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  自衛隊を海外に派兵するPKO協力法案等に反対する声明

 政府は今国会で,PKO(平和維持活動)等への日本の参加のための法案を上程L,自衛隊の海外派兵の制度化をもくろんでいる.これは湾岸戦争以来のアメリカの新世界戦略構想にもとづく,日本の軍国主義強化の一端であり,昨年来の国連平和協力法案のたくらみ,自衛隊機派遣の試み,掃海艇派遣の強行などにみせた政府の一連の行為を本格的に発展させたものである.
 われわれは日本国憲法下において,現在の自衛隊そのものが違憲の存在であると考えるが,同時にその憲法違反の自衛隊が,いかなる形にせよ泡外に派兵されることに対し,一層強く反対する.とくに,第2次世界大戦において,アジア近隣諸国への侵略という苦い経験をもつ国民として,絶対に認めることのできない歴史的・国際的責任であると考えるからである.またわれわれは,2度にわたる原子爆弾の悲惨な被爆を経験し.不戦・平和を誓った憲法をもつ国民として,世界平和に対する日本の貢献策は,決して国際平和を力で維持しようとすることではなく,人類の英知と,正義への勇気と連帯の輪でつくりあげることを世界にむかって呼びかけることであると考える.
 日本科学者会議は,科学の平和的利用による人類の進歩と世界平和を希求する.われわれは,ちょうど60年前の1931年に,日本が第2次世界大戦にさきがけて,中国へ武力侵略した歴史的事実を想起せざるを得ない.われわれは,今回の日本政府が提案しているPKO参加の法案が自衛隊の海外派兵をもたらし,極めて危険な道へ日本を引きこもうとしていることを深く憂慮し,反対するものである.
  1991年9月22日
                日本科学者会議