさに党利党略と言わざるをえない。
我々は、日本の民主主義を発展させることを願う科学者の立場から、参議院の選挙制度改悪に強く反対する。
2000年10月1日
日本科学者会議常任幹事会
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