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   世界科学者連盟第16回総会
            ダカール声明
 第16回世界科学者連盟(WFSW)総会(ダカール,セネガル)は,1992年Il月14日,今後の連盟の活動に関する声明を採択した。その声明はその後加盟組織の提案により修正が加えられ,先のWFSW執行評議会(1994年l月20日,アテネ)で採択された.
 第16回WFSW総会は,[冷戦特に米ソの超大国による対決は終結したが,アメリカは核抑止力に固執し新世界秩序の憲兵としての行動を企み,そのもとで人類はなお危険に曝されており,種々の緊張と矛盾が各国および国際的に高まっている」ことに言及した.
 今日なお核および他の大量破壊の兵器使用の脅威は厳然と存在しているから,われわれは国際的な広がりの市民の支援によって,それらの兵器の完全廃絶を達成するよう(加盟組織を通じて)各国政府に要求しなければならない.
 世界は今経済的危機に直面しており,世界の多くの地域において科学者や教育者の経済的・社会的地位が劣悪化してきている.また,人類の遣産となるべき科学と技術の発達が特定の利害聞係のもとで制約を受け,その結果世界中に不平等を拡大し持続不可能な生活形態を創出している.
 今日の社会的,政治的,経済的,そして生態学的危険と不安定性は,国民の必要牲や希望,そして平和で協調的な世界にありうべきものとはおよそかけ離れたものである.
 今こそ世界科学者連盟による実行ある活動が以前にもまして必要であり,その機が熟している.WFSWの待徴は以下のような多様な目的にある.I)科学技術の発展,2)途上国の科学技術と社会発展の支援,3)自然科学と社会科学の有機的連携の達成,4)科学者技術者の社会的責任を喚起し,科学労働者の職業的,社会的,物質的条件を改善するために,(地域)労働組合や国際労働機構との協力.
 第15回WFSW総会で採択された政策文書類は広く受け入れられ,WFSWはその先見性を讃えているところである.それらの文書によって,国内,国際,新旧を間わず,他の団体と協力共同がすすめられている.
 第16回WFSW総会は,WFSWの将来の活動は新国際科学技術秩序の確立に向けたものであることを声明し,潜在的な力を諸活動に実現するために以下の行動計画を提起した.
(a)個人的な接触やその他の方法により多くの加盟組織を国際的に拡大するために甚大な努力をする.
(b)加盟及ぴ関連の組織にWFSWを宣伝するために,Scientific World(休刊)や政策文書「研究の基準」「科学者の権利と責任」を最大限活用する.
(c)資本主義国の会員と先の社会主義国のそれらとの間で経験を交流し,特に発達した国と途土国の会員の差に注目をしながら,社会科学と白然科学労働者の社会的経済的条件を守り発展させる.
(d)軍縮,核兵器全面禁止,全核実験終結,兵器の平和目的への転換の実現,などの闘争を強化するために,科学者と労働者の国内的・国際的組織が協力する.国家平等の原則に基づく平和的手段によって国際紛争を解決する.そのために,軍事プロックの解体,兵器輸出の禁止,軍縮の促進と戦争勃発の国家的,宗教的,経済的,政治的原因を解明することが必要である.加盟組織はそれぞれの政府にこれらの目的の達成を急がせる.WFSWは世界の科学者に,平和的開発のための資源利用に関して,非軍事的で公開性と自主性及ぴ民主性を基礎とした共同研究を組織することを提案するとともに,そのプロジェクトを国際的科学者組織と国連との協力によって推進することを各政府に勧する.
(e)科学研究に係わる倫理的な間題について作業を強化する.そのために,常置委員会の長は執行評議会に対して勧告をまとめるよう特別グループを設置する.
(f)全ての科学者は,科学者によって発見発明された科学や技術を利用した成果,種々の企業活動が引き起こす如何なる負のインパクトについても,それらを明らかにし研究する義務を有する.そのためには,企業に,当該製品,その製造過程及び産業廃棄物に関連する全ての情報を公開させねばならない.この観点において,WFSWは火急的に必要な国際環境法案の作成に参画する.また,WFSWは,途止国の破壊された環境の改善計画策定にも参画する.
(g)WFSWの地域センターを活性化する.特に途上国のそれらは全く正常な状態ではない.
(h)全常置委員会は,これらの計画を推進するにあたってそれぞれの立場を明確にし,一定の研究成果を執行評議会に反映させる.
(i)WFSWは,科学政策に間する限り,その民主的選択と決定が,科学労働者や関係者が彼らの社会的責任を果たす上で不可欠であると考え,かかる民主化の推進に必要と思われる活動を支援する.また,WFSW常置委員会は,科学研究が公的なものから種々私企業化の段階で必ず招来する困難を克服するために指導力を発揮しなければならない.
(j)全ての執行評議員は,担当の組織に一定のカンパと負債の精算をさせることによってWFSWの財政を強化し,適宜,国および国際段階において財政的支援を探求する.
(k)WFSW副会長に特別な任務を分担させることにより,それらの役割を強化する.