<声明> 村山内閣の国民生活破壊の政策に抗議し、科学者の社会的責任を果たそう
激動の1994年もまもなく幕を閉じようとしている.私たち日本国民は,このわずか1年の間に細川,羽田,村山の三つの内閣を経験した.「政治改革」の美名とは裏腹に,白民党がかつて願っても容易には実現することのできなかった反動的な諸施策が,次から次へと強行されており,これらは国民生活に,科学者の研究と生活に,また青少年の教育に少なからぬ打撃を与えている.
とりわけ,村山内閣は,首相自らの従来の主張のほとんどすべてを投げ捨て,反動的な姿勢をあからさまに示している.たとえば,「政治改革」の名のもとでの小選挙区制の導入,日米安保条約・自衛隊の認知,それにともなう自衛隊の海外派兵の推進,学校教育等における日の丸・君が代の容認,年金制度の改悪,公共料金抑制の解除,消費税税率アップを柱とする国民の大部分が増税となる「税制改革」と枚挙にいとまがないほどである.
また,ガット批准による日本の農業と食生活破壊が目の前に迫っている.
おりしも,読売新聞による改憲草案の発表をはじめとする改憲の動きが憲法弟九条を改悪し,国民生活を破壊し,諸権利を剥奪しようと狙っている.これに呼応して,地方議会での侵略戦争賛美決議の運動が強まっている.さらに,地方財政の危機が教育,福祉,医療などを直撃している.バブル崩壊後の深刻な不況が青少年をはじめ,多くの勤労者から職を奪っているが,行政当局はなんら有効な手を打とうとしない.
その結果,国民生活のすべての局面はもとより,科学研究や教育の現場は重大な危機に直面している.日本科学者会議はこれらの事態を深く憂慮するものである.
来年1995年,わが国は第二次世界大戦敗戦50周年を迎え,日本科学者会膿は結成30周年に達する.日本科学者会議は,第二次世界大戦において日本が侵略したアジアの国々から代表を招いて「国際シンポジウム」を来年の12月に開催するのをはじめ,各種市民講座,『30年史』発行などさまざまな活動を展開する予定である.これらを中心として,日本科学者会議は,憲法の平和的民主的原則を擁護し,日本の平和と民主主義のために精力的な活動を展開するものである.
1994年12月4日
日本科学者会議幹事会