−<声明>−-
「佐川急便事件」の徹底究明と企業・団体献金の禁止を求める
東京佐川急便・渡辺元社長の特別背任問題に端を発した「佐川急便事件」は,その広がりと深さにおいて戦後最大の汚職事件に発展する様相をみせている.すでに,金丸白民党前副総裁が佐川急便から5億円を受領したことが明らかにされ,副総裁の辞任と20万円の罰金で済まそうとしたが,国民の強い批判のまえに議員を辞職した.また,竹下政権の誕生に暴力団が関わったことが明るみに出て,日本政治のあり方の根本が国際的にも批判されている.また,佐川急便からは,元首相,元野党党首などの「大物」を含む多数の国会議員に多額の金がばらまかれていることが報道されている.
これらの問題を早期に徹底的に究明し,贈収賄などの犯罪行為には厳正な処置を行なうこと,そして一連の問題の「根」にある企業・団体献金の完全禁止を実施することは,いまや強い国民世論となっている.
これに対して,白民党は,「18項目」の政治改革案を成立させようとしているが,その中には選挙運動期間の短縮,ポスター掲示の規制などの改悪案が含まれており,政治資金パーティーの合法化すら盛り込まれている.さらに,「政治に金がかかる」のは選挙制度が中選挙区制であるIからとして,またも最悪の非民主的選挙制度である小選挙区制を,一部野党をとりこみながら導入しようという動きを強めている.これは,まさに言語道断であると言わねばならない.本来ならば,自民党はまずみずからが事件の全容を明らかにし,関係者全員の議員辞職を勧告すべきである.
私たちは,「佐川急便事件」の徹底究明と犯罪者の処罰,そして企業・団体献金の禁止を求め,ここに声明する.
1992年11月1日
日本科学者会議