創立30周年にむけて活動と組織の飛躍的発展をめざそう

 日本科学者会議は,1995年12月4日に創立30周年を迎える.1995年は,おりしも第二次世界大戦終結50周年であり,原爆投下,国連創設,世界科学者運盟創立と,いずれも50年目を迎える.日本科学者会議は発足以来,平和と民主主義,科学の創造と普及,科学者の地位向上など社会的責任を果たすための活動を内外にむけて行ってきた.
 平和の課題では,いま核兵器廃絶の願いが核保有国によって核不拡散条約の無条件・無期限延長という国策により踏みにじられ,先進諸国が国連の名により地域紛争へ軍事介入し,日本は安保理常任理事国入りをめざし国際貢献を口実として軍事大国化を志向するなど,重大な情勢を迎えつつある.このようななかで小選挙区制の導入と憲法の改定が公然と主張されるに至っている.
 地球環境といういまひとつの人類史的な課題も,昨年の地球サミットでは,各国の利害不一致と先進国多国籍企業の責任回避のため,その意義があいまいにされた.1995年にむけて日本科学者会議を含め世界のNGOが新たな「地球憲章」の国運での採択を求めて行動している.経済犬国日本の地球環境への責任を問う旺盛な活動が求められているといわねばならない.
 80年代の臨調行革と臨教審路線は,競争原理と大学財政の削減によって,科学者・技術者・研究者育成を含むネットワークの基盤を破壊してきた.大学・研究所の施設の老朽化は,研究者の生命の安全をも保証できないまでに深刻化している.
 このような情勢の中で,科学者運動が十分に発展していないことは重大である.科学者が果たさねばならない杜会的責任を考えるとき,本会の活動と組織の飛躍的発展をはかることが強く求められている.
 第28回定期大会は,この機に30年近い活動の成果の上に立って,新しい展望のもとに組織の強化と活性化をはかりつつ,創立30周年にむけた大運動を展開し,科学者の社会的責任を果たすことを一致して確認した.若い研究者の新たな活動への参加,支部,分会・班からの専門分野・地域をこえた系統的な活動,日本の自主的民主的科学者運動を担ってきた本会への期待の拡大など,新たな前進の条件を生かしたとりくみを構築しなければならない.
 史上最高の組織力で創立30周年を迎え,すべての分会・班が活動できる力量をもつことなどの,大運動目標を全会員共通の認識として,日本科学者会議に寄せられた内外の期待に応えていくことを決議する.
            1993年5月30日
            日本科学者会議第28回定期大会