JSA

森喜朗首相の即時退陣を求める決議

 去る5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会結成30周年祝賀会において、森喜朗首相はあいさつの中で「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを、国民のみなさんにしっかり承知していただくという、その思いでわれわれが活動して30年がたった」という発言を行った。戦前の神国思想を反省し、主権在民を掲げた日本国憲法の下での首相発言であり、当然のことながら、これは国内外からの厳しい批判にさらされた。森首相はその後の国会答弁や記者会見の席上で、誤解される言い方については反省しあやまると言うだけで、いまだにその内容については間違ってはいないとして、撤回も反省もしていない。
 そもそもこの発言は、「神道の精神を以て、日本国国政の基礎を確立」するという綱領をもつ神道政治連盟に属する会合での発言であり、誤解しようのない内容である。しかも5月26日の記者会見においては、「天皇を中心としている」は「天皇を象徴としている」の自分流の発言であり、「神の国」は「自然の中に人間をこえるものを見る考え方」をさしているなど、明らかに国民をごまかすための釈明を行った。いったい誰がそのような国だということを30年もかけて国民に宣伝してきたであろうか。
 当の森首相は国会の中で、1948年の衆院決議を無視して教育勅語には良いところもあるとし、あるいはかつての村山首相談話を無視し、日本が侵略者であったかどうかは歴史の中でみんなが判断するべき問題だとするなど、およそ戦前の神国思想を反省していない発言をくり返してきた。その上での「神の国」発言であり、森首相の基本的政治姿勢が吐露されたものと断ぜざるを得ない。このように、自分の憲法違反の発言に対し責任も負わず、国民を口先でごまかそうとする人物に国のリーダーの資格はない。
 21世紀を目前にして、いま日本の今後の進路が問われている。われわれは、国民多数と共に、かつての日本の侵略戦争を深く反省し、その上に築かれた平和と民主主義、主権在民を高く掲げた日本国憲法の精神を守り発展させる立場に立つものである。この国民的立場にまっこうから対立する発言をくり返している森首相に対し、即時退陣を要求するものである。

 2000年5月28日
                        日 本 科 学 者 会 議
               


戻る


トップに戻る