申し入れ書
 東京佐川急便事件にかんし.金丸,竹下,渡辺の三氏にたいする国会の証人喚問および尋問がおこなわれましたが,この事件の真相はいぜんとして不明のままであり,むしろ疑惑はいっそう深まっています.不法な献金によって国政が左右されたり,一国の総理を決定するのに暴力団が介在したりするということは,議会制民主主義の国においては決して容認することのできないことであり,これを放置しておくならば議会制民主主義の根幹がくずされる危険があります.私たちはこのような事態を深く憂慮し,国権の最高機関たる国会がひきつづきその責任においてこの事件にかかわったすべての人を喚問し,事件の真相を徹底的に究明することを切望するものです.
 またこのような金権腐敗の不祥事がしばしばくりかえされるのは,現行の中選挙区制にその原因があるとして,この機会に政治改革に名を借りて小選挙区制の導入をはかろうとする動きもありますが,これは問題のすりかえにほかなりません.すでに各方面から再三にわたって指摘されているように,小選挙区制は決して「金のかかる政治」をなくすることができないばかりでなく,死票をふやし,得票率と議席率との差を大きくし,国民の意思を国政に反映させない仕組みです.私たちはこのような問題のすりかえにあくまで反対し,東京佐川急便事件の真相の究明と,金権政治の根源となっている企業・団体の政治献金の禁止を要求します.
         1992年12月17目
         文化団体連絡会議
          代表幹事 佐藤 静夫 永井  潔
               芙二三枝子 山田 和夫
         日本科学者会議
               代表幹事 木原 正雄 河野 通博
                    長谷川正安 原 善四郎
                    関  恒義 八木 健三