JSA

声明
中国の核実験に抗議し,すべての核兵器の廃絶と戦争のない平和な世界の実現を


 核実験停止の世界的な世論の高まりに抗して,中国は,8日,昨年8月17日以来の地下核実験をおこなった.これで中国の核実験は通算44回目をかぞえる.この数年来,世界の世論は,「核兵器の存在が戦争の発生を抑止している」といういわゆる核抑止力論を克服し,すべての核実験の廃止を,さらに核兵器そのものの廃絶を求める声が主流を占めつつある.このなかで,核実験をおこない,しかもさらに1回の実験をおこなうことを表明したことは断じて許すことができない.
 核保有国は,CTBT(包括的核実験禁止条約)を締結することをららつかせながら,NPT(核不拡散条約)の無期限延長をいわば「謀略」的に強行した.そのCTBTの交渉の最中でさえ,中国は「平和的核爆発の禁止除外」という国際的な犯罪にも値する主張を繰り返してきた.世界世論の前に「平和的核爆発」は断念したが,その直後に実験をおこなうという暴挙をおこなったことになる.
 しかし,暴挙は中国にとどまらない.昨年から今年にかけてフランスはムルロア環礁その他で6回にわたる核実験をおこなった.また,その他の核保有国も,過去における多数の核実験によって,地域住民にたいして直接の被害をもたらし,環境を破壊し,世界に核戦争の脅威をあたえたこと,さらにはNPT(核不拡散条約)の無期限延長によって核兵器を半永久的に独占しようとしていることは,人びとの記憶から決して消え去ることのない事実である.
 日本科学者会議は中国の今回の核実験に抗議するとともに,残る1回の実験を中止することを要求するものである.また,すべての核保有国が,今後すべての核実験を再開することなく,保有するすべての核兵器を廃棄し,戦争のない平和な世界の実現に貢献するよう要求する.
    1996年6月10日
                       日本科学者会議