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 科学技術基本法に基づく科学技術基本計画に関する要望
                     1996年5月31日 日本科学者会議

 日本の科学と技術の自主的,民主的な発展を目指す日本科学者会議は,科学技術基本法の制定が,21世紀に向けた日本の科学,技術の今後の発展に大きな影響を及ぼすものとして,その動向に注目し,分析を行ってきました.日本科学者会議は,科学技術基本法の施行から約半年が経過し,研究開発の推進に関する総合的方針,研究施設及び研究設備,研究環境に関する整備等に係る科学技術基本計画の策定がなされようとしている今日,科学技術基本計画に,以下の諸点が明確に,あるいは具体的に明記されるよう要望いたします.
(1) 日本国憲法の理念に則り,進んで国際平和に資するよう努める,軍事に関する科学・技術研究は行わない.
(2)社会科学,人文科学を含む科学,技術の調和ある発展を目指す.
(3)大学・大学院の教育,研究にあっては,その自主性の尊重に格段の配慮をする.
(4)個々の研究開発計画の立案・決定にあたっては,公開性を確保するとともに,その民主的運営に努める.
(5)研究成果や研究業績の,公開を保障する.
(6)大学・研究所等の研究者に導入されようとしている任期付き任用制度は,独創的研究の発展を阻害するおそれがあるので,拙速を避け,当面その運用の実施を見送る.
(7)研究上必要な光熱水費等の経費さえ不足する貧困な研究費については,経常研究費等基盤的経費の抜本的な予算増を図る.
(8)施設・設備の老朽化,狭隘化という劣悪な研究環境の,抜本的な整備を図る.
(9)研究者,研究支援者(技術,事務)の確保,養成とともにその処遇の改善を図る.
(10)「科学技術基本計画」の策定にあたっては,関係諸機関,とくに大学等,国立試験研究機関,また広く国民に公開提示して意見を聴取する期間を設ける.
この要望は,下記の関係機関に送付しました。
科学技術庁中川秀直長官,科学技術会議,科学技術庁科学技術政策局,日本学術会議伊東正男会長,奥田幹生文部大臣