JSA

米国でのテロ犯罪を厳しく糾弾し、軍事的「報復」の悪循環を促進するのではなく、法と理性・言論にもとづく国際的連帯によるテロとの闘いを求める(事務局長談話)


 9月11日に米国で起きた同時多発テロは、かけがえのない命を理不尽に奪い、全世界の平和と民主主義の確立を願う人々に対し重大な挑戦をするものであり、絶対容認できない。私たちは、このような野蛮なテロ犯罪を厳しく糾弾する。
 テロ事件の後、米国は、タリバンが実効支配しているアフガニスタンがテロ集団をかくまっているとして、同国に対する大規模な軍事力による「報復」を準備していると伝えられる。しかし、これまでの全経過が示しているように、軍事力による「報復」は新たな「報復」を招くという悪循環を促進する結果をもたらし、問題の根本解決にならず、新たな悲劇を作り出すだけである。
 日本の与党3党は、9月19日に米軍支援のため自衛隊を派遣する等を決めたが、このような軍事的協力は、日本国憲法が禁ずる集団的自衛権の行使そのものであり、また、前記の悪循環を促進し、今後日本がテロの標的になる危険を招くことにもなりかねない。
 私たちは、この危機的な事態を、軍事力ではなく、法と理性・言論の力によって乗り切ることを強く訴える。テロ勢力をかくまっている国があれば、その不当性を国際的に糾弾し、そうした勢力を国連が裁くことを求めたい。米国ギャラップ社の世界31か国での世論調査でも、武力行使による「報復」支持が多数なのはイスラエル・米国のみで、その他の国ではテロ容疑者の身柄引渡しと裁判を求める声が多数である。このような言論による闘いの輪を国際連帯によって広げ、テロ勢力を国際世論で包囲孤立させ、「平和のうちに生きる権利」を確立しよう。

2001年9月26日
                 日 本 科 学 者 会 議