「政治改革」関連法案の廃案を要求する声明
小選挙区制導入,政党公費助成などいわゆる「政治改革」関連法案は衆議院を通過し,参議院での審議がはじまった.これらの法案は日本国憲法の諸原則をいちじるしく傷つけ,日本の民主主義を根底から脅かすものである.われわれはこれに強く反対するとともに,政府に対しその撤回を要求してきた.にもかかわらず,政府・連立与党は金権腐敗の根絶をのぞむ国民の声を選挙制度の改変等にすりかえて,法案を衆議院に上程し,白民党に譲歩していっそう改悪し,強引に衆議院本会議で可決した.
われわれはこうした政府・達立与党の姿勢に強く抗議するとともに,以下のような理由からこの法案の参議院での廃案を要求するものである.
第一に,小選挙区比例代表並立制は,比例代表制を隠れ蓑にして小選挙区制導入をはかるものである.小選挙区制は多くの死票を生み出し,少数得票で多数議席の獲得を可能にする非民主的な選挙制度にほかならない.こうした制度の採用は「安定政権の実現」に名を借りた少数意見の切り捨てと議会の総与党化に道をひらくものである.
第二に,政党への公費助成は,自己の支持しない政党への「強制献金」となり,各人の「思想・良心の自由」(憲法第19条)や「結社の自由」(憲法第21条)を侵害するものである.さらに,公費による政党助成は,政党の自主性を損ない,国家権力による政党支配へと導くことになる.
第三に,国民世論の多くは,すべての政治腐敗の根源である企業・団体献金の禁止を要求してきた.にもかかわらず,法案は政党への獣金を容認している.
第四に,法案は,選挙期間の短縮,供託金の大幅増額,無所属候補や一般市民の選挙活動への大幅な規制を導入しようと図っている.これらは国民の政治参加への道を狭めようとするものである.
以上のことから,われわれは,参議院においてこの諸法案を廃案とし,金権腐敗政治を根絶させ定数の抜本的是正をはかる真の政治改革の実現を重ねて強く要求するものである.
1993年12月5日
日本科学者会議