震災復興のための提言
震災後,既に10日以上たつが,市民は依然として危険と不安のもとでの生活を余儀なくされている.とくに30万人の避難市民の苦労は筆舌に尽くし難い.さらに,住宅,雇用,所得や賃金など将来の生活設計に対してなかなか展望を見いだされない状態が続いている.
いま,住宅などの生活環境の整備計画を明確にし,雇用を確保し,中小零細企業や業者の経営を安定させ,防災などの福祉都市をつくりあげることが最も望まれている.災害復興のためには,政府や大企業が市民を 無視した一方的な計面を押しつけるのではなく,情報を公開し,市民が自主的に民主的に復興計團に参画し決定できることが大切である.
以下において,災害復興についての私たちの基本的な考えをのべるとともに,復興のために微力ながら努力したい.
1 市民本位の住宅・街づくり
1. きめ細かいスケジュールをつくる.
情報をわかりやすく公開し,市民要求をとりいれ,いつまでに何をおこなうかのタイム・スケジュールをつくる.
2. 危険家屋などの解体は公共が責任をもっておこなう.また,公営住宅や公共宿泊施設を活用するとともに,早急に仮設住宅を必要なだけつくる.
3. 借地・借家人の権利を補償するとともに ,公営住宅の増築,個人家屋や共同マンション修復の資金援助などをおこなう .
4. 防災,福祉,高齢社会のための街づくり を市民参画のもとでおこなう.
2 仕事と雇用,所得の保障
1. 雇用保険を日雇い労慟者や自営業者へ適用する.義援金や福祉制度の充実などによって被災者の生活を保障する .
2. 政府・自治体は,中小企業・業者への資金 援助とともに,施設・資材の確保に努める.
3. 大企業は震災を理由にして下請け単価や賃金を引き下げない.
4. 公共事業は地元中小企業や業者に優先発注する.
5. 政府資金によって復興のための別枠公務員を確保する.
6. 経済の空洞化をふせぎ,産業を発展させる施策をおこなう.
3 財源と土地確保
1. 公共投資を復興費にまわす.不要不急の 公共支出をへらす.
2. 必要ならば財政赤字もやむをえない .
3. 神戸空港や六甲アイランド南の埋め立て,六甲山腹の音楽堂,日仏モニュメントなどの自然破壊をもたらす事業をやめる .
4. 仮設住宅・公共住宅用地は,公共用地と大企業の遊休地を活用する.
1995年1月9日
日本科学者会議兵庫支部
兵庫県労働運動総合研究所