薬害エイズ問題の全容解明・全面解決を求める声明
薬害エィズ問題は,今,訴訟上の解決が大詰めを迎えている.昨年10月の第1次和解案についで,去る3月8日,東京・大阪両地裁は第2次の和解案を出した.これらの和解案は,基本的に被告の国・製薬5社の責任を認め,その上に立って和解を勧告していることが重要である.従って,私たちは,被告がこの和解案を土台として原告の要求に誠心誠意対応し,最大限の償いと恒久対策の確立を行うことを求める.
一方,薬害エイズ問題の真相を全面的に解明することは,この不幸な事件の教訓を生かし,二度とかかる薬害被害を起こさないためにも不可欠である.厚生省は1月23日に省内にプロジェクトチームを設けて調査に当たり,その中間報告が2月26日に公表された.この報告では,厚生省・製薬会社・医学関係者が輸人非加熱血液製剤によるエイズの危険性を1983年当時認識していたことは明らかになったが,その回避策としての非加熱血液製剤輸入禁止,加熱血液製剤緊急輸人等の対策をなぜとらなかったのか,その理由・経緯の解明が不十分である.今後この点につき,当時の厚生大臣・薬務局長など関係者の国会での証人喚問も含めた解明が必要である.私たちはそのことを強く要求し,ここに声明する.
1996年3月10日
日 本 科 学 者 会 議