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平成3年度政府予算案における国立試験研究機関の学会出席旅費の「1/2係数撤廃」の拒絶に抗議する声明

 21世舵に向けて,国民生活の充実,産業の発展と環境問題の解決,また国際的な貢献のために科学技術の発展が求められており,その中で国立試験研究機関の果たすべき役割は増大している.
 国立試験研究機関においては長くその研究基盤である経営研究費(試験研究所積算人当研究費),国内学会旅費(研究職員学会出席旅費)の不足が叫ばれ,特に後者ほ研究者の身銭をきった努力が続いている.
 平成3年度政府予算案においては計上研究費については1万円の増加が認められたが,これは私達の長年の要求のほんの一部が実現したにすぎないものである.
 一方,国内学会旅費については私達の長年の強い要求によって各省庁間の足並みがようやく揃い,科学技術庁の共通指針で「学会出席旅費については,研究者1人当たりの参加回数を1/2(一部2/3)から1に増加」するとした.その理由として「本経費の積算において,いわゆる1/2(一部2/3)の係数が存在し,研究者1人当たりでほ2年に1回(一部3年に2回)の参加しか考慮されていない」「学会出席は研究活動の一環として重要であることから,国立試験研究機関の研究者は最低年1回の学会出席を確保するため,この係数を撤廃することとしたもの」をあげた.このように各省庁が統一して増額要求を行ったのはゼロ(マイナス)シーリングという政府の概算要求基準(枠)の適用が開始された昭和57年以降初めてのことで画期的であった.
 然るに,昨年暮れに決まった平成3年度政府予算案では,この要求が認められなかった.このことは,政府の科学技術に対する無理解を示したものであり,日本の科学技術の総合的,民主的発展を願う立塘から,本会は強く抗議する.関係機関は国会審議でこのことを再考し,予算案を修正し1/2係数の撤廃を強く要求するものである.
  1991年2月11日
      日本科学者会議