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日本科学者会議創立宣言

 自然と社会の真理を追求し、人類の進歩と人民の生活に科学を役立てることは、科学研究にたずさわるものの心からの願いである。
 しかし、今日の世界情勢と日本の現実は、このような科学者の願いに全く逆行している。
 ベトナムにおいては、アメリカの手によって近代科学が非道な殺りくと侵略のために利用されている。また科学のすばらしい成果である原子力の解放は、帝国主義の核脅迫の手段となっている。
 日本においても、「日韓条約」の強行採決に見られるような民主主義を破壊する反動攻勢のもとで、軍国主義思想、アメリカ追随の思想が科学の装いをもって広められ、研究にたいする直接統制と莫大な資金「援助」によって、科学の自主的・民主的発展はいちじるしくさまたげられている。
 日本の多くの良心的科学者は、劣悪な研究条件のもとで、科学の正しい発展をねじまげる内外の反動勢力とたたかい、科学者の本来の使命を果たすために奮闘してきた。
 われわれは、困難な状況にもかかわらず、アメリカの対日文化工作や教育の反動化、研究費の削減、大学研究機関の国家統制や軍事研究などに反対する運動、原水爆禁止の運動、アメリカ原子力潜水艦「寄港」、アメリカのベトナム侵略・毒ガス使用や「日韓条約」、憲法改悪に反対する運動北京科学シンポジウムのような民主的科学者の自主的国際交流のための運動をおしすすめ、また、健康を守り、「公害」に反対する運動、などにとりくみ、数多くの成果をあげてきた。
 また、それらの運動むすびついて、科学上の研究成果をあげ、人民の要望にこたえる努力をしてきた。そしていくつかの分野では、民主的な科学者の組織もしだいに強化されてきた。
 いま、これらの運動をいっそう発展させるために、日本の民主的科学者が、専門別、地方別、学校別などのわくをこえ、世界観や研究方法のちがいをこえて、全国的にその力をあわせることは、緊急にしてかつ重大な使命といわなければならない。  われわれは、ここに日本科学者会議に結集する。
 日本科学者会議は、規存の民主的科学者の諸組織と心から協力・提携し、世界の民主的科学者運動と連帯をつよめ、日本人民のたたかいのなかで、科学の発展を妨害するものとたたかい、科学を正しく発展させ、科学者の責任を果たすため、ただちに全面的な活動を開始する。
 われわれは統一と団結をかたく守り、慎重に着実に力強く前進するであろう。
 ここに日本科学者会議の創立を厳しゅくに宣言する。

1965年12月4日    
日本科学者会議創立発起人総会


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