<声明>
「日の丸・君が代」の法制化の強行に強く抗議する
1999年8月9日、長崎の原爆の日に、自民・自由・公明、改革クラブなどは、「国旗・国歌法案」を参議院において強行成立させた。私たちは、このことに強く抗議する。
理由の第一は、民主主義・国民主権の観点からである。この法制化は、過ぐる選挙での公約でもないのに、今国会会期中突如として提出され、極めて短時間の審議により成立させられたものである。そしてこの間の世論調査が示しているように、この法制化の致命的な欠点は、これが国民多数の合意と支持のもとに行われたものではないということである。国民一人一人に深くかかわる国旗と国歌は、少なくとも国民の大多数がこれを支持し、歓迎するものでなければならない。このたびの法制化は、この最低限の条件を何ら具備していないのである。
理由の第二は、平和主義の観点からである。すでに日本科学者会議が7月4日の声明において指摘したように、この法制化は、ガイドライン関連法、盗聴法等々との関連でみれば、必要時の戦時動員態勢確立にむけ国民を思想的・精神的に統合する危険な役割を果たすことは明らかである。
そのための教育現場等での強制が、教師・父母・児童生徒の心に深い傷を与えるであろうことに、私たちはあらためて深い憂慮の念をおぼえ、学校・地域において「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱の強制が行われないよう強く要請する。
日本と世界の平和と民主主義を願う私たちは、できる限り近い将来において、この法律が改正され、平和と民主主義を愛する国民の大多数が心から歓迎する国旗と国歌が制定されることを切望し、そのことのために努力を重ねる決意であることをここに表明する。
1999年8月14 日
日 本 科 学 者 会 議
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