再びPKO協力法案に反対する
「国際運合平和維持活動等に対する協力に関する法案(PKO協力法案)」は,国内外の多くの世論を無視し,不十分な審議のままに12月3日 衆議院を通過し,参議院に送られた.
日本科学者会議は,この法案が憲法に 反して自衛隊の海外派兵をもたらし,再びきわめて危険な道へ日本を引きこもうとしていることを深く憂慮し,先に反対声明を行った.
その後,国会審議の過程等でこの法案およびこれに対する日本政府の見解は,PKOに関する国連文書との重大な矛盾や危険な内容を含むものであることが明らかになった.それにもかかわらず 十分な審議をなすことなく,衆院国際平和協力特別委員会と衆議院でこの法案の「採決」を強行したのである.
日本科学者会議は,憲法に反し,国連の指揮のもとに武力行使さえも含む海外派兵を許そうとし,日米軍事同盟をアジア太平洋地域や世界全体に拡大しようとするこの法案に強く反対するものである.さらにこの法案を 十分に審議することなく議会制民主主義をふみにじるかたちで衆議院で可決した政府,自民党,公明党に強く抗議するものである.
日本科学者会議は,科学者としての英知と良心と責任から,平和と民主主義に反し,戦後の憲法にもとづく平和の基調を大きく転換させるこの法案に断固として反対するものである.
日本科学者会議は,良識の府である参議院で徹底した審議のうえで,世論にもとづき,こ の法案を廃案とすることを要請する.
本会は,この法案に反対する国民とともに,廃案のためにいっそうの努力をすることを表明する.
1991年12月5日
日本 科学者会議