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湾岸戦争の即時停止と,日本政府の戦争加担の中止をもとめるアピール

 1月17日の米軍を中心とする多国籍軍のイラクへの大規模な空爆ではじまった湾岸戦争は,いよいよ深刻な事態となってきました.
 開戦から2週間もたたないうちに100万トン以上ともいわれるペルシャ湾での原油流出と,油田施設の爆破による原油炎上は,自然環境や生態系を破壊し,あらゆる生物の存在にかかる重大な危機をもたらしています.
 最近においてはカフジでの地上戦の開始も伝えられ,イラクのクウェート侵攻以来生みだされた難民とあわせ,いよいよ戦争の悲惨さをしめしてきています.
 わたしたちは,この戦争の根源が,イラクによるクウェートの侵略・併合の野望にあることから,クウェート侵略以来,イラクの即時無条件撤退を要求し,経済封鎖と国際世論によって平和的に解決されることをもとめてきました.
 ところが,アメリカと同調する国々によって性急に戦争への道に突きすすみ,今日の事態となりました.同時に重大なことは,このアメリカの好戦的な姿勢を,日本政府は積極的に支持し,戦費援助や「難民輸送」を名目にした自衛隊機の派遣等を決定しました.
 わたしたちは,深い失望と怒りをもち,これらを到底容認するものではありません.わたしたちは,憲法に定める平和と民主主義に根本から背き,国民生活を直撃する海部自民党内閣を断固糾弾するものです.
 わたしたちは,人間のもつ可能性を科学・技術に開花させる事業に携わる労働者として,平和と民主主義が尊重されるなかでこそ真に科学・技術を発展させられると確信しています.このため,これまで職場のなかで「平和宣言」を決議し,地元つくば市の「平和都市宣言」に積極的にかかわってきました.そして,昨年の「国連平和協力法案」成立阻止のたたかいでは,職場・地域・中央での行動に積極的に参加してきました.テレビなどの報道では「ハイテク戦争」とも呼ばれるほど,先端技術がさまざまの兵器につかわれていますが,このような科学・技術の利用には心から反対するものです.
 わたしたちは,この湾岸戦争の拡大化・長期化が,これまでになく全地球的な規模において自然環境の大規模な破局の恐れがあることに警鐘をならすものです.環境を戦争の道具にし,生物・化学兵器や核兵器すらつかわれる可能性がある現状では,一刻もはやい停戦がもとめられ,人類史上例をみない悲惨さを回避する努力が大きくもとめられています.
 わたしたちは,唯一核の被爆体験をもち,紛争解決手段としての戦争を否定した平和憲法を40年まもってきた国民として.この海部自民党内閣の好戦・軍国主義的な政策は許せるものでありません.戦争に加わらず,戦費も送らず湾岸危機の解決にむけ,平和的なイニシアチブを発揮するのが日本の役割であると考えます.
 わたしたちは,平和を願うすべての人に,湾岸戦争の即時停止,すべての軍隊の自国への即時撤退,日本政府の戦争加担の即時中止のため,ともに運動に立ちあがることを呼びかけます.
  1991年2月2日
  湾岸戦争を“告発”する集会
    筑波研究学園都市研究機関労働組合連絡協議会(学研労協)
    日本科学者会議茨城支部(日科茨城支部)